鶴瓶 |
糸井さんはいろいろと
ものを書いたり、つくったり
売ったりしてるよねぇ。
いやぁ、よう考えるわ。 |
糸井 |
でも、思ったようにいかないことも
たくさんありますよ。 |
鶴瓶 |
思ったより売れないこともあるわけ? |
糸井 |
だいたいは、
思ったほどは売れないですよ。
ほんとは、もっともっと、
売れるんじゃないかって
いつもじつは思ってたりする。 |
鶴瓶 |
図に乗ってんのとちゃう?!
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糸井 |
ははははは。 |
鶴瓶 |
図に乗ってるよ、なぁ?
そんな、売れるもんじゃないよ、
この世間というものは。 |
糸井 |
というより、
万馬券を当てた人を見たりなんかすると、
「いいなぁ」と思う、
あの気持ちと同じなんですよ。
小穴ぐらい当たったとしても、
「万馬券当てた人もいるしなぁ」
と思うと、
ちょっと寂しくなることって、ありません? |
鶴瓶 |
人を見たら‥‥もう、
きりないわ! |
糸井 |
師匠(笑)、
まったくそのとおりですね。
いやぁ、いつもながら、
勉強になります。 |
鶴瓶 |
「あんなぎょうさん出てはる人いるなぁ」とか
「レギュラー多いなぁ」とかね、
そんなん思いはじめたら、きりないよ。
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糸井 |
ぐふふふ。 |
鶴瓶 |
別にレギュラー取ろうと思て
この世界入ったんとちゃうけどね、
そういう、だいたい、
レギュラーなんて関係ないわけよ、落語家は! |
糸井 |
そやそや。 |
鶴瓶 |
ふつうにしゃべれたらそれでいいわけやし、
言うたらね、
ものすごうまいこといってんのよ?
せやけど、ほか見たら、万馬券出とる。
それを人に言われて
「俺も万馬券くらい出とかなあかんのかなぁ」
って、ふと思ってしまうんですよ。
こないだも、道歩いてる素人さんに
「もっと出なあかんよっ」
って、声をかけられたんです。
「ちょっと待って」と(笑)。 |
糸井 |
鶴瓶さんなんて、もう、
万馬券でしょう!
歩く万馬券ですよ。 |
鶴瓶 |
歩く万馬券‥‥ぐふふ、
万馬券ほどやないけど。 |
糸井 |
いやぁ、鶴瓶さんに会うと
勉強になるわ。
リアリティがあったわ、いまの! |
鶴瓶 |
また、俺には言いやすいんやろね。
「みんなもっとやったはんのに。
がんばらないかんよ!」
がんばってるって!
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糸井 |
はははは。 |
鶴瓶 |
けっこう、がんばってきた、35年!
ずーっとがんばってきて、
いまもがんばってるつもりや。
せやけど、
「まだまだや」
「みのさんなんか、よう出てるやん。
元気やし、年いったはるし、
よう知ったはる」
と言われるんです。
もう‥‥出てない人と
競争したいわ!
(次回につづきます)
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