特集
五月病と睡眠の関係
新年度がはじまり、はや1ヶ月。
今年も5月がやってきました。
毎日がんばっているけれど、
なぜかやる気がでないなぁ、という方も
いらっしゃるのではないでしょうか。
今回の寝グルメマガジンでは、
私たちの顧問である、
快眠セラピスト・三橋美穂さんに
五月病と睡眠の関係についてうかがいました。
五月病の原因は
睡眠不足!?
──
正式な病名ではなく俗称であることは
知っているのですが、
いわゆる五月病のことが気になっています。
三橋
はい。
──
新生活をはじめた人が、
5月頃になると急に無気力になるという。
個人的な経験でも、
知人の様子を見ていても、
やはりそれは、あるのではないかと。
三橋
そうですね。
──
眠りとなにか関係があるのでしょうか。
三橋
そうですね、「五月病かも」と感じたら
その原因はもしかしたら
睡眠不足にあるのかもしれません。
──
え、睡眠不足が?
三橋
ええ。
もちろん、さまざまな原因があると思うのですが
睡眠は心身におおきく影響するので、
五月病のひとつの原因に
なってしまうことがあるんです。
三橋
新年度がはじまり、
身の回りの環境がかわった、
というかたも多いと思います。
あたらしい環境に適応するためには、
たくさんのエネルギーを消費しますが、
睡眠が不足してしまうと、
身体をうまく回復できなくなってしまうんです。
──
ああ‥‥。
三橋
さらに身体が回復しないだけでなく、
メンタルにも悪い影響があります。
──
メンタルにも。
三橋
ええ。
脳のはたらきと関係しているので。
すこししくみをご説明します。
──
おねがいします。
三橋
まず、睡眠が足りていないと、
脳の扁桃体というところが
過剰に反応するようになってしまいます。
これによって、
ちょっとしたことでイライラしてしまったり、
不安を感じやすくなります。
──
たしかに。
睡眠不足のときって、
イライラしてしまいがちです。
三橋
そうですよね。
そんな状態が続くと、
気分が落ち込んでしまったり、
やる気が出なくなってしまったり。
いわゆる五月病のような状態になってしまいます。
──
なるほど。
三橋
あと、睡眠が不足すると
注意力が非常に低下します。
──
それは以前教えていただきました。
睡眠不足の脳は、
酔っ払っている状態とおなじくらいの
注意力しかなくなってしまうと。
三橋
はい。
そんな状態で勉強やお仕事などをしても、
なかなかうまくいきません。
そのせいでストレスを感じたり、
できなかった分をカバーしようとして
徹夜したりしてしまうと、
どんどん睡眠不足になっていきます。
──
悪いループに陥ってしまう。
三橋
そうなんです。
ですから、
なんだかうまくいかないな、というときには
一度思い切って、たっぷり眠ってみてください。
それで解決することもあります。
──
落ち込んでいるときって、
なにが原因なのか、
自分では気がつけなくなってしまいます。
睡眠不足が原因かも、と
知っておくだけでもラクになりそうです。
心をやすめる
ルーティーン
──
睡眠不足が五月病の原因になりうる、
ということはわかりました。
ですが、
なにかミスをしてしまった日は、
そのことで頭のなかがいっぱいになって、
なかなか寝付けなくなってしまいます‥‥。
不安で眠れないときには、
いったいどうしたらいいのでしょうか?
三橋
そういうときのために、
眠る前のルーティーンをもっておくと、
いいですね。
──
ルーティーン。
三橋
ええ。
リラックスできて、
心をやすめてくれるようなことを、
毎晩、眠る前におこなってください。
眠りに入りやすくしてくれる効果があります。
──
どんなことをしたらよいのでしょう。
三橋
それはもう、これまでおすすめしてきた、
たとえば、
入浴や、かるいストレッチなど、
続けやすいものがいいです。
──
手軽にできるものがいい。
三橋
ええ。
筋弛緩法も、とても手軽です。
──
これまで何度かご紹介してきた、
いくつかの方法はすべてシンプルですよね。
三橋
すこしその気になれば、
気楽に続けられるものばかりです。
こうしたルーティーンをもっておくと、
出張先や旅先などで
眠る環境がかわっても、
心をおちつけてくれるので
安心して眠りやすくなりますよ。
眠れないのは
自分をまもるため!?
三橋
心と睡眠について、
こんなおはなしもあります。
──
はい。
三橋
人間の身体って、
ほんとうにショックな出来事があったときには、
あえて、眠れないようになっているんです。
──
え? あえて?
眠ったほうが回復できて、よさそうですが‥‥。
三橋
そう思いますよね。
ですが、睡眠には
記憶を定着させるはたらきがありますから、
ショックな出来事があったときに眠ってしまうと、
そのいやな記憶が脳に定着してしまうんです。
──
ほう‥‥!
三橋
「いやな記憶をわすれるために、
眠れないようにする」
と言われています。
──
なるほど!
ショックで眠れなくなるのは、
自分をまもるための
機能のひとつだったんですね。
三橋
ですから「眠らなきゃ」と、
焦りすぎる必要はないんです。
──
はあ~、そういう考え方を
したことはありませんでした。
なるほど‥‥そうか‥‥
嫌な記憶を定着させないために‥‥。
人間の身体は、ほんとうによくできています。
三橋
ですがこれは、
ほんとうにおおきなショックな出来事が
あったときのおはなしです。
普段はしっかりと眠ることで
心も身体も回復しますから、
なるべく睡眠時間を確保なさってくださいね。
──
はい。
忙しいときこそ、
よく眠るように気をつけます。
三橋先生、本日もありがとうございました。
(おわります)
眠りのなやみ、
おしえてください。
日ごろ、眠りについて気になっていること、
疑問に思っていること、困っていることはありませんか?
ささいなことでもかまいませんので、ぜひ教えてください。
「ねむくま」編輯部と、顧問の三橋美穂さんが、
いっしょに調べて回答します。
寝グルメじまん、
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そんなノウハウやグッズがあったら、ぜひ教えてください。
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