レシピはすべて公開します イトイ式── しょうがシロップの作り方

「手かげんしないしょうがシロップGOLD」は、
あなたのご自宅で、自分でつくることができます。
糸井重里がふだんつくっている方法を
ここにすべて公開しますので、ぜひ挑戦してみてください。

おしゃべりしながらの長いレシピです。
早くつくりたい方は
文字だけのシンプルレシピをこちらからどうぞ。

さあ、それではまいりましょう。
「ほぼ日」キッチンルームの糸井重里です。

─── よろしくお願いします。
イトイ よろしくお願いします。
もう、何度目でしょう、
会社のキッチンでシロップをつくるのは。
─── 3度目です。
ですが、前回のつくりかた紹介から
もう3年近くが経ちました。
イトイ ほぉ、そんなに経ちますか。
─── はい。
そのあいだに糸井さんのシロップ作りにも
おおきな変化があったとうかがっています。
イトイ そうですね、変わりました。
─── その変化は、
「手かげんしないしょうがシロップGOLD」に
反映されている、ということですね。
イトイ ええ。
そのポイントを、つくりながらお伝えします。
   
1.しょうがの皮をむく。
─── 今回は500グラムのしょうがで
つくっていただきたいと思います。

▲500グラム強の生しょうが
イトイ 500グラム。きりのいい数字です。
このしょうがは洗ってありますか?
─── はい、流水で洗いました。
イトイ ということは、まずは皮むきですね。
はじめましょう(しょうがを手に取る)。
この工程がいちばんたいへんなんです。
アルミホイルを丸めたもので
こすって皮をむく方法もありますが、
今回は包丁でふつうにやります。

─── 手伝います。
イトイ (皮をむきながら)ありがとうございます。
ここは、めんどくさいですよねぇ‥‥。
─── (皮をむきながら)地道な作業で‥‥。
皮はなるべく薄くむいたほうが?
イトイ (皮をむきながら)そうしてください。
─── (皮をむく手を止め)あ、そうだ。
たいせつなことを言い忘れてました。
イトイ (皮をむきながら)なんでしょう。
─── しょうが500gというのは
皮をむき終わってからの重さ、ということです。
イトイ (皮をむきながら)わかりました。
手がお留守です。
─── あ、すみません(皮をむく)。

▲しばし集中して、ていねいに皮をむきました。
 
2.しょうがを切る。
イトイ 皮をむきおわったら、
このしょうがをすべてスライスにします。
やはり包丁で、1~2ミリの厚さに。

─── わりと薄めですね。
イトイ (切りながら)薄く切るということは、
それだけ仕事が増えるということです。
でも、それでも、
しょうがの成分が出やすいよう、
薄めに切っておきたいんです。
─── 手伝います。
(切りながら)しょうがの繊維に対して
垂直に切るか平行に切るかについては、
どちらでもいいのでしょうか?
イトイ (切りながら)ええ、どちらでも。
切りやすい方向で構いません。
とにかく、薄めにスライスを。
─── (切りながら)はい。
 
3.切ったしょうがをオーブンに。
イトイ 切ったしょうがスライスを
このようにオーブンの天板に並べます。

─── オーブン。
この工程が、いままでと違うところですね。
イトイ そうです。
いいですか、たいせつなことですよ。
ここで、しょうがに熱を加えます。
─── 熱を加える。
イトイ 熱を加えると、
ショウガオールという成分が増えることを
ぼくらは学習しましたね。
─── はい。
しょうがに含まれるジンゲロールという成分は
熱が加わると
ショウガオールという成分に変化する。
で、そのショウガオールに、
からだを芯からあっためる効果がある。
イトイ 80~100℃に予熱しておいたオーブンに、
しょうがスライスを入れてしまいます。
一応、焦げないよう気にかけながら、30~40分。

▲ほぼ日のオーブンは100℃以下に設定できなかったので100℃で。
─── この段階で、しょうがに熱を。
イトイ それによって、
今まで以上にショウガオールを増やし、
あっため効果をアップしようというわけです。
─── もっとあったかく。
イトイ もっとあったかく。
 
4.スパイスの準備をする。
イトイ しょうがをオーブンに入れているあいだに、
スパイスの準備をします。
─── スパイスの種類は前回と同じですね。
イトイ そこは同じにしました。

─── 上からベイリーフ(月桂樹)1枚。
シナモンスティック1本。
下の左にあるのがカルダモン。
これをホールで3個。
その右にあるのがクローブ。2個ですね。
イトイ カルダモンは皮をむいて、
なかのつぶつぶだけを使います。
─── はい。
そして実はこの工程にも、
いままでになかった工夫があるんですよね。
イトイ そう。
スパイスを粉砕します。
─── 粉砕。
よりスパイシーにするために。
イトイ 粉砕するための道具を持ってきました。
これです。

─── おおー、石器のような‥‥。
乳鉢(にゅうばち)というものですね。
イトイ うちの「海大臣」でお世話になってる
「林屋海苔店」の相沢裕一さんが
アジアのどこかの国で買ったのを
おみやげでもってきてくれたんです。
相沢さん、ありがとうございます。
─── そんな重たいものをわざわざ‥‥。
イトイ これに、材料のスパイスを入れます(入れる)。
─── 手伝います。
カルダモンの皮をむいて‥‥
イトイ ベイリーフはある程度、手でちぎって‥‥
─── ‥‥入りました。
イトイ 粉砕っ。

─── ‥‥わりと、ちから仕事ですね。
イトイ ‥‥うん(ぐいぐいやっている)。
─── ‥‥‥‥。
イトイ (ぐいぐいやっている)
─── ‥‥すみません、手伝えなくて。
イトイ うん(ぐいぐいやっている)。
─── ‥‥これを持ってない人はどうしましょう。
イトイ すり鉢でもいいんじゃないでしょうか。
(ぐいぐいやっている)
フードプロセッサーでも。
それもなければ、ガラス瓶の底で
コンコン叩いてつぶすだけでも大丈夫です。
─── なるほど。
‥‥ああー、いい香りが!
イトイ (ぐいぐいやっている)
‥‥このくらいかな。

─── これは、このまま鍋に?
イトイ いや、お茶用のパックに入れます。
このままでもいいんだけど、
シロップの見た目が悪くなりそうなので。
 
5.オーブンからしょうがを出す。
イトイ そうこうしているあいだに、
オーブンに入れておいたしょうがが、
だいぶ乾燥している思います。

─── 100℃で30分。
目安としてはそのくらいの時間なのでしょうか。
イトイ 時間というよりも、感覚です。
目で見て、
「乾かした」という実感がもてるくらい。
たとえば、こんな具合です。

─── 表面が乾いてますね。
部分的にかりかりのところもあったりして。
イトイ もっと乾かしても大丈夫なんですよ。
煮ると元に戻りますから。
でもまあ、今回はこのくらいにしましょう。
   
6.煮込む。
イトイ 以上で鍋に入れるものの準備ができました。
─── 砂糖は今回も、きび砂糖で。

イトイ はい。
鍋に移したしょうがに、きび砂糖を500グラム。

イトイ 水の量はだいたいで構いません。
スライスにシロップがまとわりつきすぎないよう、
すこし多めかな? という600ccを入れます。

イトイ スパイスが入ったお茶パックを、ぽん。

イトイ 軽く混ぜます。

イトイ 点火しましょう。

イトイ これは土鍋なので弱火から徐々に強火に。
沸騰までもっていきます。

(時間経過)
イトイ 沸騰しました。
弱火にします(弱火にする)。

イトイ ふたをして、
ときどき様子を見ながら弱火で30~40分煮込みます。
アクはそんなに神経質にとらなくていいです。
─── ふたをするんですね。
イトイ ええ。
煮詰めることが目的ではないので。
─── なるほど。
イトイ しょうがに味をつけるのではなく、
「しょうがから成分を引き出す」
という実感をもちながら煮込みましょう。
─── はい。

(時間経過)
─── うちの土鍋、「ベア1号」の片口から
いい具合の湯気が出てますね‥‥。

イトイ ‥‥ぼくはその、片口のマネができますよ。
─── 片口の、モノマネですか。
イトイ やってもいいですか。
─── お願いします。
イトイ (やる)

─── わははははは!
 
7.仕上げにレモンを加える。
イトイ 歌を歌ったり
会社の仲間のモノマネをしているうちに、
30分が経ちました。
こんな具合ですね。

─── ああ‥‥きれいです。
しょうがとスパイスの香りもすばらしい‥‥。
イトイ しょうがが飴色に透き通ってきたら、
レモンを2分の1個しぼって‥‥。

イトイ 仕上げに、入れます。

イトイ ちょっと味見を‥‥。

イトイ (味見)‥‥たいへんよろしいのではないでしょうか。
─── (拍手)
イトイ 火をとめます(とめる)。


   
8.漉しながらシロップを容器に入れる。
イトイ というわけで、シロップは完成です。
ここから先はわかりますよね?
─── 漉しながら、瓶に入れる。
イトイ そう。簡単なことです。
「しょうがチップ」つくりかたも、大丈夫ですね?
─── はい。
かならず干して、チップをつくる。
イトイ そうです。
このしょうがスライスは
干さずにそのまま食べてもあまりおいしくないし、
食感もよろしくないんです。
すこしでも干したほうがいい。
そのことをぜひ伝えてください。
─── わかりました。
イトイ 以上、
コツはすべて伝えたので、ぼくは去ります。
あとは任せました、よろしくっ。
(エプロンをぱっとはずして、さっそうと去る)
─── ‥‥続けましょう。
まだ熱いうちに網で漉して、と。

─── あとは、
熱湯消毒しておいた瓶にシロップをうつして‥‥。

─── シロップ、完成!

▲今回はこれくらいの量ができました。
 
9.かならず干して、しょうがチップをつくる。
そして、
シロップをとったあとのしょうがスライスで
「しょうがチップ」をつくります。

糸井重里が言い残したことが、最重要ポイント。

「干さないで食べると、あまりおいしくない」

ぜひ、干しましょう。

シロップをとったあとのしょうがスライスを
1枚ずつ、こうして網の上などに広げて並べます。
シロップがたれるともったいないので、
なるべくシロップを切ってから並べるのがコツです。

並べたスライスは、
そのままひと晩おいておきます。
(天日に2、3時間あてることができれば、
 さらにナイスです!)

ひと晩おいたスライスに、
適量のグラニュー糖をまぶします。
これで、「しょうがチップ」は完成!
なるべく早めにお召し上がりください。
というわけで、
イトイ式「しょうがシロップ」のレシピは、以上です。

これであなたにも、
「手かげんしないしょうがシロップGOLD」がつくれるはず。
ぜひ、お試しください。
イトイ式 しょうがシロップのレシピ
(しょうが500グラムでつくる場合)

【材料】
しょうが:500グラム(皮をむいての重さ)
きび砂糖:500グラム
レモン:1/2個
水:約600cc
ベイリーフ(月桂樹の葉):1枚
シナモン:適量(スティックなら1本ほど)
クローブ(ホール):2個
カルダモン(ホール):3個
グラニュー糖(しょうがチップ用):適量

【つくりかた】

1.しょうがをよく洗い、皮をむく。

2.それを1ミリくらいにスライス。
 (繊維に対して垂直に切るか並行に切るかはお好みで)

3.切ったしょうがを天板に並べて、
  低めの温度80~100℃に予熱しておいたオーブンへ。
  様子を見ながら30~40分ほど加熱する。
  表面が乾燥している状態になったらOK。

4.スパイスの準備をする。
  カルダモンは皮をむいて中のつぶを使用。
  シナモンは適当な大きさに手で割る。
  ベイリーフとクローブはそのままで。
  以上を、乳鉢、すり鉢、フードプロセッサーなどで
  細かく粉砕する。
  そうした道具がなければ、
  ガラス瓶の底などで押しつぶすだけでも。
  粉砕したスパイスは、不織布のお茶パックに入れる。

5.鍋に、加熱したしょうが、きび砂糖、
  お茶パックに入れたスパイス、
  水600ccを入れて軽く混ぜる。

6.鍋にフタをして点火。
  最初は強火(土鍋の場合は弱火から徐々に)で、
  沸騰したら弱火にし、
  様子を見ながら30~40分煮込む。
  アクはそれほどとらなくても大丈夫。

7.しょうがが飴色に透き通ってきたら、
  仕上げにレモンを半個しぼって鍋に入れる。

8.火を止めて、スライスをザルなどに引き上げる。

9.茶こしなどで漉しながら、
  シロップを煮沸消毒しておいたビンに移す。
  ここで、シロップは完成。

10.鍋に残ったしょうがのスライスをザルなどに並べる。
  シロップがたれるともったいないので、
  なるべくシロップを切ってから並べるのがコツ。

11.そのままひと晩おいて、スライスを干す。
  (2~3時間、天日にあてればなおOK)

12.半乾きのスライスにグラニュー糖をまぶして、
  しょうがチップのできあがり。

13.シロップもチップも、保存は冷蔵庫で。
  なるべく早めにお召し上がりください。

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