子供の頃のごちそうとして、母が作るハモ丼があった。
ハモの白焼きを甘じょっぱく煮て丼物にした、
ウナギを知る前に出会ったうな丼的なごちそう。
「ウナギより安かった」ということだ。
でも、大人になってハモの湯引きを食べて、
これがあのハモか? と思うと、
今ひとつ自信は持てなかった。
骨切りみたいな細かい仕事がされていたかどうか、
ぜんぜん覚えていない。
そしたら最近
「三陸地方などでいうハモはアナゴのことである」
「ハモの生息域は福島県以南」という記述を発見。
がごーん(擬音)
アナゴ丼だったかもしれないということか!?
手に入ったのは体脂肪5%ぐらいのアスリートアナゴで、
醤油と砂糖などで煮てみたらうまいんだけど、
どうも思い出のものとちがう。
たまたま上京していた母に食わせても首をかしげるばかり。
寿司屋のアナゴのように
箸で切れるほどやわらくはないけど、
身がしっかりしつつ、
もうちょっとふっくらしていたような‥‥
故郷ではハモ=アナゴらしい、という話をすると、
沿岸に赴任していたことのある父が、
「釣りをしていたらハモが釣れたことがあり、
生徒たちが『先生、そいつの歯は危ない』と、
頭をたたきつぶしてから針をはずした」
と言いだした。
図鑑を見ると、歯が危なそうな魚はアナゴではなくて、
はっきりとハモだ。
三陸にも、いないわけではないのか。
ハモもハモとして流通していたということだろうか。
それとも、水沢のスーパータカトヨでは
福島以南からハモの白焼きを仕入れていたのか。
あるいは釣りの話は親父の夢か。
謎だ。
とりあえず、来年の夏はハモの勉強に
西のほうに行ってみようと思います。
2009-09-24-THU |