書店に平積みされた少女漫画の単行本を
開いてみると、そこには
めくるめく、TAROワンダーランドが
くり広げられていた!
『オッス! トン子ちゃん』は、
TAROを好きな人はもちろん、
これから知ろうとしている人にも、
ぜひ手に取ってほしい一冊です。
「太郎サまで 太郎サまで
 アタスらしさとか言うダスか!」
 主人公にこんな言葉を言わせる作者、
タナカカツキさんのTARO観とは?


第4回
TAROはなぜ、もてたのか。


── みんなほんとは美に出会いたいからこそ、
TAROに魅かれるような気がします。
タナカ うん、あの人は両方できてるからね。
だって、すごーく紳士的ですやん。
あんなむちゃくちゃなかんじにみえて、
ちゃんと本を残して
敏子さんという人がいて。
あんなん、
ようできたな。

ふつうは「おかしい人だった」で
終わる場合が多いですよね。
ちゃんと意識的に
できてるというのがすごい。
── 万博をはじめ、いろんな難しい関係性のある
大仕事をたくさんなさっている。
敏子さんはいらっしゃいましたが、
いわゆるブレーンのような、
采配するスタッフはいなくて、
すべてTAROのキャラクターをもって
自分でやっていらっしゃったわけですよね。
タナカ すごいな!
── タナカさんご自身は、どうでしょう。
タナカ むりむりむりむり、あんなん、むり。
すごいすごい。
なんなんだろうね。
── すてきですよねえ!
タナカ 俺、女子だったら、
ほんまに惚れるかもしれない。
── 惚れますよ!
タナカ というか、なんとか悪口言いたいんだけどね。
だって、越えていきたいから(笑)。
岡本太郎にも悪いとこがあったんだよ、
というのを聞いたら、ホッとするんですけど。
── ‥‥ないですねぇ。
タナカ 小学生やったら、スポーツができて
勉強ができたら、もてるわけですやん。
その時期はみんな、
そこにいちおう向かっていく。
そこから、
「なんでこんなやつがもてるのか」を
考えるようになる。
ファッション誌のまんま
カッコええ服来てる人が
もてているかというと、そうじゃない。
どっちかいうたら、カッコ悪いでしょ。
どんどん「ほんとにもてるためには」と
いうことについて、考えていくわけです。
そうやって、自分のなかで
「もてるスター」をさがしていくんだけど、
太郎は、
もてる分野で言ったら、
すごいね。
── TAROのいったいどこが
もてる要素なのか、
ちょっとうまく言えませんね。
でも、女の人に関しては
きれいな服を着て、
髪もきちんとしているほうがいいでしょう。
タナカ いやいや、
きれいにしている女の人は、
くだらん男に、もててるんでしょ?
── いやいや、
くだらなくない男の人も
きれいなほうがいいんだ、ってことを
女性は知らずにいたりするんです。
つまり、きれいにしておくことが、
男性にとっての基本的な
快適空間だということに
気づいていない女の人も多いと思うんです。
タナカ え?
── どちらかというと、
おもしろ系の女の人よりも
きちんとしているの女の人のほうが
いいでしょう。
タナカ いや、それは一概に言われへんで。
俺は、きれいで仏頂面してる人よりも


「ウガーウ!」

こんな人のほうがいい。
── そ、それは、また極端ですが。
タナカ なんでか、言いましょか。
きれいな人と「こんな顔の」人、
いたとするやん?
今後、そのふたりを時間軸でみていったら、
きれいな人は減点法なんですよ。
マイナスの人生です。
きれいな髪も傷んでいき、
きれいな目もくぼんでいく。
でも、「こんな顔の」人は、もう、
最初から0点やん。
それ以上は、下がらへん。
── でも、その時点で0点を選べないですよ。
タナカ いや、僕は時間軸とあわせて
4次元でみているの。
こいつは「マイナス」の人生や。
こっちは「0点」や。
「マイナス」と「0点」だったら、
「0点」のほうがいいでしょ。
── 言ってるだけのような気が‥‥。
タナカ いやいや、そうやないねんて。
「0点」の女の人といっしょにいると、
いいところがみえてくる。
でも、「100点」の人と、
ずーっといっしょにいたら、
嫌なところがみえてくるんです。
こいつは、
かわいがられるのが
うまいけれども、
かわいがるのは
うまくないな、

と思えてくる。
── かわいがられるより、
かわいがる人。
タナカ そう。
「あ、この人は、人をかわいがる人だ」
そういう視点でみていくのよ。
── でもその視点は、だいぶ
大人になってからでしょう。
タナカ (間髪入れずに)はい。
ものすごい高齢になってからです(笑)。
でも、僕らはこれから
高齢に向かっていくんだよ、全員。
高齢を基準にしていかなくては。
若いころの価値観を
ひきずっていてはだめです。
── つくりがきれいでなくても、
心がかわいい人がいますから。
そういう人は、顔もかわいくなっていますね。
タナカ うん、それがいちばんやわ。
じつは、かわいい人って、マジックで
かわいいと思わされているだけなんです。
人間まるままは、そんなにかわいくない。
でも、かわいくみえるオーラが
そうさせているんです。
だって、よく笑う女性はきれいですもん。

つくりがよい顔で

↑こんな表情の人よりも

↑ブスでもぜったい、こういうかんじで
表情のきれいな人のほうがいいよ。
── ‥‥(笑)そうか。
若いころは衝動や欲望に
つられてしまいますけれども。
タナカ 若いころは、ものごとを
時間軸で考えられないので、
パッとみて、きれいなほうを選んじゃうよ。
それは、あやまちなんですよ。
わけわかってないもん。
でも、ゆくゆくは、
しらじらしい気持ちに
なることでしょう。
── そうですか!
タナカ つきあってみたらわかるんですよ、
おもんないからね。
反応悪いし、
しゃべってることに耳を傾けたら
なんや、オチあらへんやん、ということばかり。
「こないだスキー行って、
 すっごい、超〜楽しかった」で終わりやん。
でも、ブスでニコニコ笑う奴は、
スキー行った話もおもろいもん、きっと。
「私さいごには雪だるまよ!」とか(笑)。
そんなんのほうが、
いっしょにいて楽しいなって思うもん。
ほんで、そういううちに、
かわいくみえてくるのよ、マジックで。

(つづきます!)

2004-01-20-TUE

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