野菜のはんぱな切れはしや、食べ残しの塩鮭などが
冷蔵庫に残っており、気が重かった。
酒を仕込む季節なので、練り粕が店に出ており、
いそいそと買って魚の粕漬けや粕汁に使ったが、
まだたくさんあまっている。
インスタントラーメンに入れてみたら
とてもおいしくなったが、
そんなことぐらいでは使い切れない。

冷蔵庫を空にしたい欲が常にある。
人は、冷蔵庫を空にしたいために料理をするのではないか。
そしてその快感をくりかえし味わいたくて、
何度も何度も買い物をするのではないだろうか。

一気に食材をかたづけられるものはなんだ。
また粕汁、カレー‥‥などと考えていたら
わけがわからなくなり、
とりあえずニンニクとタマネギをきざんで炒めていた。

【材料】
・塩鮭(焼いたもの)
・ニンニク、タマネギ、ニンジン、ジャガイモ
・酒粕、野菜ブイヨン粉末、カレー粉

見た目は鮭のシチューのような粕汁ができた。
鮭と野菜ブイヨンがいい味を出していて、
粕汁として十分だともいえる。
でも「ニンニク炒め」の過程が入ったことで、
自分の中でカレーのスイッチが入ってしまったらしく、
カレー粉を投入せずにはいられなかった。

「素材同志がケンカしてる」などということがあるが、
カレー粉と酒粕が戦いながらも、
それがなかなかのベストバウトであるというような、
そんな謎のうまさ。
酒粕の元はコメ。
そう、これはわれらが「カレーライス」の
組み合わせでもあり、
運命的な出会いだったのかもしれない。

2009-11-19-THU
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