第8回 パイロットと客室乗務員とメイド。
糸井 高砂親方がね、つまり朝潮がね、
パイロットシャツを着てたじゃないですか。
で、あれはいくらだとかそういうことになって
「パイロットのシャツ」というものに
意図せず注目が集まってしまった。
あれは、なんていうか、エピソードとして
ちょっとよかったですね。
南 大ちゃん(笑)。
糸井 ま、いろんなこと引っ張り出せる話でしたけど、
「それほど、パイロットというのは
 憧れの職業だったんだ」
ということをぼくは言ってみたいですね。
南 うん、なるほどね。
糸井 パイロットとか、パーサーとかね。
実際、ぼくの身のまわりにも
空の職業に憧れてる人は何人もいましたよ。
結婚詐欺師なんかも、
よくパイロットに変装しますしね。
南 パイロットでもないのに
パイロットの格好をして空港内に入って
つかまっちゃう人とかいるよね。
糸井 軍人とかパイロットっていうのは、
わりと変装されるよね。
それを考えると、
スチュワーデスに変装ってのはあんまりないね。
風俗的な商売以外では。
南 キャバレー、スッチーとか。
糸井 スチュワーデス‥‥あ、違う、
スチュワーデスって言っちゃダメらしいよ、いま。
「客室乗務員」とかって言うんだよ。
南 あ、そうかそうか。じゃあ、言い直そう。
こないだ客室乗務員がさ!
糸井 会話に馴染まないことばだね(笑)。
南 なかなかこの。客室乗務員がね‥‥。
糸井 あとさ、こう、欲情する対象としては、
「客室乗務員」ということばは
そういう話の中にセッティングしづらいね。
つまり、「客室乗務員マニア」って
ちょっと変でしょう?
南 そうかな。
糸井 というか、最近は
そういうフェチズムはないのかな。
昔はさ、そういう様式への
フェチっていうのが多かったじゃない?
スチュワ‥‥客室乗務員とかさ。
デパートで働く女の人とかさ。
大会社のOLとかさ。
南 そうなのかな。制服っていうのは
いまの人も好きなんじゃないですかね。
糸井 でも、いまって、「猫耳」とかさ、
抽象化してるでしょ?
南 なに? 「猫耳」って?
糸井 その、なんていうの、『綿の国星』みたいな、
猫の耳をこうつけてみたりさ。
あるいはメイドの格好したりとかさ。
なんていうか、もうそれ、観念じゃないですか。
南 ああ、そうだね。
だいたいさ、メイドっていうもんがさ。
糸井 うん。いないよ、そんなもん。
南 いないよ、そんなものは。
見たことないぞ。
糸井 ちょっと、いま、オレたち、
典型的なじじいの対談をしてないか?
南 してる、してる(笑)。
「最近の若い者は、カフェかなんかしらないが‥‥」
糸井 「そうだよ、キミ!」
南 いいねえ。じじい対談(笑)。
糸井 子どもんとき、どうしてあんなものを
あんなに熱心に見てたんだろう?
南 すっごい見てたよね。
糸井 やだなーって思いながらね。
南 日曜日だね。
ミユキ野球教室の前かな。
糸井 伸坊はあれ、イヤじゃなかった?
南 イヤじゃないよ。
糸井 あ、俺はね、イヤだなあと思ってた。
ほら、怒るからさ。
南 でも、糸井さんのことを
怒ってるわけじゃないから。
糸井 でも、怒る人って苦手なのよ。
南 そうか、苦手なんだ。
糸井 で、なんだっけ?
南 メイドの話だね。
糸井 そう、そう。だからさ、
こういう服を着た女の人がいい、
なんていうろくでもない話ではあるけどさ、
昔は、本当の、現実に即していたわけだよ。
「三菱銀行の銀行員」だとかさ。
「JALの客室乗務員」とかさ。
南 べつに、そんなに熱心に語らなくても
いいんじゃないかな。
糸井 それが、いつの間にか、マンガで描いたものを
ほんとうにつくってみたりして、
どんどん観念化してるっていうかさ!
南 べつに、そんなに熱心に語らなくても
いいんじゃないかな。
糸井 いわばその、なんていうのかな、
「フェチのCG化」ですよ!
南 え?フェチのCG化!
糸井 どうだ、当たってるだろう。
南 ははぁ、これは、広まっちゃうね。
「フェチのCG化」っていうことばが
インターネットでバーッと広がる。
糸井 もう、泥棒も読んじゃうね。
南 アハハ(笑)。
「それはさぁ、フェチのCG化じゃない?」
なんつったりしてね、泥棒なのに。
糸井 伸坊んちにはカギがかかってないぞ、
って思いながらね。
南 いや、だからかけてますって。
ちゃんとカギはかけてますから。
(のたりのたりと、つづきます)

2008-05-06-TUE


(C)HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN