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虚実1:99
総武線猿紀行

第28回

「チョンマゲは楽しい」

急告、6月8日フジTV朝9時45分〜55分頃
ダスキン劇場見てチョ!


先日、某事務所より「ダスキン劇場に出ないか?」
という電話が入りました。
ダスキンといえばこの「ほぼ日」で
良くお名前を見ているので、いいや、と思い
「おおげえ、よろしくお願いします」とお返事しました。
あの、朝、ちょっとしたショートドラマをやるやつですね。

で、なんでお受けしたかの重要な理由のひとつに
チョンマゲになるという事があったのです。
どうやら素浪人という役なのです。
チョンマゲといえば憧れの格好のひとつ。
パール兄弟のファーストアルバムでは三保の松原に行き、
清水次郎長の家に伝わる着物を借りて
ジャケット写真を撮ったこともあるくらいです。
しかし、その時は髪をまとめる程度で
チョンマゲにはしませんでした。

今回は本格的なカツラ合わせをする時代劇と同じもの。
これは興奮せざるを得ません。
まず、成城学園前の山田かつらというところにいって、
「カツラ合わせ」をします。
成城学園駅から歩いて5分、普通の民家風の2階に
入っていくと、これまた普通の応接間風の場所に通され、
「待っててね」といわれて、
すぐにいかにもこの道一筋何十年という感じの人が
ビニールゴムのはげかつらのような物を持ってきて、
ギュ、ギュ、と合わせます。その時間ほぼ3分ぐらい。
「三船敏郎さんみたいな、素浪人風だって?」
「いやあ……」。答えるひまもなく、
頭をオールバックにしてビニールの中に入れ、
ぎゅ、ぎゅ、ぎゅ、ぎゅ、ぎゅ。
小坊主の出来あがり。「ハイ、終わりです」
これでかつら合わせは終了したのです。

そして2週間後に本番。
僕はもちろんドラマ出演の経験はほとんどありません。
演劇は自分の守備範囲ではなイと思っているので。
例外は2回だけで、北海道の山田勇男監督の
「アンモナイトのささやきを聞いた」という映画は、
セリフが5こしかない(しかし主役)実験的な作品なので
受けました。
ところが、この映画、カンヌの批評家週間というところに
ノミネートされてしまったのです。
で、カンヌに行きました。自腹で。
実はカンヌは招待作品以外は
みんな自腹で行くのだそうです。いい思い出です。
 
そして一昨年は「理想の上司」というドラマに
単発で一回きり「コンピュータプログラマー会社社長役で
出ないか?」という申し出がありましたが、
これもセリフが3つしかないというので、受けました。
実は、松雪泰子さんや木村佳乃さん、石田ゆりさんという
3人娘が出演しているというのが大きな魅力でした。
これは、セリフ3つしかないといわれましたが、
台本を渡されてみると、そのうちのひとつは
2ページに渡る、会社の概要の説明だったのです。
ひええええええ。テレビって怖いところだな(笑い)
と思いました。
長塚京三さんを前に、社長だからエラそうに
2ページのセリフを言わさせられるのです。
大変だったです。
 
今回もセリフが4つしかない、ということで受けましたが、
ほんとに量が少なかったのでホットしました。
しかし、量とは関係なく、ドラマのセリフの間というものは
本当に難しいもので、前日、練習しましたが、
そんなものでとても本番ができるとは思えませんでした。
しかし、僕が落とすオチのセリフが、
とても好きだったので、それだけでもがんばろう
と思いました。
 
祖師ヶ谷大蔵のスタジオで本番です。
僕はその世界では超ペーペーなので、
邪魔にならないよう時間より早く到着することにしました。
もう大道具をはじめとするスタッフは
出演者の2〜3時間前に来て仕込んでいるので、
かつらの人もスタンバっていました。
「はい、素浪人さんね、コレ!」

うわああい、ホントに素浪人だい!
なんかヨゴレタ感じがばっちりです。
三船さんかどうかは別として。
「なかなか似合ってんじゃない?」と持ち上げてくれます。
あまりにも貴重に思えたので、収録後、
いそいでそのままのかっこうで近所のコンビニに行き、
「写ルンです」を買ってその辺の人に写してもらいました。
素浪人のかっこうで祖師ヶ谷大蔵の町を歩いたわけですが、
誰一人、不審がらなかったのは不思議です。
やっぱり日本だからサムライのかっこうをしている人に
町で会っても違和感ないのでしょうか?
そうして祖師ヶ谷大蔵の町を歩いているところも
記念に写しました。


 
さて、元の話しに戻りますと、主人公のさだまさしさんが
到着します。
スタッフや我々に対してまんべんのない、
申し分のない丁寧な挨拶で感心させられます。
僕はよくさださんや堺正章さんに顔が似ている
といわれるのですが、そのお二方とも、会った印象は
全く自分とは違うものでした。
やっぱ僕は挙動不審だからな。
モト冬樹さんも登場。わーい!

物語は簡単です。
チョコンとテッペンに髪が束ねられた4〜5才の役の
さださん、モト冬樹さんが遊んでいる。
さださんが誤って暴投した石ころが、
谷村好一さんなどが扮するゴロツキにあたり、
ゴロツキに「なにしやがんだ、このガキ」とすごまれる。
そこで僕が現われる。
「よさねえか」。
マカロニウェスタン風の音楽が流れる。

「弱いものいじめをするな!」
ゴロツキ 「な、なんだてめえ!」
「いやなら俺が相手だ」
がしゃ、と刀のツカに手をつける素浪人(僕)
ゴロツキ 「ちきしょう、おぼえてろ」
逃げていくゴロツキたち。
お母さん
(佐田玲子さん)
「ありがとうございました」
「気をつけて遊べよ」
さださん 「おじさん、名前は?」
「メリー!」
一同 「メリー?」


僕がどうやっても強そうにはならないので、
刀のツカに手をかけるとき、ケイレンしたように
ガチャガチャいわせました。
するとゴロツキさんたちも
「なんだか強いんだか弱いんだかわかんねえけど、
不気味だから逃げよう」とその場でセリフを変えました。
問題は、「メリー」でこの一語にすべてがかかっている
といっても過言ではありません。
自分としてはできる限りの事をしたつもりですが。(笑)

みなさんの目でどうか判断し、
ご指導ご鞭撻のほどをお願いします!
放送は6月8日(火)フジテレビ朝9時45分から
55分までの間の2分間。です!

1999-06-07-MON

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