シリコンの谷は、いま。 雑誌の記事とはずいぶんちがうみたいです。 |
第44回 やっぱり、高性能のコンピューターを使って 仕事をしているのですか? インターネットでビジネスを行っている企業にとって、 コンピューターは欠かすことのできない商売道具です。 しかし、高価な大型コンピューターがずらり並んでいる という風景を想像されると、それはちょっと違っています。 インターネットを通じて提供されているサービスの 裏側で動いているコンピューターはどんなものでしょうか? ネット企業が使っているコンピューターといっても、 実は、家庭で使われているパソコンと ほとんど同じようなものなのです。 コンピューターの性能などは家庭用のものとほぼ同じで、 もし、ウィンドウズのOS(ソフト)を買ってくれば、 そのコンピューターでもインストールして ウィンドウズが使えるのですから、 まったく家のパソコンと中身は同じです。 家のパソコンと違うのは、厚さが3cm〜4cmぐらい、 奥行きと幅は、冷蔵庫の冷凍庫の扉ぐらいの大きさの 平べったい箱に入っていて、キーボードや画面は ついていません。 CDデッキや、アンプ、チューナーの積み上げ式のものを 想像してもらってもいいでしょう。 (ただし、1つの箱の高さは3〜4cmの。) なぜそんな箱に入っているかというと、 その箱のサイズが標準規格として決まっているので、 この箱型のパソコンなら 同じ場所に積み上げて設置できるからです。 1台の厚さが3cmそこそこですから、 同じ床面積のところに50台ぐらい 積み上げることができ、場所をあまりとりません。 ネット企業が使うコンピューターは、 大きさが小さいだけでなく、値段も家のパソコンと 大して変わりません。 はじめからこうだったわけではありません。 昔は企業といえば、高価な高性能なコンピューターを 使っていました。今は、企業でも 誰でも買える安いパソコンを沢山使っています。 企業向けの大型コンピューターは、 売れる台数も限られていましたから、 1台数千万円、高いものでは 1億円を超えるようなものもありました。 これに対してパソコンは、 一般家庭まで広く普及していますから、 大量生産されていますし、 市場での競争も激しいので、 とても安く手に入るようになりました。 その激しい価格競争の結果、 パソコンのコストパフォーマンスは、 他のコンピューターに比べ 群を抜いて良くなりました。すると、企業といえど、 高性能のコンピューターを使うより、安いパソコンを 沢山買ってきて組み合わせて使った方が遥かに 安く同じ仕事ができるようになってしまいました。 確かに今でも高いコンピューターは、 高い分、しっかり作られていて、 信頼性も高かったり、止まらずに動きつづけられるような 仕組みが組み込まれていたり、 非常に良くできているのです。 高いお金を出してでも、 品質・信頼性にこだわるという気持ちはわかる気がします。 しかし、シリコンバレーに来てからというもの、 そういった各コンピューターメーカーの 最上位機種なるものを見たことは一度もなく、 どの会社に行っても、平凡なコンピューターばかりでした。 企業のシステムでは信頼性が重要なのですが、 こういった安いパソコンのようなものを使うと、 信頼性は大丈夫なのか? といわれそうです。 確かに安いものは高価な企業向けのコンピューターに 比べると遥かに壊れやすいのです。 でも、そこは考え方をガラリと変えて対処することで、 安いコンピューターを使っていても、 あまり問題が起こることはありません。 どういう風にしてその問題を克服するかを 次回書いてみようと思います。 上田ガク |
2004-05-11-TUE
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