糸井 |
小さいころは、
絵を描くことについての夢や興味は
ぜんぜんなかったんですか? |
大西 |
まーったく、なかったです。
絵描きになるなんて、
もうそんなん、
思いつきもしませんでしたし。 |
糸井 |
そうなんだ。 |
大西 |
小っちゃいとき「何になりたいの?」
って言われたら、
僕は「トラックの運転手」とか
「パイロット」とか、
そんなん言うてました。
絵描きになるなんて、
ほんっっっとに、思わなかったです。 |
糸井 |
でも、「太陽の塔」をみたときの
インパクトはすごかったし、
岡本太郎のことは
ずっと気になってたんですよね。 |
大西 |
ずーーーっと気になってました。 |
糸井 |
じゃあ、もしかしたら、
「岡本太郎を気にしてるタクシーの運転手」に
なってたかもしれないんだ。 |
大西 |
きっとそや思いますわ。
タクシーの運転をしながら、
太郎先生のこと、
ずっと気にしてたんやろうと思います。
万博には「太陽の塔」のほかにも
カナダ館とか、メキシコ館とか、
いろんなパビリオンがあったわけです。
いっぱいあったんですけども、
ひとつも憶えてないんですよ。 |
糸井 |
「太陽の塔」以外は。 |
大西 |
ええ。そんだけインパクトがあった。
だからいま、大人になっても
「太陽の塔」については
たくさんしゃべってしまうんです。 |
糸井 |
家は、万博会場から近かったんですか? |
大西 |
いえ、当時の家は八尾市だったので。 |
糸井 |
じゃ、ずいぶん遠いですよね。
「太陽の塔」の本物を見る機会は、
そんなには、頻繁ではなかったんですね。 |
大西 |
いや、万博の会期が終わっても
エキスポランドに遠足に行ったりとかで、
「太陽の塔」は、常に、
どっかで目にしていたんですよ。 |
糸井 |
「太陽の塔」をみると、
そのつど、なんか感じる? |
大西 |
はい。もう、行くたびに。
「塔の下まで行ってみたいな」とか、
「もっと遠く離れてみてみたいな」とか。
生駒山とか信貴山とか、
山がいくつかあるんですけれども、
「あの生駒山からやったら、どうみえるかな?」
とか、しょっちゅう考えていました。 |
糸井 |
ひゃー、
そんなに一生懸命やれることなんてないよ、
子どものときなんて。 |
大西 |
まったく、そうなんですよ。
なんかしらんけど、
熱心にあれこれ考えてました。
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糸井 |
「太陽の塔」以外のもので
岡本太郎に触れた経験は?
コマーシャルぐらいでしょうか。 |
大西 |
コマーシャルですね。
太郎先生はコマーシャルで
「芸術は爆発だ!」って、
言うてはったんですよ。
「芸術は爆発だ!」の、
「爆発」というのは、
いったいなんなんやろ?
なにが爆発なんや?
今度は太郎先生の言葉が
めっちゃ、気になりましてね。 |
糸井 |
(笑)いちいち、
岡本太郎のやることが
気になるんですね? |
大西 |
テレビ出てくるなり
「爆発だ!」言うてるし(笑)。
太郎先生のひと言ひと言に、
すっごく敏感に反応してしまったんですよ。
爆発って、ねぇ?
キャンバスがポーンあって、
絵の具をバーンぶちかけたんが、爆発なのか。
それとも、ダイナマイトみたいな、
爆竹みたいななかに絵の具が入ってて、
パーン火つけて、
キャンバスでバーン爆発さすんが、そうなのか。
単純に、子どもの頭で
もういろんなことを‥‥ |
糸井 |
想像するんだ(笑)。
ひとつのことを、
ずーっとしつこく考えるタイプなんだね? |
大西 |
気になったら、
なんやしらん、しつこいんですよ。
(つづきます!)
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