日本についてのコンテンツ、
プロローグがつづきます。
旅人として日本をめぐることにかけては
スペシャリストであるみうらさんには、
痛感していることがあるそうです。
●プロローグ5 ときには言いたくなることもあります
みうら
だいたい、ビジネスの用がないのに、
こんなにビジネスホテルに泊まってる人も
少ないと思うよ。
ビジネスクラスにくらべて
ビジネスホテルはあまり
うらやましがられないことが多いし。
ほぼ日
そうですね、同じビジネスでも。
みうら
ぼくは、ビジネスホテルに対して
ちょっと申し訳ない気もあるんです。
ビジネスじゃない、ほんとは旅なのに、
「旅ホテル」なのにさ。
もし、夜にフロントの人が
部屋までコンコンッて来て
「自分、ビジネスじゃないじゃないですか」
と問いただしたら、ドキッとすると思うよ。
ビジネスじゃないのに、
ビジネスホテルに泊まってるやつがいる、
ということは、そうとう問題ですよ。
でね、ここではっきり
言っておきたい問題があるんです。
ほぼ日
どうぞ。
みうら
よく、フロントの横に
有料チャンネルのペイカードが
置いてあるんですよ。
ほぼ日
(よく知りませんが)はい。
みうら
夜中にそれを買おうと思って
部屋から出ていくわけです。
フロントにある機械に千円を挿入したとたん、
ピピー、ピー、ピー!って、
もんのっすごい音がするんですよ。
出てくるっつーのよ、そりゃ音もしてるから、
フロントの人が。
ほぼ日
はあ。
みうら
こっちは、よりよく旅したいわけですよ? ね?
あとは、歯ブラシの毛が1本だけ
にゅーっと伸びてる。
ほぼ日
ああ、ありますね。
みうら
歯を磨くと、歯ブラシの毛が
北京の石景山の遊園地の
ドラえもんのひげみたいになる。
あれもちょっとカチンときますね。
ほぼ日
各地泊まり歩いて出された結論が、それで‥‥。
みうら
しかし、ぼくが最もうるさく言うのは
リンスインシャンプーのことです。
ほぼ日
以前、ちょっとお伺いしたことがあります。
「リンスインシャンプーではなく
 シャンプーとリンスを置いてほしい。
 男にもリンスが必要だ」
というお話でした。
みうら
いまの時代、男にも
いろんなヘアースタイルがいるのに、
ないのかよ、と言いたいんです。
笑いたければ笑えばいいさ、フロントの人も。
自分とこに泊まったお客さんが、
翌日にはパッサパサなんだ。
パッサパサの髪をして
旅をつづけていく姿を見て、
ほんとうは嫌でしょう。
ほぼ日
そして、みうらさんは、
ホテルの浴衣問題についても
思ってらっしゃることがありますね。
みうら
そうです。寝るときに浴衣を着て
その姿を朝までキープしていられる
聖人のような、そんな偉い人が
どこにいるんですか?ってことです。
夜、温泉に入って、浴衣着て
朝同じ状態をキープできる人間が
どれだけいるのかを試してる
競技なんですか?
ということですよ。
ほぼ日
ははは。
みうら
最終的に、マサイ族みたいに
なっているとき、あるでしょ?
前の晩までは
ちゃんとした紳士だった
自分とこのお客さんが、ね?
それを見てフロントの人が笑うのもいいけども、
ふつうは「いいのかな」って
気づくはずじゃないですか。
ほぼ日
‥‥ええ。
みうら
あとは、浴衣、糊がきついです。
いまどき、あんなに
糊がかかってるものってないですよ。
ホテルからしたら、圧縮布団と同じ方式で
薄くしたほうがたくさん積めて
収納に便利と思ってるかもしれないけど、
袖の下側にわざと腕を通したら
肩がピーンと立つでしょう。
あれは、紙ですよ。
カミロボみたいなのは、嫌ですよ。
ほぼ日
ふはははは。
みうら
それから、浴衣のサイズ、これも気になる。
ホテルによって「大中小」がまちまちすぎで
カチンとくるんです。
ぼくは「M」なんです。
だから「中」だろうと思って着たら
西郷どんやバカボン的になって、
ちょっとだいじょうぶか?
って感じになります。
お風呂に向かうお客さんの姿を
フロントの人が笑う、それもいいでしょう。
でも、自分のところに泊まったお客さんが
バカボンみたいな格好して歩いてたら
ぜったいに嫌でしょうが、と言いたい。
旅人として、それは問いたい。
今回のお話をノーカットでごらんになりたい方は、
ほぼ打ち合わせ調のムードになっておりますが、
下の動画でどうぞおたのしみください。

全国のビジネスホテルを、
ビジネスじゃないうしろめたさに
さいなまれながら泊まり歩く。
ときには紙のような浴衣に袖を通し、
ときにはパサパサの髪になりながら。
いろんなところに「この島国」の
さまざまなヒントが隠れています。
プロローグはまだつづきます。
次回は、火曜日です。
2007-07-29-SUN