シリコンの谷は、いま。 雑誌の記事とはずいぶんちがうみたいです。 |
第18回 オフィスを持っているって本当ですか!? 僕の働く会社では、 ほとんどの人がオフィスを持っています。 こう言うと、「ええー!?」と思うかもしれません。 オフィスは普通、みんなで働くところで、 自分で持つものではないように思うのが 普通ではないでしょうか。 もちろん僕が、日本で言う「オフィス」を 持っているわけではなく、 ここでいうオフィスというのは、 仕事をするための小さな部屋のようなものです。 僕のオフィスは、 大きなテーブルを2、3個並べられるぐらいの 奥行きがあり、幅は机と椅子を置いて、 その後ろを人が通れるぐらいの空間があるぐらいです。 会社のビルの中には、このオフィスと呼ばれる部屋が 百以上もあって、廊下の左右にずらーっと並んでいます。 オフィスは一応部屋ですから、 もちろんドアもついています。 普通はこのオフィスを社員一人一人がもらい、 文字通り自分のオフィスになるのですが、 僕の会社は少々手狭になっているため、 1つのオフィスを1人〜2人で使っています。 オフィスの空間は、その部屋で働く人たちに 与えられた空間なので、皆思い思いに飾り付けをします。 たとえば、ポスターを貼ったり、 おもちゃを持ってきたり、 オフィスの外から見えるガラスのところに小物を置いたり、 新聞記事の切抜きを貼ったりと様々です。 僕のオフィスには、 日本で買ってきた小さなラジコンがあったり、 雑誌のオマケについていた ポスターを貼ったりしていました。 各オフィスの壁にはホワイトボードがつけられていて、 議論になったら、どこでもそのホワイトボードを使って 話をできるようになっています。 余談ですが、実際には廊下の 休憩コーナーのようなところにまで ホワイトボードがついています。 このオフィスの評判は、 特にエンジニアたちに良いようです。 皆が口を揃えて、オフィスの方が集中できる というのです。 その理由は音です。 ソフトウェアの開発をする時には、 「ここをああして、あっちをこうして」と 一人で頭の中で色々なことを考えながら作るのですが、 そこに人の話し声が聞こえると 集中が妨げられるというのです。 オフィスのドアは通常は開けっ放しにしておくのが 普通ですが、自分が集中したい時には そのドアを閉めてしまえば、 外の音はほとんどカットでき、 しいんとした静けさの中で仕事をできます。 エンジニアの場合は、集中出来た時と集中できない時では、 同じ人でも生産性に何倍もの差が出てしまいます。 ですから、集中できる環境を自分で作り出すことのできる オフィスの評判がいいというわけです。 しかし、僕はそれほどオフィスが大好きではありません。 まわりが少々騒がしくてもあまり気にならない方だからで、 オフィスのデメリットの方が気になるからです。 まずオフィスの場合は、知らない人に話し掛けるハードルが ちょっと高くなってしまいます。 他の人に話し掛けるには、オフィスの中を覗き込んで 話し掛けなければいけません。 そのため大体いつもドアが空いているとはいえ、 そのドアの部分に見えない障害物があるような感じがして、 話し掛けるのをためらってしまいます。 知らない人のオフィスには入るきっかけがありません。 知っている人ですら話し掛けづらいのですから、 知らない人のオフィスに入っていくのは 輪をかけて難しいのです。 そのため、同じ廊下にあるオフィスの人の顔は わかっているけれど、話し掛けたことがないということも あるぐらいです。 最後に、これはオフィスを 2人で共有しているせいでもありますが、 もう一人の人に話し掛けに人がくると、 今度は逆にその話の内容があまりにハッキリ聞こえて、 気になってしょうがありません。 僕のように考えるのは少数派のようですが、 僕はどちらかというと「キュービクル」の 職場の方が好きです。 このキュービクルというのは日本では聞きなれない 呼び名ですが、日本では違う呼び名で使われています。 このキュービクルというのはどんなものでしょうか。 ということで、次回は キュービクルの職場についてのお話です。 上田ガク |
2003-11-18-TUE
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