〈O2〉では、2025AWシーズンに、 〈O2〉BASEという、日々の装いを支える 上質なベースアイテムをつくるシリーズを立ち上げ、 コットンベースの タートルネックカットソーを発売しました。
ありがたいことに、 初日にほぼ完売となるほど たくさんの方に手に取っていただき、 今季も継続してご紹介することに。 新しいカラーを加えて展開する一方で、 今季はもうひとつ、 新しい素材のアイテムも加わります。
それが、メリノウール。
これまで、名前こそご紹介していませんでしたが、 〈O2〉のものづくりを 縁の下で支えてくださっていた カットソーメーカー「ナラハラニット」さん。 あるとき、「こんな生地をつくったんです」と 見せてくださったのが、 オリジナルのメリノウール地でした。
触れてみると、 ふわっとやわらかく、なめらか。 これはぜひ、直接肌に触れる服にしてみたい! そこで今回は、 このメリノウールを使って タートルネックとショートスリーブインナーの 2型をつくっていただくことになりました。
そもそも、ナラハラニットさんって どんな会社なのでしょう。 そして、この気持ちのいいメリノウールは、 どのようにして生まれたのでしょうか。
3代目の楢原雅也さんに、 会社のこと、素材のこと、かたちのことを、 たっぷりお話を伺いました。
また、コットンベースのタートルネックには、 今季、新たに6色が仲間入り。 スタイリストの髙品逸実さんに、 それぞれのカラーを使ったコーディネートと、 着こなしのポイントを教えていただきました。
メリノウール
コットンベース
楢原 雅也(ならはら まさや)
大学卒業後、商社の食料分野で経験を積み、 2017年にナラハラニットへ入社。 異業種からニットづくりの世界へ飛び込み、日々学びながら、 これまで培ってきた経験や視点を生かして ものづくりに携わっている。 ナラハラニットが大切にしてきた 技術や想いを次世代へつないでいくため、 新たな挑戦を続けている。
教えて、ナラハラニットのこと。
─ 今回〈O2〉では、 はじめてナラハラニットさんのことを きちんとご紹介します。 まずは、どんな会社なのか、 その歴史からお話しいただけますか?
楢原 カットソーの企画・製造・販売を手がけている 創業1958年の会社です。 本社を構えている両国近辺って、 「○○メリヤス」とか「○○ニット」とか、 繊維関係の会社がすごく多い地域だったんですよ。 弊社も祖父母が小さな編み機を使って、 肌着をつくるところからスタートしました。
─ いまから68年も前ですね。
楢原 そうですね。 この20〜30年で 生産拠点が一気に海外へ移っていったことで いまは150社くらいにまで減りましたが、 当時はこのあたりだけでも 2000社ほど同業がいたそうです。 差別化を図ろうと考えたとき、 当時がちょうどベビーブームだったこともあって、 男性用の肌着から、 ベビーや子ども用品へと大きくシフトしました。 少子高齢化とはいえ、ベビー・子ども用品は 時代を越えても需要がありますから、 結果的に会社の強みになりましたね。
─ 「Chêne(シェヌ)」という オリジナルのベビー服ブランド、 とってもかわいいです。
楢原 ありがとうございます。 それもやりつつ、 最近はメンズやレディースのお仕事も かなり増えてきています。
─ ベビーや子ども用品をつくっていることが、 大人用の洋服をつくるうえで 役立っていることってありますか?
楢原 たくさんありますよ。 たとえば、 生地の加工などで使われることのある薬品についても、 子ども向けの服には 大人向けの服以上に厳しい基準があります。 あと、ベビーや子ども服って、 新生児から150cmサイズまで グレーディング(サイズ展開)が幅広いですし、 動きやすさを考えたパターンや 何度洗濯してもへたれない丈夫さ、 小さな袖口ひとつとっても、 大人服とは違う技術が必要です。 そういう細かなものを ずっとつくってきたからこそ、 いろんな要望に合わせることができて、 大人の服にも対応できるんです。 単純な話でいうと、 ミシンのアタッチメントは、 大人用のもので子ども用のものを縫うのは難しいけれど、 子ども用のもので大人用のものを縫うのは 問題ないですしね。
─ 細やかなものづくりが、 会社のスタンダードということですね。 会社のみなさんは、 ほとんどが女性なんでしたっけ?
楢原 そうなんです。 本社は、社長の父と私以外は全員女性。 20名ほどいる本社スタッフのうち、 パタンナーは9名います。
─ 9名! ほぼ半数ですね。
楢原 人数的には多いと驚かれる方も多いのですが、 弊社の強みであると考えています。
─ 社内にパタンナーさんがいることは、 制作のスムーズさにもつながりそうですよね。
楢原 そうですね。 工場から「ここが縫いにくい」と連絡があれば、 すぐパタンナーに相談して直せますし、 逆にパタンナーから 「こういう仕様ならできる?」と 工場に相談しやすいですし。
─ もしかして、 工場も自社でお持ちなんですか?
楢原 はい。 国内では秋田に自社工場があって、 裁断から縫製、仕上げ、検品までを そこで一貫して行っています。
─ 企画だけでなく、 川上から携わっているんですね。
楢原 そうなんです。 繊維産業自体、アジアで特に中国などの勢いもあって、 国内でつくり続けることがどんどん難しくなっています。 だからこそ最近は、 国内の生地メーカーさんとも一緒になって、 オリジナルの素材を開発することからはじめたり、 ちょっと変わった縫製に挑戦したり。 既製の生地を使うだけではなくて、 生地からパターン、縫製まで、 それぞれの得意な人たちと直接ものづくりをしていく。 そうやって、「ほかにはないもの」を目指しているんです。
2年かけてつくった、メリノウール。
─ 今回のメリノウールも、 生地メーカーと一緒に開発した 「ナラハラニット」オリジナルの素材なんですよね。
楢原 はい。 メリノウール自体、 意外とうちでは今回が初めてなんです。 2年前くらいから、 「メリノウールで何かできませんか?」 という相談をいただくことが増えていったので、 これはいよいよつくらねばと。
─ メリノウールはいま、 とても需要がありますもんね。
楢原 天然素材のメリノウールって、 吸放湿性が高くて、汗をかいてもムレにくい。 乾きも早いし、抗菌防臭性もあるので ニオイも気になりにくい。 夏は涼しく、冬はあたたかいので、 もともと登山のインナーなどにもよく使われていますよね。 でも、せっかく私たちがつくるなら、 普通にあるものを仕入れるだけじゃなくて、 もっと薄く、もっと肌ざわりのいいものに できないかなと思って。 そこから、生地メーカーさんと 何度も試作を重ねていきました。
─ 実際に触ったとき、 ほんとうにびっくりしました。 ふわふわで、なめらかで。
楢原 そこは、かなり突き詰めました。 使っているのは、 「エクストラファインメリノ」と呼ばれる とても細くて上質な羊毛。 一般的によく使われているウールよりも 繊維が細いため、 肌ざわりが格段になめらかで、 美しい光沢感があります。
─ ウールで感じやすい ゴワゴワ感、チクチク感がまったくない。
楢原 実は僕自身、肌が弱くて、 ゴワゴワ、チクチクする素材が苦手で。 冬もセーターを直接着られなくて、 必ず長袖を一枚はさむくらい。 だから、このメリノウールをつくるときも、 「もうちょっとチクチクしないように」 「もう少し気持ちよくできない?」って、 何度もお願いして(笑)。
─ つくり手が着たいと思えることが、 いちばんの説得力ですね。
やわらかいだけじゃ、ありません。
─ でも、この素材、 気持ちいいだけじゃないんですよね。 機能を聞いてびっくりしました。
楢原 いろいろな機能性を備えています。 特殊加工によって、 静電気や毛玉の発生も抑えていますし、 マシンウォッシャブルでもあります。 ウール素材って、 「手洗いしてください」とか 「つけ置きしてください」というものも 多いと思うんですが、 これはもっと日常的に扱っていただける素材です。
─ 洗濯すると、 縮んでしまわないですか?
楢原 そこも、縮みにくいように工夫しています。 本来のカットソー生地って、 熱や摩擦が加わることで 縮んでしまうんですね。 それはご家庭で洗濯するときだけじゃなくて、 服をつくる工程でも同じ。 ミシンで縫うときにも熱がかかって縮みます。 だから、弊社では裁断して服に仕立てる前に、 まず生地にしっかりと熱をかけて、 あらかじめ縮ませておくんです。 そうすることで、 お客さまの手元に届いてから洗濯を繰り返しても、 大きくサイズが変わりにくいというわけです。
─ 生地の段階で、 先に縮ませてしまうんですね。
楢原 その技術には、ベビーや子ども服を 長くつくってきた経験が活かされています。 ベビーや子どもの服って、 大人の服以上に何度も洗濯しますよね。 しかも、小さな服だからこそ、 少し縮んだだけでも サイズ感や着心地への影響が大きい。 私たちは昔から、 素材ごとにどのくらいの温度で、 どのくらいの時間、熱をかければいいのかを 慎重に積み重ねてきたんです。
─ 会社の歴史が、 いまのものづくりを支えているんですね。 ちなみに、このメリノウールも 秋田の自社工場で仕立てられたんですか?
楢原 羊毛そのものは海外のものですが、 そこから紡績して、 和歌山で生地を編み立ててもらい、 中京地域で染色してもらい、 最後は秋田の自社工場で服に仕立てています。
─ ほぼ、メイドインジャパン!
タートルネックと
ショートスリーブインナー。
─ さて、今回このメリノウールでつくったのが、 タートルネックと ショートスリーブインナーの2型ですね。 まずタートルネックは、 2025AWシーズンにつくった コットン×ポリウレタンの 「〈O2〉レディス タートルネックカットソー」が ベースになっています。 「首にきれいに沿ってほしい」といった 大事にしたいポイントをお伝えして、 メリノウールの素材感に合わせて 新しくパターンを引いていただきました。
楢原 ネック部分がクシュッとなりすぎないようにしたり、 首元がぺろっと外に返らないようにしたり。 角度なんかも少しずつ調整しましたね。 首に沿うんだけれど、窮屈にはならない、 絶妙な着心地を目指しました。
─ 薄手なので、一枚ですっきり着るのはもちろん、 シャツやニット、ワンピースの下にも重ねやすそうです。
楢原 そうですね。 メリノウールは吸放湿性があるので、 重ね着をして暑くなったときにも ムレにくいですよ。 冬って外は寒いのに、 電車や室内に入ると急に暑くなるでしょう。 そういうときにありがたいと思います。
─ そして、もうひとつが、 ショートスリーブインナーです。 こちらは〈O2〉で「アサメリー」とつくっている 襟ぐりがほどよくひらけた ショートスリーブインナーをベースにしましたね。
楢原 この襟ぐり、実はけっこう難しいんですよ。 深いU字なので、 やわらかい生地をきれいに縫うのは難しい。 場所によって、 縫い糸も3種類くらい使い分けています。 襟ぐりはちゃんと伸びて戻るように、 裾は逆に伸びすぎないように。 素材と場所に合わせて、 細かく変えているんです。
─ こういう細かな工夫が、 着たときの気持ちよさにつながるんですね。 ショートスリーブは、 秋冬はセーターやシャツの下で 汗を受け止めてくれるインナーとして重宝しますが、 この薄さと気持ちよさなら、春夏も着られますね。
楢原 メリノウールって、 一年中使える素材なんですよ。 冬はあたたかく、 汗をかいたら湿気を外へ逃がしてくれるので、 春夏にももちろん使っていただけますよ。
─ カラー展開は、ブラックと 少し青みを感じるアイスグレーの2色。 タートルネックのほうは、 柔らかなアイボリーも加えて3色。
楢原 アイボリーはいろいろな服に合わせやすく、 一枚でもきれいに見える色で、 人気があります。
─ そして、ここまでいろいろお話を伺ってきましたが、 やっぱりこのメリノウール、いちばん伝えたいのは 触れたときの気持ちよさ・・・・。 私たちも最初に触ったとき、 「こんなになめらかなメリノウールがあるんだ」 と驚きましたから。
楢原 まずは触って、 できれば実際に着て、 この気持ちよさを感じてもらえたらうれしいです。
コットンベースにも、6つの新色。
昨年好評いただいた コットン90%・ポリウレタン10%のタートルネックにも、 新しいカラーが加わります。 スタイリストの髙品逸実さんに、 6色それぞれの着こなしを考えていただきました。
アイボリー
トップスは同系色のスウェットを合わせ、 ボトムはブラウンなど秋らしい色でまとめて、 全体に統一感を出しました。 アウターを腰や肩に巻いて、 スタイリングのアクセントにするのもかわいいと思います。
スノーグレー
すっきりとしたシルエットなので、 オールインワンとも相性よく合わせられます。 アクセントに赤い靴を選んで、 コーディネートにポイントを加えました。
カモミール
光沢感のあるボトムや小物を合わせて、 素材感のコントラストを出しました。 コンパクトなサイズ感なので、 ワイドなボトムと相性がいいと思います。
スモークブルー
上下に色物を合わせていますが、 小物を黒で統一することで、 全体をすっきりとまとめました。 ベルトのバックルに合わせて、 シルバーのアクセサリーを取り入れるのも素敵です。
モカ
シックなブラウンなので、 女性らしいスカートを合わせても 大人っぽくまとまります。 スカートをパンツに変えて、 メンズライクに仕上げるのも素敵です。
ボーダー
モノトーンでまとめました。 シンプルなデザインなので、 ボトムや小物に少し個性的なアイテムを取り入れても かわいいと思います。