食ってるな、パンを。そういう時期もある。

初めてホットサンドを食べたのは、
高校生の時、友人の家でだった。
何人か集まって青春について語り合っていた時に、
母上が作ってくださったのだった。
こんなうまいもの食ったことねえ、と
みんなで大量にむさぼり食った。
最初はハムやチーズだった具が、
最後のほうはキャベツとかになっていた。

30年ぶりにそれを思い出し、食べたくなったが、
もちろんホットサンドメーカーなど持っていない。
まわりに聞いたりネットで調べたりして、
フライパンでやってみようという気持ちになった。

そぼろは刺身の残ったのをきざみ、
ショウガと炒りつけたもの。
パンの耳を切り、具をのせ、指で周囲をぎゅぎゅうつまみ、
圧着してゆく。
‥‥これでうまくいくつもりだったが、
まったくくっついてはくれないのだった。

・ご飯つぶを接着剤にする。
・春雨で縫う。
などという手もあるが（ねーよ）やめておいた。

油をひかないフライパンで、
フライがえしでぎゅうぎゅうおさえつつ焼いた。
具がこぼれないよう、ひっくり返すときに気を使う。
せっかくだからとななめにおしゃれに切った。

いや、とてもうまい。
まわりがくっついていない寂しさはちょっとあるが、
あまり問題ではなく、
ぺったり焼けたパンと具の融合が美味だった。