吉田戦車エハイクの世界。
21世紀の武者小路実篤になるかもよ?
結
★
果
★
発
★
表
この1週間で、ものすごい数の投票をいただきました。
みなさん、どうもありがとうございました!
お待ちかね、最終結果の発表です!
まず第3位は!
つづいて第2位!
そして栄えある第1位は?
ド
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ジャーン!
→くわしいランキングはこちらへ!
【吉田戦車さんのコメント】
ヌッツォ氏、六本木ヒルズ、浦安の遊園地など、
派手な感じのものを詠んだ句が
上位にいるのがおもしろかったです。
やっぱり同時代性というかメジャーさは
大事なんだなと思いました。
あと、記念すべき第一句
「アフリカで」
が
上位につけているのがなんだかうれしいですね。
自分的にNo1はどれかというと
たいへんむずかしいですが、
第34位
「周到さ」
などは言葉のハメ方に
「よっしゃ!」という勝利感があったことを
覚えています。
ハリー
ソフトくんソフトくん。
ソフト
なんですかなんですか。
ハリー
なんでぼくら、
こんなところに出てるわけ?
ソフト
ふたりで吉田さんの
100回記念を盛り上げようってことで
「エハイク・ランキング」を
催したんじゃないですか。
ハリー
そらそやね。
ソフト
せっかくだから、
大勢の方が参加してくださった
ランキングを見ながら、
感想など述べてみましょうよ。
ハリー
よっしゃよっしゃ、任しとけ。
こう見えてもボク、連載開始当初から
このコーナーを担当してますからね!
ソフト
あ、そうだったんですね。
ハリー
エハイクのことなら、
なんでも訊いてくれ!
ソフト
なるほど、たのもしい!
それではさっそく始めましょう。
1位の
「毎日曜」
っていうのは予想通り?
ハリー
ええっと、「毎日曜」って
どんなやつやったかな?
ソフト
ヌッツォですよ、ヌッツォ!
ハリー
わかってるがな。
吉田さんも上で言うてはるけど、
上位3作には、メジャーどころを
テーマにした句が並んだね。
ソフト
そうですねー。
でも、地味なものも
けっこう上位に来てます。
にいさんはどれが好きですか?
ハリー
そやねえ。たとえば連載当時、
ボクがすごく笑った記憶があるのは、
「布団から」
。
ソフト
あああ、これは僕も大好きですよ。
ハリー
子どもの立ち位置。
寝てる親父のドタマを
てっぺんからとらえたこの構図。
そして、布団から出られないという
やむにやまれぬ感じを表現した
書き文字の斜め具合。完璧やね。
ソフト
「出られぬ」の「られ」は
「可能」を意味する「られ」ですからね。
ハリー
うん。体調とか、睡眠時間とか、
そういう原因はさておき、
なにしろ「出られぬのだ」と。
ソフト
布団続きでいうと、
僕はこれがかなり好きですね。
「CGにしか」
。
ハリー
これ、おっかしいわ。
まず、なんで、ダブルベッド?
ソフト
おじいちゃん、妙に寝相悪いですね。
ハリー
「CGにしか見えない」ちゅうことは、
CGとちゃうんやね。
いったいおじいちゃん、
なにを観たんやろね?
ソフト
たぶん、孫とふたりで、
寝る直前に
映画を観たんじゃないですかね。
ハリー
あ、そういう状況?
ソフト
裕福なおじいちゃんの家に、
夏休みかなんかに孫が遊びに来て、
じゃあ、ビデオでも観るかっつって
観たわけですよ。
そんで、観終わって寝たんですけど、
孫は寝られないわけですよ。
ハリー
キミ、実際見てきたように言うね。
ソフト
だって、枕は変わってるし、
おじいちゃん、寝るの早いし。
だから孫は眠りが浅いわけですよ。
寝言なんて言われたら
すぐ目が覚めちゃうわけです。
ハリー
そんな状況でおじいちゃんが
寝ながらボソッとひと言。
ソフト
「‥‥CGにしか見えない」
ハリー
うはははははは。
そら、孫も目ぇ覚めるわ。
ほかに好きなのある?
ソフト
どれかひとつ選べと言われたら、
僕はこれかもしれません。
「はいはいはい」
ハリー
これは最高やわ。
絵はめっちゃ怒ってるからね。
「はいはいはい」どころじゃない。
いまにもお寺に
怒鳴り込みにいかんばかり。
ソフト
「はいはいはい」と珍しく字余りで。
だいたい、ありがたい教えを
「蘊蓄(ウンチク)」と
言い切ってるのがすごい。
ハリー
「おてんとうさまに生かされている」が
たんなる蘊蓄扱いやからね。
あと僕が好きなのが
「たのもしく」
これ、何回見てもおかしい。
ふたり
(爆笑)
ソフト
これはほんと、おかしいわ。
ハリー
初期の傑作。
ソフト
「すごい服」っていうのがいいよね。
「赤い服」とか「派手な服」とかじゃなくて。
ハリー
この服の柄、
どうなってるかわからへんからね!
ソフト
あと、すごい服で思い出すのが、これ。
「ばかキモノ」
ハリー
うひゃひゃひゃ、これかー!!
ソフト
「ばかキモノ」はすごいですよ。
名詞ですよ? 「ばかキモノ」。
ハリー
このおっさんのほうの格好もすごいよね。
ソフト
こっちのおっさんの格好も同じですよ。
「ばかハチマキ」に
「ばかTシャツ」なんですよ。
ハリー
なるほどなあ。
あと、すごい細かいことやけど、
「ばかキモノ」を選んでるおばさんの
描写がまた見事やね。
あの、ちょっとこう、
アメリカ人のご婦人が
むりやり日光浴して肌が荒れちゃって、
それでも平気でノースリーブ着てる、
みたいな感じがよく出てるわあ。
ソフト
なるほどねえ。
あ、そういえば、連載当初より
にいさんが絶賛していた
「パンが好き」
が
堂々、4位に入ってますよ?
ハリー
せやねんせやねん。
みんな見る目あるわー。
地味やけど高評価やね。
ソフト
だって、
1位はヌッツオでしょ?
2位がヒルズでしょ?
3位が有名なネズミでしょ?
吉田さんがコメントするように、
メジャーなテーマが並んだなかで、
「パンが好き」は、
まったく出典がないからね。
その意味で実質的な1位といってもいい。
ハリー
や、マジで。
あとは
「いるたびに」
が
上位なのもうれしいね。
ソフト
これ、僕も大好きです。
いますよね、猫がいるたびに
「あ、猫!」って言う人。
ハリー
おれへん、おれへん。
ソフト
いるんですって!
実際、僕の知り合いにいますよ。
猫がいるたびに「あ、猫!」って言う人。
しかも夫婦なんですよ。
ハリー
夫婦で?
ソフト
夫が「あ、猫!」って言うと、
妻も「あ、猫!」って言うんですよ。
ほんとですって。歩くたびに、ふたりして、
「あ、猫!」「あ、猫!」って言うんですよ。
今度紹介しますよ。つれてきますよ。
ハリー
わざわざつれてくるな。
ソフト
あ、あと、これを忘れちゃいけませんよ。
原稿が届いた瞬間、
ふたりで爆笑したじゃないですか。
ハリー
なんでしたっけ?
ソフト
「長そでを」
ふたり
(鑑賞しながらしばし爆笑)
ハリー
いや〜、これ、すごい。
ソフト
なんか、もう、いろんなことが
わかんないんですけどね、この句。
ハリー
わかんないねー。
ソフト
まず、その、「隠れ着る」必要がない。
ハリー
ないない(笑)。
ソフト
あと、「嗤う」必要もない。
ハリー
ないない(笑)。
ソフト
もっと言うと、
「小野」である必要もないし‥‥。
ハリー
「和田」である必要もない!
ソフト
ないない(笑)。
ハリー
あと、「和田」のTシャツはひどすぎる!
ソフト
そうそう。
むしろ嗤われるべきは「和田」のTシャツ。
もしくは、「小野」の髪型!
ハリー
うははははははははは。
ソフト
いろんなことがわからないなあ。
ハリー
わからなくておかしいといえば、これ。
「むき巨峰」
。
ソフト
うはははははは。
ハリー
まず、これ、若旦那は、
なんで柱の陰に隠れてるんですかね?
ソフト
そうですねえ。むしろ、
「むき巨峰、いかがですかー!」
くらい言ってもいい。
ハリー
言っていい、言っていい(笑)。
そりゃ、売れないよ、
こんなもんを、ただ置いといても。
ソフト
あと、「むき巨峰」っていうくらいだから、
若旦那が手でむいてるんだよね、巨峰。
ハリー
そういうの食べたないよなー。
評にもあるけど、「ぎっしり」だし。
ソフト
あと、高い! 1000円!
ハリー
高いわ、「むき巨峰」!
しかもよく見るとこれ、セール中だ!
ソフト
古いのかよ。
古いうえに手でむいてて、1000円。
ハリー
これは売れんわ!
ソフト
「むき巨峰」、ダメだ!
ハリー
「ちくられて」
ってなんだっけ?
ソフト
「ちくられて」は名作ですよ!
「春手錠」ですよ!
ハリー
ああああ、「春手錠」か! 名作!
ソフト
これはいいですよねえ。
きっとね、この人ね、
つかまっちゃってるけど、
本人に落ち度はないんですよ。
ハリー
あ、なるほどね。
ソフト
ちょっとね、
人を信じすぎちゃったんだな。
ハリー
「あいつに裏切られたんなら、
しょうがないか‥‥」
っていう感じでね。
ソフト
そうそう、春のうららかな日にね。
ハリー
ちょっと暖かい日射しのなかでね。
ソフト
あの、『お葬式』っていう
映画があるじゃないですか。
あれのラストで山崎努さんが、
「俺が死ぬなら春がいい。
桜吹雪で、いいぞお」って言うでしょ。
あのよさに通じるものがありますね。
ハリー
ああああ、あったあった。
そうねえ、なんらかの
ラストシーンを彷彿とさせる句だよね。
たしかに映画っぽいわ。
ソフト
きっと『春手錠』っていう
タイトルの映画なんですよ。
ハリー
あ、なるほどね。
『春手錠』のラストシーンが
これなわけね。
ソフト
たぶん、冒頭は、いきなり、
男の腕に「ガシャン!」って
手錠がおろされるシーンから始まるんですよ。
ハリー
あ、そこから回想シーンね。
ソフト
そうそうそうそう。
ハリー
いい映画だなあ。
ソフト
いい映画ですねえ。
ハリー
もう、泣けてくるね。
ソフト
泣けてきますよ。
単館ロードショーだったけど、
口コミで評判になって全国展開ですよ。
ハリー
日本列島が感動の嵐に包まれる
──『春手錠』。近日公開。
ソフト
春といえば、花粉症の句も多いですね。
ハリー
多い!
「杉花粉」
とか
「小飛散」
とかね。
「杉花粉」のハトはいいよなあ。
ソフト
なんか、作者はよく、
小動物を見てますよねえ。
ハリー
見てる!
「燕の子」
とかね!
ソフト
あ、これいいなあ。
ハリー
なにしろ、「床屋頭」を見つめてる
「燕の子」を見つめてるわけですからね。
ソフト
見つめてますねー。
というか、作者は、
春先から初夏にかけて、
小動物を見つめがちですね。
ハリー
見つめがちです。
ひいては、このエハイクを読むと、
作者の1年間が
垣間見られるというわけですよ。
つまり、戦車さんの春夏秋冬が
ここにはあるわけです。
ソフト
春は花粉症に悩まされながらも、
外を出歩いて小動物を見つめ‥‥。
ハリー
夏は冷やし中華などを注文して
ハムの気持ちになり‥‥。
ソフト
はたまた
台風にわくわくし‥‥。
ハリー
たびたび台風にわくわくし‥‥。
ソフト
秋は
松茸のことを気にしつつ‥‥。
ハリー
異常なほどに気にしつつ‥‥。
ソフト
冬は布団から出られず!
ハリー
まさに作者の生活が浮き彫りです。
ソフト
それではみなさん!
ハリー
また200回目でお会いしましょう!
ふたり
さーよーうーなーらー♪
2004-03-09-TUE
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