みうら |
‥‥糸井さんはやっぱり、
東京で出会った人で
いちばんスゴイ人だったなぁ。 |
ほぼ日 |
いままで出会った方で、ですか。
これからもまた出会いがあると思いますが‥‥ |
みうら |
もう出会わないでしょ。
もう出会うことはありませんよ。
だって、いまだって、旅の話をしてるけど、
町の人に声かけたり、
しゃべったことは、いっさいないんだもん。 |
ほぼ日 |
え! |
みうら |
ふれあいの旅、じゃないんです。
ふれてるけど、あいません。
よく旅番組では、旅館の女将さんや、
桶とか作ってる職人さんのそばに行って、
しゃがみ込んでふれあっていますが、
だいいち、悪いでしょ? |
ほぼ日 |
そりゃそうですが‥‥ |
みうら |
自分は地井武男さんでもないのに、ね?
そんなことはできませんよ。
ですから、極力無口で、旅をしてるんです。 |
ほぼ日 |
じゃ、次の県のくじ引きを。
お‥‥神奈川県ですね。 |
みうら |
ぼくは意外とセンスは神奈川県なんですよ。
「じゃん」とか。
|
ほぼ日 |
はい。 |
みうら |
スカジャンとか。 |
ほぼ日 |
はあ。 |
みうら |
「じゃん」はわりと、
上京してすぐ使ったものですよ。
「じゃん」を使いたくて、使いたくて
しょうがなくて、
しかも「じゃん」は神奈川なのに
東京のものだと間違えてて、
「ライターじゃん」「たばこじゃん」
「イスじゃん」「つくえじゃん」
全部に「じゃん」をつけていたら
「それはちがうよ」と人から指摘されました。
東京の女の人とつきあうこともありまして、
ちょっといけてる感じでいきたかったんで、
端々に「じゃん」を使って、
キョトーンとされていた時期があります。 |
ほぼ日 |
そんなに頻繁に。 |
みうら |
彼女ができてデートということになると、
目的地はやっぱり神奈川県でしたね。
ぼくは江ノ島にどれだけ行ったことか
わかりません。
エノシマンって、名乗ってもいいくらいです。
住んでるのかな? って思われるくらい
行ってるんですよ。 |
ほぼ日 |
はははは。 |
みうら |
ぼくは江ノ島の海で、真剣に
溺れそうになったことがあります。
あそこ、いきなり深くなるんですよ。
蟻地獄に入ったみたいに
ものすごく落ちるところがあります。 |
ほぼ日 |
たしか、みうらさんは
泳げないはずでは‥‥。 |
みうら |
泳げないのに「いた」ということは、
当然、酒を飲んでたわけです。
女子と行ったりしていますから、
「これから、ホテルに行こう」と
言いにくいもんで
「朝まで飲むぞ」なんて、ウソついて。 |
ほぼ日 |
江ノ島は東京からはちょっと遠いですからね。
当然泊まりだ、と。 |
みうら |
江ノ島の水族館の道を進んでいくと、
わりとラブホがあるんですよ。
ありますよね?
水族館のもっとむこうに。
酔っ払っていないと
連れていけない距離ですよ。
しょうがない、当然
「海、見ようか」という話になります。
冬なのにコンビニで、
花火を買い、海辺でやっていました。
そうしているうちに、お酒を飲んでるんで、
いい調子になっちゃって、
足をすくわれまして。
|
ほぼ日 |
ははははは。 |
みうら |
もう、溺死状態ですよ。
デキシーランドジャズが出そうなくらい
あっぶなかったです。
これは危険ですから、
絶対にまねしないでください。
お酒飲んで海に入るなんて、
泳げない人のやる
ほんとうにおろかな行為です。
びっしゃびしゃになって
ズボンの裾の折り返しのとこに
砂がものすごい入ったまんまホテルを探し、
ホテルの入口で
「お客さん、ちょっと、
びしゃびしゃじゃないですか」
と、注意を受けたもんですよ。
そういう思い出が、わんさとあります。 |
ほぼ日 |
うははは。 |
みうら |
ところで、江ノ島弁天の参道は、
貝細工の宝庫だということは、ご存知ですか?
「ここは博物館かな?」と思うほど、
貝細工がすごいんですよ。
|
ほぼ日 |
貝細工、ですか。 |
みうら |
いま、なかなか、
「どこに貝細工があるかな?」と問われても
パッと浮かばないでしょう。
テレビ局のADの人が
「ロケしてこい! 貝細工で!」
と指示されても、
探すのに苦労されるでしょう。
貝細工は、確実に江ノ島の参道にあります。
あそこのショーケースに
いろんな貝が入ってます。 |
ほぼ日 |
おみやげ屋さんの。 |
みうら |
ぼくはもう何年も
エノシマンをやってますけど、
貝細工が売れた形跡は、ないです。
昔から「高っけーな、このアコヤ貝」
と思ってたやつが、
そのまま置いてあります。
つまり、大量にハケたことがないんです。
だからこそ、残ったんだと思うんです。
エノシマンでもありますが、
スーベニアンでもあるぼくは、
おみやげものの変動には敏感です。
いろんなものは、どんどん変動します。
森が崩され、埋立地になり、
そこに団地が立つ、なんていうことが
横行する世の中、
いちばんの方法として、
残りやすいのは、売れ残りです。
一掃セール、閉店セールが最大の敵で、
店ごとなくなる場合がありますが、
店の入口近辺で
売れそうなものを売っていただき、
後ろで在庫を抱えてもらえれば、
残るんですよ。
勇気いりますよ、こういうものを買うのは。
▲貝細工
「おばさん、これください」って
声を出すことに、
スーベニアンとしての
ひとつめの勇気がいります。
そして当然、ケースなんてありませんから、
そのままこれを紙袋に
ぼそっと入れられます。
壊れないようにいいバランスで参道を歩き、
帰りのロマンスカーでも
台無しにならないように自宅に持ち帰る。
これがふたつめの勇気です。 |
ほぼ日 |
難易度が高すぎてどうも‥‥ |
みうら |
貝細工のほかに、ぼくが最近
すごくはまっているものは、これです。
|
ほぼ日 |
‥‥‥‥!! |
みうら |
ゴムヘビです。
ゴムヘビには、いままで
まったく興味がなかったです。
ちっちゃいころは、
何匹か買ったのかもしれませんが
この何十年、とーんと、
ゴムヘビのことなんて
一切考えたこともないし、
ゴムヘビがあればなぁって
思う必要性も一切なかったですけども、ね? |
ほぼ日 |
ふつう、ないですね。 |
みうら |
このいちばん太いやつ、
かなり重量感がありますよ。
みなさんがふつうに思い浮かべる
ゴムヘビと比較すると、
めちゃめちゃ大きいです。
これ、江ノ島の参道では、
ニッパチなんです。2800円。
ゴムヘビってたいだい、
200円とかなんですよ?
ショックトーイと呼ばれるやつですよ?
一発ショックしたら
しまいじゃないですか、
と、江ノ島がぼくに問いかけてきました。
ここはもうしょうがないですよね。
ぐっと、ゴムヘビをつかんで、
ゴムヘビと言えどもヘビなんで、
目が合わないように後ろからつかんで、
レジに運びました。 |
ほぼ日 |
うははは。 |
みうら |
ゴムヘビにもニッパチがいるんだ、と
そう思って見てみると、
いろんなところにいるわ、いるわで、
あらゆる地がゴムヘビ宝庫なんですよ。
でも、言っておきますが、
ぼくが買い占めましたから、
もう江ノ島にはありません。 |
ほぼ日 |
ゴムヘビ買い占めですか。 |
みうら |
現在は、かなり瀕死の状態で絶滅種、
レッドデータアニマル化
している場合があります。
でも、ぼくが買い占めたために、
店のおばさんが裏から出してきたみたいで、
この前、1匹だけ店頭に出ていました。
ぼくの買ったヘビは緑だったんですが、
新しいヘビは、吹きつけの色が
黒だったんですよ。 |
ほぼ日 |
‥‥なるほど。 |
みうら |
ああー、って!
ヘビからしたら色がちがうわけだから、
全くちがう種類なんですよ?
これが1匹だけ、江ノ島に出ています。
参道あがってすぐ、左の2軒目あたりに、
バーンと目に飛び込んできます。
いま、自分を試す意味でも、発表しておきます。
絶対それまでにぼくは買いに行きますから。 |
ほぼ日 |
すごい情熱ですね。 |
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今回のお話をノーカットでごらんになりたい方は
下の動画でおたのしみください。 |