黄昏 た そ が れ  日光・東北編       南伸坊さんと、糸井重里。昔なじみのふたりが、始終しゃべりながら小旅行。前回は鎌倉の名所をめぐりましたが、今回は日光、松島、花巻あたりを回ります。ゆっくと変わる風景と、めくるめく無駄話。いったいいつまで続くのかな‥‥? そしてこの不思議な企画は、なんとすべてをまとめて本になるのです。いえ、ほんとの話です。
第32回 どじょうとナマズの関係。
糸井 どじょうを捕ったことはある?
南 あったかな? ないような気がするね。
糸井 「うさぎ追いし、かの山。
 どじょう釣りし、かの川」。
南 それは「こぶな」だね。
糸井 「こぶな」だね。
子どものころは、こぶなとどじょうを
いっしょに捕ってたよ。
南 どじょっこだの、ふなっこだの。
糸井 そうそう(笑)、春が来ればね。
南 食べたことはあるけど、
捕ったことはないなぁ、どじょうは。
糸井 どじょうって、食べるときは
ちょっとわくわくしたりするんだけど、
そんなにうまかぁないんだよね。
うまいんだけど、とびきりじゃないというか、
毎日食いたいねという感じじゃない。
南 ああ、そうかもしれない。
糸井 いまの人たちはもう、
食べるっていうイメージがないかもね。
南 どじょうに対して?
糸井 うん。もう、「絵」でしょ、どじょうって。
食べるものとか、捕るものじゃなくてさ。
南 ああ、そうかもしれないね。
マンガとしての、どじょう。
糸井 その意味でいうと、どじょうより、
ナマズのほうが価値があると思いませんか。
南 は?
糸井 ナマズのほうが、親方っぽくないですか?
南 親方? は?
糸井 だからさ、
フナ釣りに行った小学生がいるとするだろう。
その小学生がフナを釣っている横で、
中学生のおにいちゃんが
コイを釣ったとしてごらんよ。
そうすると、小学生たちは、当然、
「やっぱりお兄ちゃんたちはすごいな」って
思って尊敬するわけじゃないか。
南 うん。
糸井 そういう、フナとコイの関係と同じように、
どじょうとウナギの関係ってのは‥‥
あっ、ウナギじゃないや。
南 ナマズだね。
糸井 ナマズ、ナマズ。どじょうとナマズの話。
南 でも、いま言おうとしているその話は、
ウナギでもできそうだね。
糸井 どじょうとウナギで?
‥‥ああ、ぜんぜん問題ないね。
南 ね(笑)。
糸井 まぁ、でも、いったん、
ナマズではじめちゃったわけだからさ。
南 そうだね。ナマズで進めようか。
糸井 つまり、一般的に、
どじょうの親方にあたるものとして
ナマズを考えているんじゃないかと。
南 イメージとして。
糸井 イメージとして。
南 ナマズは「ネコ」って呼ばれたりするよね。
糸井 ああ、言うね。
あれ? そうだっけ? ナマズがネコ?
南 英語で「キャットフィッシュ」と
いうんじゃなかったか?
糸井 ああー、そうだ、そうだ。
「キャットフィッシュ」。
ってことは、
やっぱりルックス的なものなのかな。
冷静に考えると、
あんまり似てないように思えるけどね。
南 そうだね。
あ、でも、オレがナマズだとすると、
ネコになるのは、できるような気がする。
一同 (笑)
糸井 「本人」としては(笑)。
南 うん。たぶん、いける。
糸井 うん、いけると思う(笑)。
伸坊自身からナマズにも
いけるんじゃないかな。
南 衣装もラクそうだね。
黒く塗って、ヒゲ生やして。
糸井 なんの話、してたんだっけ。
南 ええと、どじょうとナマズの関係性について。
糸井 そうだ、そうだ。
だからね、ぼくらが子どものころは、
どじょうを釣りに行って、
誰かがナマズを釣ったなんて聞いたら、
うらやましくてしょうがなかったよ。
ヒゲの生えた魚を釣るなんてすごい、と。
南 うん(笑)。
糸井 ほら、マンガに出てくるナマズって
ちょっと知的な存在じゃないですか。
地震起こしたりするしさ。
だから、ナマズとか、モグラとかに、
どうも一目置いてしまうんだよ。
南 ああ、メガネかけてて、みたいな。
糸井 そうそう(笑)。
南 フクロウなんかもそうだね。
糸井 そうそうそう(笑)。
南 役得だよな、フクロウって。
糸井 そうね。長老ぶったりしてさ。
南 ああ見えて、
意外に若いのかもしれないぞ。
糸井 知ったかぶりしてるだけで、
現場の経験は少なかったりしてな。
南 モグラだって、メガネなんかしてるけど、
目はいいのかもしれないぞ。
糸井 いや、あれはサングラスでしょう。
南 あっ、そうか!
(こんな話が、まだつづきます)

2009-11-05-THU

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