── |
万博で「太陽の塔」をごらんになって以降の
TARO体験は、どんなものでしたか? |
みうら |
そうだねえ‥‥、
顔のグラスはとりあえず手に入れたよ。
あれは、とりあえず手に入れた、うん。
それから、浪人のときに
買ったんだと思うんだけど、
これを読んだよ、『画文集 挑む』。
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みうら |
この本、つまり、岡本太郎さんの本と、
横尾忠則さん、あと、池田満寿夫さんの、
3人の本を買ってさ、
「さて、どれになろうかな」って思ったわけ。 |
── |
‥‥それで、どなたに? |
みうら |
まあ、ルックスが
横尾さんがかっこよかったんで、
横尾さんに決めたんだ。うん。 |
── |
横尾さんが昔、ご自分の職業を
「イラストレーター」とおっしゃってたから
みうらさんもそうした、って
聞いたことがありますけど。 |
みうら |
うん。ていうかさ、
(『画文集 挑む』の表紙を指して)
こういう絵を描いてさ、
将来、どう持ち込んだらいいのか、
わかんないじゃん? |
── |
持ち込むって、出版社にですか? |
みうら |
そうそう。
もうちょっと生活に即した絵を描いたほうが
食っていけるかなー、と思って
漫画家とかになったんだけど(笑)。
はじめから「これ」
(『画文集 挑む』の表紙を指して)
は、ハードル高かったですね。 |
── |
なるほど(笑)。 |
みうら |
岡本さんの本では、このあと、
祭りの本を買ったわ。
『日本再発見』だったと思う。 |
── |
それは、どんなきっかけで? |
みうら |
俺、「とんまつり」っての、
やってんだけどさ。 |
── |
はい、知ってます知ってます。
地方の、おもしろいお祭りに
よく行ってますよね。 |
みうら |
おれ、もともと祭りが嫌いでさ。
だいたい、デートするじゃん、祭りで。 |
── |
デート。まあ、しますね。 |
みうら |
俺は、中学高校と男子高でさ、
イタイ人生を送ってたのよ。
俺、京都出身だから、
祇園祭とか、デートするイメージがあって、
すっごい嫌ってたんだ。
京都って四六時中祭りやってんだよ。
祭りはデートのにおいがプンプンしてたから、
京都はたまんない場所なんだよ。 |
── |
デートのにおい‥‥。
まあ、そうなんですね、はい。 |
みうら |
それでさ、デートできないような祭りが
あるっていうのを
7年くらい前に知ったんですよ。
それは「カスハガ」っていう
カスみたいなハガキを集めてたとき
気づいたんだけど。 |
── |
「カスハガ」は、
絵ハガキとして売られているのに、
「いったいなんで、
この写真を絵ハガキに採用?!」と
驚愕するような、カスなハガキのことですね。
それを、みうらさんは
コレクションなさっていた。 |
みうら |
そうそう、それで、
股に棹さしてる、
ひょっとこのお面つけた男の人の
絵ハガキを見つけたの。 |
── |
ははははは。 |
みうら |
「なんだろう?」って思って。
こんなハガキ、買うやつも買うやつだし、
出すやつも出すやつだし、
もらったやつももらったやつでしょう。
なんでこんなムダなことがあんのかな、
と思ったら、それ、祭りの写真でさ。
佐渡島の「つぶろさし祭り」。 |
── |
つぶろさし? |
みうら |
つぶろってね、ひらがなで書くんだけどね、
男根のことなの。
「つぶろさし祭り」。 |
── |
はい、はい。 |
みうら |
これは、日本に
とんでもない事態が起こっていると。
これには、さすがに
「デートの人たち」も行かないぞ、と。
俺は、この祭りなら行ってもいいだろう、
ということで、行くことにした。 |
── |
それが「とんまつり」。 |
みうら |
要は日本の「奇祭」と呼ばれてるものなんだ。
でも「奇」っていうと、
なんかかっこいいイメージじゃん?
だから「とんまつり」って呼んで、
よりすぐりのとんまな祭りばかりに
行ってたんだけどさ。
そういうことに興味をもって、
祭りの本とかを
いろいろさがすとね、
やっぱりひっかかってきちゃうんだよね、
岡本さんに。
先にやっちゃってるんだよ。 |
── |
そうなんですか。 |
みうら |
岡本さん、
日本を憎んでたと思うんですよね、
パリに行ってたりしたし。 |
── |
また、急に。
憎んではいなかったかもしれませんが、
パリから戦争で日本に戻り、
兵隊にもとられましたからね。 |
みうら |
そうやって、日本に帰ってきて、
縄文とか、土着のものに魅かれる気持ち、
わかるんだよ。
それは、ださいものなんだよね、やっぱり。
「ださい」って言葉は
本(『日本再発見』)には
書かれてなかったけど。 |
── |
なるほど、「ださい」。 |
みうら |
「ださい」って言葉が生まれたのは、
俺らが大学ぐらいのときなんだけどね。
それまでは、なかったから、
俺、わっかんなくてさー、
ユースホステルで歌うたったり、
糸井さんにカセット聞かせたりしてたんだ。 |
── |
「みうらに自作の歌をよく聞かされた」
と、言っていたことがあります。 |
みうら |
あれは、「ださい」行為だったんだ。
でも俺、ぜんぜん気がつかなくて!
そんなカテゴリーが、なかったから。
(来週の水曜日に、つづきます!)
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