シリコンの谷は、いま。
雑誌の記事とはずいぶんちがうみたいです。

第46回
実力主義って厳しい?



能力主義とか実力主義という言葉を聞くようになって
どれぐらい経つのでしょうか?
ご存知の通り、実力主義は年功序列主義に対比される
アメリカ的な評価の仕組みで、最近では
日本の会社にも導入されるようになってきました。

この能力主義というのは、
シリコンバレーの会社でどのように実践されているのか、
観察してみることにしました。

確かにシリコンバレーでは、能力主義で会社が動いていると
言ってよさそうで、チームを引っ張る立場にある人たちは、
以前にも書いたとおり、まわりからは一目置かれるほどの
人物であることが多いと思います。

チームリーダーのような人でなくても、
頑張って仕事をすれば役割は増え、
チーム内でもより重要な仕事を
任されるようになるのですから、
この点も能力主義だといっても良さそうです。

しかし、能力主義という言葉から連想される
殺伐とした空気は会社の中では感じられません。

能力主義という言葉が醸し出す殺伐としたイメージは、
きっとそれが終わりのない競争を連想させるからでしょう。
でも、僕は働いていて、周りと競争させられているという
印象を持ったことはありません。

周りで働く人にはいろいろな人がいます。
自分よりも明らかに仕事が出来る人もいれば、
まだまだ経験が浅いなと思う人もいます。
仕事にのめり込んでいる人もいれば、
家庭と仕事のバランスを考えている人もいます。
つまり、仕事への態度は人それぞれなのです。

自分よりはるかに仕事が出来る人は、
その人の能力に合った困難な仕事に挑みます。
でも、誰もが同じ仕事をこなさなければ
ならないわけではなく、僕は僕の出来ることをやって
チームに貢献していくことが求められています。

仕事が出来る人は、僕よりも難しい仕事をやり、
それに合わせた評価を受けていると思います。
しかし、僕はその人を上回る成果を挙げなければ
いけないわけではありません。
各個人、自分のレベルにあった目標に
チャレンジしていけばよく、どちらかと言えば、
去年の自分に対して、「今年はどこまでやろう」
という目標を立て、それを達成するべく
仕事をしていく感じです。

人によって、より高い目標に進んでいくスピードは
違います。能力の高い人は、より高い目標に向かって、
駆け上っていきますし、そうでない人も地道に
自分のペースで上を目指していきます。

その実力主義は、全員に同じ仕事をさせ、
その中での優劣を競わせて、敗者をふるい落としていく
というのとは、まったく違っています。

最初調子良くても、途中から伸び悩む人もいれば、
スロースターターながら、着実に伸びていく人も
いることでしょう。
それぞれの社員が、それぞれのペースでより高い成果を
目指していけば、そこに勝ちも負けもありません。

それぞれが自分の力を出して、会社に貢献すれば、
それに見合った評価を得ることができるというのが、
僕が目にしている実力主義だと思います。

上田ガク

2004-05-25-TUE


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