シリコンの谷は、いま。 雑誌の記事とはずいぶんちがうみたいです。 |
第36回 どうやって英語が喋れるようになったの? シリコンバレーの現地企業で働く日本人は、 以前にも書いた通り、とても少ないのですが、 その原因の1つには英語の壁があることは 間違いないと思います。 英語が出来れば、シリコンバレーで活躍できる 技術力を持ったエンジニアが日本にはいるのに、 英語力が彼らの世界進出を阻んでいるのが 残念でなりません。 確かに、日本の教育システムの中で習う英語だけで、 海外で仕事ができるレベルの英語力をつけるのは 至難の業です。 とにかく、英語を話す人と接する機会が 少な過ぎるのです。 実際に英語を使ってみることなしに 勉強だけしてみても、いざ使おうと思って うまく使えないのは仕方ありません。 僕自身のことを考えてみても、 英語を使って仕事をするようになってから 英語力が急激に上昇したように思います。 しかし、英語を使って 仕事をさせてもらえるようになるには、 「こいつは英語ができる」と まわりや上司に思ってもらわなければ、 チャンスを手に入れることができません。 英語を上達するためには、 英語が上手でなければならないという、 ニワトリと卵の問題に突き当たってしまいます。 しかし、何とかしてこのニワトリか卵のどちらかを 手に入れれば、海外で働く扉が開くはずです。 英語を使って仕事をする環境を手に入れるために 必要なのは、まず英語でコミュニケーションが できるようになることです。 英会話学校に通うというのも1つの手なのかも しれませんが、僕にはあまり効果があったかどうか よく分かりません。 1週間に1度、1、2時間英語を喋っても、 次の授業までに忘れてしまって定着しませんでした。 改めて僕が自分はどうしたのかを振り返ってみると、 勉強ではなく、単に実際に英語を喋らざるを得ない状況に 自分を置いてみることでした。 僕は一人旅が好きだったので、 毎年のように旅行に行っていました。 男が1人でリゾートに行くわけにもいきませんから、 外国の色々な街をフラフラと見て歩いて回りました。 学生の分際でゴージャスな旅はできませんから、 旅の資金を節約するため、 ホテルは大部屋の安い宿を利用していました。 こういったホテルには、 同じように旅をしている色々な国の人が泊まっています。 大部屋で部屋が一緒になりますから、 何か話すことになるのですが、 相手の国の言葉が喋れるわけでもありませんから、 結局英語で何とか会話をすることになります。 英語は無茶苦茶でも、無茶苦茶なりには 意味は通じるもので、そのうちそれが旅の楽しみに なってきます。 「僕は日本から来て、昨日はどこそこの街にいた。 あそこのピザは美味かったよー。 その街に行くならその店をお勧めするよ。」 とかまあそんなことを話します。 これを会う人、会う人と繰り返していくのですが、 そのうちに、いつも話す定番の話が出来上がってきます。 ある時気が付いたのですが、 その話をしている時は、すらすらと英語が出てきました。 それもそのはず、その会話はその旅行中、 10回も20回もしているのですから、 台本のセリフのように覚えているのです。 同じ話を繰り返すうち、どう喋れば通じるのか、 どこが通じないのかが分かってきて、 自分の台本は、うまく通じる英語に書き換わって 出来上がってくるのです。 どうやって英語が喋れるようになったの? と聞かれると、こうやって一番最初の土台が 出来てきたのだと思うといつも答えていました。 とにかく英語を喋る機会を作ること、 そして、滅茶苦茶な英語でも恥ずかしくないと 思えるようになれば第1段階はクリアです。 ではその先を行くために、どうやったのかを 次回思い返してみたいと思います。 上田ガク |
2004-03-09-TUE
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