経済はミステリー。
末永徹が経済記事の謎を解く。

第51回 11月3日 新宿


大きめの書店を見かけると、
いちいち中に入って
新刊書の置かれている辺りをウロウロする。
「ほぼ日ブックス」を見つけて、ほっとする。
並び方が乱れていたら、直してしまいますね。
自分の部屋はゴミ箱同然の汚さでも平気なのに。

「ほぼ日ブックス」の
「小さくて、かっこいい」ことは、
著者にとって本当にありがたい。
僕ら肩書きを持たない人種にとって、
新しく出た本は、時に、名刺の代わりをするものだから。

一番いいのは、誇大広告な文句をちりばめた
カバーやオビがついていないことなんです。
「昔、証券会社で高給をもらっていた人」の書いた本です、
なんてカバーやオビがついていたら、
みっともなくて人前に出せないでしょ。
「とればいい」と言われるかもしれないけど、
普通の本の装丁では、
カバーとオビをとったら新品に見えない。

「本は、親しい人に渡すためのものではなくて、
 不特定多数の未知の人に買ってもらうためのもの」
だという出版社の言い分は、
もちろん、わかるんですけどね。
(広告としてうまいか下手かは、また、別の問題)

著者は、カバーやオビも、事前に確認は求められます。
しかし、「これは、イヤ」と言える雰囲気はないんですよ。
偉い作家になったら、違うのかもしれませんが。
だから、ハデな宣伝文句のついた本を見かけて、
「こいつ、自意識過剰」って思わないで下さい。

と、少し話がそれましたが元に戻して、
「ほぼ日ブックス」は著者にとって嬉しい本です。
あらためて、糸井さん、アッキィさん、
朝日出版社のみなさん、ありがとうございました。

さて、既にみなさま御存知でしょうが、
去る11月3日紀伊国屋書店で
「ほぼ日ブックス」発刊の記者会見がありました。

その後、隣のビルの8階のカフェバー
(って、言わないのかな、今は)で、
ビュッフェスタイルのパーティーとなりました。
パーティーの趣旨は、
一仕事終えた後の慰労、打ち上げ、です。
しりあがりさんにお礼を申し上げられてよかった。

ところで、お世辞抜きで言ってますが、
「ほぼ日」も朝日出版社も、
なかなか美人ぞろいなんですよ。
しかも、この日は記者会見の主催者だから、
みんな、いつになくパリっとした格好。

ふっと会場を見渡して、僕は、
「知らない人が紛れ込んだら、
 合コンに見えるんじゃないかな」
と思った。
会話の内容を聞いたり、
奥のほうに糸井さんを発見したりすれば、
ただの合コンじゃないとわかるけど、
パッと見た光景だけから判断すれば、合コン。

食事が並んだテーブルの回り、バーカウンターのあたり、
壁際のベンチシートなど、人の集まりが点在している。
きょうは、お世話になった人を見つけて
お礼を言って回ればいい。

もし、合コンだったら、どのグループに入っていくか、
重大(でもないか)な選択ですね。
あるグループの輪に入ったら、
少なくともしばらくの間、他の人とは話ができなくなる。
そこにあったはずの運命の出会いを逃したかもしれない。

「他の選択肢を失う」ことは、コストなんですね。
経済学の用語では「機会費用」といいます。

2001-11-14-WED

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