永田農法は、それぞれの野菜や果物の原産地に近い環境をつくり、
限界まで水やりを控えて野菜を育てます。
別名「スパルタ農法」ともいわれています。
今から50年以上前、
熊本県の天草でミカン農園を継いだ若き日の永田照喜治さんは、
平地で育ったミカンよりも
岩山で育ったミカンのほうが甘くておいしいことに気づきました。

農業に関しては素人同然だった永田青年でしたが、
このことをヒントに、先祖代々受け継いできた田畑を売り払い、
周囲の人に驚かれながら岩山を購入して、そこにミカンを植えました。

岩山のミカン栽培で、
試行錯誤をくり返すうちに
永田青年は、九州大学の
福島栄二教授と出会いました。
当時、砂栽培を研究していた福島教授は
天草の岩山でミカンを栽培する
永田青年に興味をもち、
当時、開発されたばかりの
「窒素」「リン酸」「カリウム」という
野菜が必要とする三要素からなる
液体肥料の存在を
永田先生に知らせました。

「岩山栽培と液体肥料」という
組み合わせで始まった栽培方法。
改善を重ねていくうちに
さらに甘いミカンが
それまでの3倍のスピードで
成長することになったのです。

こうして生まれた栽培方法を他の野菜にも応用して完成したのが永田農法です。

岩山でいろんな果物や野菜の栽培をつづけるうち、
たまたまめくった週刊誌のグラビア特集を見て、
永田さんは、とても驚きました。
そこには、原産地のアンデスで、
岩だらけの乾いた土地で育つトマトの写真が載っていたのです。
岩山での栽培は、知らず知らずのうちに
原産地の環境をつくりあげて育てることにつながっていました。
このことから、永田農法は、「ルーツ農法」とも呼ばれることになったのです。