糸井 |
♪きぃーたぐーにぃーのーーー
たァーびひーのーそほーらぁーー
‥‥っていう歌があるじゃないですか。
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南 |
うん。小林旭。
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糸井 |
あれって阿久悠さんがああいう歌詞をつけたから
急に北国の歌になっちゃったんだけど、
曲をつくった大瀧(詠一)さんとしては、
ウエスタンのつもりだったんだって。
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南 |
へぇーー。
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糸井 |
いわれてみるとさ、
メロディーの感じは、そうなんだよ。
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南 |
ああ、たしかに、
壮大な景色が見えるような感じだね。
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糸井 |
ポッカポッカと馬に乗りながら行く感じね。
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南 |
♪たァーびひのーそぉほーらーーー。
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糸井 |
ポッカポッカポッカポッカ‥‥。
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南 |
ああ、ほんとだ。
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糸井 |
ポッカポッカポッカポッカ‥‥
ポッカポッカポッカポッカ‥‥。
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南 |
ずいぶん行くね、馬が。
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糸井 |
ポッカポッカポッカポッカ‥‥
ジャーン! ジャーン!
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南 |
なにそれ。
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糸井 |
シンバル。
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南 |
シンバル。
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糸井 |
まえにね、公園で、芋煮会をやったの。
こーんなでっかい鍋を持ってきて、
飯島奈美さんと、みうらじゅんと、
梅佳代ちゃんと、銀杏BOYZとかで集まって。
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南 |
うん。
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糸井 |
そのとき準備した鍋がでっかいからさ、
フタも、こーんなに大きいわけよ。
で、みんなでそれを公園に運ぶときに、
オレが鍋のフタを2個、両手に持って、
シンバルみたいにして、
「ジャーン! ジャーン!」って鳴らしてたら、
みんながほんとに「うるさい」って。
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南 |
あはははは。
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糸井 |
最初はちょっと笑ってくれたりもしたんだけど、
だんだん、本気で「うるさい!」って怒るんだ。
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南 |
あはははは、そりゃほんとにうるさかったんだろう。
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糸井 |
うん。ほんとうにみんなに怒られた。
でもさ、そう言われると、
またちょっと鳴らしてみたくなるだろう?
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南 |
ハハハハハ。
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糸井 |
それで、まぁ、怒られながら、
芋煮をやる予定の場所に着くまで
ジャーン、ジャーンと鳴らしながら行進した。 |
南 |
もう、目に見えるようだね。
目に見えるだけでなく、耳にさわるようです。
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一同 |
(笑)
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糸井 |
で、鍋ぶたシンバルを
ジャンジャン鳴らしながら歩いて行くと、
そこに、みうらじゅんが待っててね。
みうらに聞かせたんだ、「ジャーン!」と。
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南 |
みうらさんはなんて言ったんですか。
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糸井 |
「うるさい」って言ってたよ。
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南 |
アハハハハ。
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糸井 |
「糸井さん、それはうるさいですよ」
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南 |
ものすごくうるさかったんだね、それは。
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糸井 |
そうだと思う。みうらが言うくらいだもの。
「ぼくはだいたい
糸井さんのやることは受け入れる人間だけど、
それはうるさいと思いますよ」だって。
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南 |
まちがいないね。
(ほんとにうるさかったんです。つづきます) |