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虚実1:99
総武線猿紀行

第26回

「Happy 99をGET!」

ちょっとご無沙汰しあんした。
というのも理由があったのです。
なんです。やっと復旧いたしましたが、
実は我がコンピュータ・ダイナブック251、
3週間ほど前、現在猛威をふるっているという
「メリッサ」の前に流行していたあの
正式名称Happy 99.exeというウィルスを
めでたくGETしてしまって、操縦停止してたのでええす!!

いつものように、クラブ行って酔っ払って帰り、
夜中のメールチェック。
ほえほえ、3通来ている。
酔っ払ったメールチェック、
あるいはお気に入りページめぐりは楽しい。
酔ってハシゴしてるような楽しさあり。

ありり、今日は同じ人から2通も来ている。
1通目は仕事のお手紙。2通目はなにも書いてないけど、
添付書類付き。
タイトルは「ハッピー99」だと。幸せ、いいねえ!
添付書類開くときって
「このファイルを開くと危険がある場合あります」
って注意書きでますよね。
でも何回も開いてると、だんだん手が勝手に
「OK」押すようになりませんか?
DE、酔った勢いもあるし、パンっと開いちゃったわけです。

馬鹿だねえ。
「あれれ、花火だじょおお」と呑気な私。
変な手紙?? とさっさと閉じて寝てしまいました。
何も知らずに。
その花火です。その花火がウィルスが撒き散らされた
「お祝い」なのです。
エイリアンがクワっと口を開いて、シャアアア!
とウィルスを撒いたお印なのです。

1日後、仕事先からファクスが来ました。
「すみません、昨日送ったメールに
ヘンなのがあったはずです。絶対開かないで下さい」
ふにょ! なんかあったっけ?
あれれ? AA、そうか。ひょっとして?
今日メール送った人に、すぐ電話してみよう
「なんか僕のメールに異常ありましたか?」
「いいえ!」
そうだよな。まさか僕に限ってウィルスにかかるなんて。
と、意味のない油断していたのです。

ところが、次の日。
「サエキさんからのメール、2通来てました」
事務所からの報告。
ギョギョギョ。
「どんなのだった? 添付書類ついてた?」
「いいえ? ただ文字化けしたメールでした」
「そうか、じゃあ平気だ」
とまだまだ短絡的に安心するのが僕の性格。
しかし、一応いそいでもう一人、友人に連絡。
「変なメール来てない?」
「ああ、文字化けしたのが来てる」
ああ、また文字化けか。まあ、文字化けしてるだけなら、
平気だろう。とまた意味のない安心。
だが、ちっとも安心してはいけなかったのだ。

Happy 99はウィンドウズだけに感染するウィルス。
マックには染らない。
その代わり、マックに送るメールにも
ちゃんと付録メールが付く。
ただ、それは添付メールが破壊された
文字化けメールになっているだけなのだ。
(だから感染しない)
さすがに、ニブい僕もだんだん気になってきた。
急いで電脳ママ(予定)の千葉麗子嬢に電話。
「ねえ、Happy 99って知ってる?」
「古いわねえ。昨日からメリッサってやつが
はやってんのよ。Happy 99はもう時代遅れ!」
「ええ、そんなあ。でもやだなあ、ウィルスなんて」
「でもちょっとおもしろいと思わない?
そういうのもあった方がスリリングよ」
などと電脳女王らしい、優雅なお返事。
彼女曰く、添付を開いたら必ず感染しているらしい。
おもしろくなんかないよお!
僕のような素人にはただ怖いだけだよお!


ウィルスが撒き散らされた「お祝い花火」

さて、さすがに焦って来た僕に、ついに運命の連絡が来た。
「サエキさんがさっき送って来たメールに
Happy 99というメールが付いてました!
文字化けしてました」
異常があったら連絡するようにいっておいた友人から
電話が来た。
(それまでの付属メールにはタイトルがついてなかった)
これはヤバい!
しょうがない。退治だ! と思い立ったのが夜の11時。
もう本屋も電気屋もあいてない。
とりあえず検索だ!
「Happy 99」とインフォシークで検索をかけると、
すぐに対処法を書いたページが現れた。
ウィルスソフトを使用する方法と、
手動削除法の2通り書いてある。
まず、夜中なのでソフトは完全に手に入らない。と思えた。
ダウンロードするだけでは
完璧でないような気がしたからだ。
(すみません、今回の記述は素人サエキの見解なので、
もしトラブルの際は必ずエキスパートに相談して下さい)
それで、なんか僕にもできそうな気がする
手動削除に挑戦したのだ。

まず、「Happy 99.exe」「ska.exe」などと書かれた
ファイルを4つ削除する。
これらはハードディスク内のウィンドウズファイル内の
システムファイルの中に存在しているらしい。
これを見つけるのがなかなか面白い。
検索にかけたりするのだが、
隠しファイルの中とかにあって、
探偵になった気分なのだ。

やっと見つけると、「やったあ!」という喜びと共に、
手数がかかっている苦しみから、えい! 
と勢いよく削除してしまう。
これはおそらく正しいと思う見解だが、
どうやらウィルスはだんだん時間を追って、
これらの異常ファイルを製作していくようだ。
感染後、数時間の最初の付属メールには
タイトルもついてなかった。
12時間後ぐらいで、しだいにタイトルがついていき、
ついには添付メールつきのものが出される。

また、最初のうちは、メールの配送も、
メールを出したときに同時に行なわれるのではなく、
遅れて8時間後ぐらいに、
ウィルスがスタンバイされてから製作、
配送されることもあるようだ。
したがって、ウィンドウズ内の異常ファイルも、
ディレクトリ内にだんだんに現われてくる。
卵がかえっていくようなのだ。まさにウィルス!!
それらを捕獲していくのは、不気味だが、確かに面白い。

「サエキさん、来ました、添付つきのHappy 99が。
サエキさんのメールの8時間後に」。
運命の連絡が来た。
もう猶予はしていられない。今夜中にかたをつけるぞ!
と、バンバン異常ファイルを削除することに決めた。
そして、ゴミ箱に入れるだけじゃ不安で、
さらにゴミ箱からも廃棄してしまうことにしたのである。
なにせ、にっくきウィルスファイル。
不正アイコンにかかれている模様が
だんだんウィルスそのものに思え、
それと同じ模様のアイコンが
すべてウィルスに見えてきてしまったのだ。
そして、ますますいきおいあまり、
なんと必要な正常ファイルをも
間違って消してしまったのである!!
ご丁寧にもゴミ箱からも。

平気だと思っていた。
なにせ、星の数ほどもある、ウィンドウズファイル内の
アイコン。一個ぐらいなくなったって平気だろう。
コンピュータという精巧なシステム生命体の部品を
ほとんどテレビのつまみカバーぐらいに考えている
バカな俺。これは大きな間違い。
コンピュータのファイルは部品というよりも、
電源をつないでいる1本のシールドの1部分だと
思っておいたほうが無難かもしれない。
どんな短い部分を削除しても断線する場合がある。

で、おかげさまで、ダイヤルとつながらなくなりあんした。
ここで、ファイルをただの部品だと思っている僕は、
こう考えました。
「だれかの持ってる同じアイコンを
フロッピーで落としてくればいいだろう!!」
一番近かったのは、兄貴の持っているウインドウズ95。
「WSOCK32.dllある?」
ふだんはほとんど兄貴と電脳交流をしなかったのだが、
思ったよりもコンピュータに詳しかった兄貴が、
優れた指さばきで、それでも2時間ほど苦労して
隠しファイルから、WSOCK32.dllを捜し出してくれた。
「WSOCK32.dll」まさしく同じ名前のファイルではあった。

首尾よくファイルをフロッピーにドロップ、
わくわくしながら、元のウィンドウズファイルに
入れてみる。
だが!!! やっぱり動かないい!
どうやら、ファイル名は同じでも、
互換性がない場合が多いらしい!
ただの部品じゃないのだ!
友人に相談してみた。
「・・・・・それは再インストゥールしかないですね、
きっと。大変だけどそれが一番ちゃんと直りますよ、
きっと」。
さ・さ・さ・いインストゥール。
ああ、よけいな事しちまった。
手動削除なんかするんじゃなかった。
今ある原稿などはどうする。アドレス帳はどうする。
とりあえず寝た。
重々しい気持ちで翌日、
フロッピーにポツポツとコンテンツをドロップし始める。
簡単なものとそうでないものに分かれる。
アドレス帳や、ホームページの「お気に入り」は、
思った以上に簡単にコピーできる。
問題は受信トレイ(今まで受けたメール)で、
どうもうまくいかないし、容量も大きい。

気が重たいので、結局2週間、再インストゥールが遅れた。
受信トレイに入っていた、メール群に別れを告げるのが
いやだったのである。
まるで、住み慣れた部屋をひっこす際に、
古い家具に別れを告げなくてはならないように。
なかなか決意がつかなかった。
まとまった時間ができ、
ついに再インストゥールの時がきた。
サラバ! サラバよ、すみなれた我が受信メールトレイ!
飛行機で離陸するようにリカヴァリーCDがブーンっと回り、
再インストゥールが始まった!
5%復元しています
12%復元しています
99%・・・・・・

ツルツルになった初期画面は、そしらぬ顔で、
初めて買った時の状態にもどった。
これから、あの面倒なインターネット設定だ。
ISDN説明書とプロヴァイダー説明書、
コンピュータ説明書の3冊を出さなくては・・・・・・。
これ、間違って棄てちゃった人、どうなるんだろう?
中には無くしちゃった人もいると思うんだけど。
素人の僕の設定速さは、最初の時と比べて、
ちょっと速くなっただけにすぎなかった。

ウィルスの手動削除にはくれぐれも注意しましょう・・・。

1999-04-24-SAT

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