「週刊ファミ通」にかつて
「ファミ通マンガ大賞」というのがあり、
審査員をしていた。
映画化された『恋の門』の羽生生純さんなどが、
そこの出身者だ。
少年誌を中心に活躍されている能田達規さんもそうで、
デビューは「月刊コミックビーム」の前身
「アスキーコミック」だった。

なんの話かというと、
能田さんのデビュー作『がらくた屋まん太』に
「煮」という鍋ものが出てくるエピソードがあり、
その「煮」がすごく好きだったのです。
3年間カセットコンロの上に置きっぱなしで、
いろいろなものをつぎ足しては
煮続けられている鍋もの、「煮」。
マンガだからとんでもないものも入るわけですが、
自室に置きっぱなしという設定に、
学生料理、やもめ料理の荒っぽい魅力があった。
3年とはいわないけど、一週間近くいろいろ追加して
食べつづけることはよくあったので、
「煮」というネーミングには
「それだよそれ!」と思ったものでした。

ほぼ日さんから土鍋「ベア1号」をいただいて、
取り説に
「においが移るので食べものは入れっぱなしにしない」
という一文を見つけ、真っ先に思ったのが
「“煮”ができないじゃないか!」
ということだった。

【材料】
・キンメダイ
・カキ
・ネギ
・白菜
・エノキタケ
・シラタキ
・木綿豆腐
・昆布

酒、みりん、しょうゆ、ナンプラー、しょっつるで味つけ。
具からとてもいいダシが出て、何もいうことはない。
これをベースに何日か「煮」ができたらなあ、と思うが、
1号はそういう鍋ではないのだということも、
すばらしい煮え具合を見ていてわかった。

沸騰までかなり時間がかかるのだが、
一度熱を持ってからは絶妙な沸きかげんがつづく。
あたりがやわらかく、食材に対して
最適な加熱をしつづけるような、なんともいえない煮性能。
さすがにすばらしい。大事に使わせていただきます。
「煮」がやりたくなったら、スーパーの2階で買った
マレーシア製のセラミック土鍋を使おう。

2008-11-13-THU
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