アニ |
(TARO MONEYを手に)
しかし、よくよく考えると、
「お金」と「芸術」って、極端ですよね。 |
ほぼ日 |
そうなんですよ。
太郎さんも「対極主義」ですし。
註:「対極主義」とは、対立するふたつの要素を
そのまま共存させるという主張。
岡本太郎の芸術の根幹をなすと言われている。 |
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アニ |
ヒップホップも
出会わないものをまぜる、というところで、
「対極主義」なんですよ。 |
ほぼ日 |
アニさんは、岡本太郎に、
わりとすごいハマりかたを、
しかも長きに渡って、なさっているらしいのですが。 |
アニ |
5年くらい前からですね。
岡本太郎のことしか考えてなかった時期とか、
あったもんなぁ。 |
ほぼ日 |
岡本太郎のことしか?!
アニさんの「マイ『太陽の塔』」。
いつもはテレビの上に飾っていらっしゃるそうです。 |
アニ |
うん。ありましたねぇ。
たぶん最初に、
『岡本太郎が撮った「日本」』、という本を
見たのがきっかけだったと思います。
岡本太郎が撮った写真が、
すーーーごくよくて。
いろいろいろいろ調べて、
東京近郊の岡本太郎作品の残ってるところをめぐって、
で、大阪の『太陽の塔』まで行ったんですよ。
本物は、ありえないくらいでかくて、
「これかあ!!」と思いました。
『太陽の塔』は、ヨメの実家の近所なんですけど、
ヨメは子どものときからぜんぜんふつうに見てるから、
「そんなになるのはわからない」と言われまして。 |
ほぼ日 |
アニさんが岡本太郎さんをお好きなこと、
まったく気づいていませんでした。 |
アニ |
あまり人に言っていなかったからなあ。 |
ほぼ日 |
アニさんがブログに書かれて、ようやっと‥‥。
あのブログの『太陽の塔』の写真は、
いつ撮られたんですか?
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アニ |
あれは、去年のお正月かな。 |
ほぼ日 |
お正月? |
アニ |
毎年行くんです、初詣に。 |
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ほぼ日 |
‥‥‥‥『太陽の塔』に? |
アニ |
ええ、『太陽の塔』に。毎年。
初詣は『太陽の塔』の真下まで行って
「どうだ!!」と言うことにしているんです。
つまり、初詣で、いつも挑んでるわけなんですね。
でも、「だめだったな、俺、超えてねーなー」って、
毎回負けて帰るんです。
『太陽の塔』の中にも入りましたよ。 |
ほぼ日 |
そういえば、ハガキを出して抽選に当たると、
『太陽の塔』の中に
入れたんですよね。 |
アニ |
そう、1回目に応募してはずれたから、
ヨメの家族が何枚もハガキ出してくれて。
「好きみたいだから」って。 |
ほぼ日 |
それは、やさしいご家族で
よかったですね。 |
アニ |
ええ。
なんかあるたんびに「好きだ」って言ってたんで。
ヨメの家族も、
俺がものすごく過敏になってることの理由が
さっぱりわかってなくて、
「なんでこの子は、あれ(=『太陽の塔』)に
そんなに異常に反応しているんだろう?」
ってなかんじでしたけど。 |
ほぼ日 |
『太陽の塔』の中、入られて、どうでした? |
アニ |
中にいる時間がすごく短かったんで、
どうにかしようと思って、
「そうだ、中で
でっかくなった気分になったらどうだろう?」
と思うことにしました。
『太陽の塔』の正面のほう向いて、「むーん」って、
「俺が中身としてギューンって大きくなって
ここにいるかんじ、どうかなあ」と。
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ほぼ日 |
‥‥ははははは。 |
アニ |
そんで、あれ、ほんものの根元のとこまでいくと
すっごいでかいでしょう。
ものすごい、怪獣ぐらいある。
あれは、つまり、
きっと本人のスケールが、
だいたいあんくらいだったんでしょうね。
「本人だいたい、こんくらい」ってことの
あらわれなんでしょうね。 |
ほぼ日 |
ご本人は
そんなに大っきくない人ですが、 |
アニ |
そうそう、
でかさとしては、だいたいこんくらい(笑)。
「ほーんと、こんくらいあるなあ」と思って、
負けられない、と思いましたよ。
いつのまにか無言になってた。
『明日の神話』もね、でかいっすね。
俺が生まれた頃に描かれた絵ですね。
『明日の神話』のパンフレットを
ものすごく熱心に見るアニさん。 |
ほぼ日 |
巨大です。
横の長さが30メートルあります。 |
アニ |
やっぱ、本人のスケール、
こんくらいなんだろうなあ。
本人いないぶん、
作品だけ残ってるから、
よけいそういうことになる。 |
ほぼ日 |
このTARO MONEYの利益は、
『明日の神話』の修復や運搬、展示の費用に
充てるために、寄付されるんです。
『太陽の塔』と『明日の神話』は、
また、違うインパクトなんですよ。 |
アニ |
うん。『太陽の塔』はスッとしてるもんね。 |
ほぼ日 |
『明日の神話』と『太陽の塔』は
ほぼ同時期の制作だと言われているんですが、
よく同時期に、これだけテイストのちがった、
しかもでかいものをつくれたなぁと、思うんです。 |
アニ |
でもまあ、ご本人のなかではいっしょなんでしょうね。
『太陽の塔』は、かなりのものをそぎ落として、
シンプルに要素だけにしたら、こうなった、
という抽象化で、
『明日の神話』はもう、
思いの丈を盛り込んだ!気が済んだ!
と、そんなかんじがしますよ。
同じ時期にやった、ということで
バランスとれてるんじゃないでしょうか。
(お話は明日につづきます!)
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