ほぼ日手帳成功物語。
ある意味で世界一の手帳をつくるバカたち。

 

第一回 手帳がほしいっ!!

突然ですが、みなさま。
ロボットにたとえるならば、
特にあちこちのネジが足りない「あやや」でございます。

「ほぼ日手帳欲しいですか?」の
アンケートに答えてくださったみなさま。
そして「ほぼ日手帳」どうなったの?
と気にかけて下さっていたみなさま、
ほんとうに、お待たせいたしました。
そして今回初めて
ほぼ日手帳のことを知ってくださったみなさま、
ほぼにちわ。

このたびマーケティング局のページから独立して
ほぼ日手帳ができるまでの報告をすることになりました。
第1回目は、アンケートをとるにいたるまでの経緯と
そのアンケート結果が「ほぼ日手帳」を作る上で
どのように役に立ったのかをお話をします。

●思えば私たちは、
 ずっと前から“手帳”が欲しかったんだったっけ!

5月に突然思い立った
みたいに思われている「ほぼ日手帳」ですが、
じつは、鼠穴では以前から、
つくりたいと話していた手帳があったのでした。
それはちょっと特殊だけど、
「ほぼ日生徒手帳」。
darlingの提案だったのですが、
ほぼ日精鋭クルーこと「われら馬鹿の子組」が
常日頃持ち歩いて、大事なことを忘れずに、
ちょっとはマシな仕事ができるようになろう、
というものでした。
でもそれを、わたしたちの人数分つくるには、
手間がかかりすぎる(お金も!)という理由から、
実現にはいたりませんでした。
よく現われては消えていく
いつもの「小さなアイデア」として
いつのまにか、忘れかけていたんです。

5月に、「ほぼ日ストア」次のおたのしみ商品会議の時、
「手帳がほしいよね」
という提案が出たときも、
たぶん、みんな、あの「ほぼ日・生徒手帳」のことは、
忘れていたにちがいありません。わたしは忘れてました。
ただ、「手帳」というキーワードに、
みんなが過剰なまでに「欲しい!」と反応した裏には、
この生徒手帳のことがあったと思うのです。

●「じゃあ、どんな手帳が欲しいんだろう?」


“手帳”とひと口に言っても、
いろんなタイプのものがあります。
ほぼ日スタッフそれぞれが
勝手に思い描いている“手帳”像に
どれくらいの違いがあるかを調べるため、
ほぼ日スタッフみんなで、
それぞれふだん使っている手帳を持ちよって、
「ここがいい」とか
「これはちょっと使いづらい」
などとわいわい言い合いました。
そのときに全員の共通見解として、
「いま自分たちが使っている手帳は、
 自分なりに使いやすいように工夫したり、
 それなりに愛着はあるんだけど、
 使っていて何となく違和感を感じるんだよなあ」
ということがありました。
「その違和感ってどういうことなのだろう?」
と考えてみると、
「どうも自分たちの生活している時間との
“ズレ”が原因じゃないだろうか」
ってことがわかってきたんです。
というのも、インターネットを使うようになってから
夜の11時以降のテレホーダイなんかを
例にとってみてもわかるように、
生活時間が夜型になっている人が
確実に増えていると思うんです。
postman@1101.com宛てのメールを見ても、
夜中に送られてくるものが圧倒的に多いですし、
インターネットに関わる仕事をしている
ほぼ日のメンバーだけでなく、
ほぼ日読者の人たちもやっぱり同じで。
「スケジュール欄が9時〜5時きっかりでOK」
な人ばかりではないんだと実感しています。

ほぼ日内で話していたどんな手帳が欲しいか
というのをまとめてみると、

1.余計な情報が少なく、書込み欄が充実している。
2.名刺やメモを収納するスペースがたくさんある。

この2つに絞られました。
「この2つの条件を満たすためには?」
と考えてほぼ日内で最初に出た極端なアイデアはズバリ、
“24時間手帳&たるみ手帳”。
これがどういうものなのかを簡単にご説明しますと、
「24時間のスケジュールが書き込めて、
 名刺やメモした紙がザブザブ入るように
 カバーがややたるんでいる手帳」
ということなんです。
この“24時間手帳&たるみ手帳”
というアイデアが出たとき、
「これなら誰もが喜ぶにちがいない!!」
と鼠穴は大盛り上がりしたのです。
しかし、と同時に、
ふと私たちの中にある疑問が沸いてきました。

「ほぼ日読者の人も手帳を欲しいと思っているのかなあ?
 もしかしたら手帳が欲しいのは俺たちだけかもしれない。
 そもそもいま手帳って必要なものなの?
 それにほぼ日の作る手帳を
 みんなは欲しいと思ってくれるのかなあ?」


●即座に、700通のアンケートが返ってきた!!

今までほぼ日では、Tシャツやパーカー、永久紙ぶくろなど
“布もの”を作って販売してきました。
しかし、今回の手帳はいつもと勝手が違いますし、
正確な数字はわからないけれど、
製作コストもいつも以上にかかりそうです。
とすると、
「いくら自分たちが欲しいと思っても、
 欲しいと思う人が少なかったらやめたほうがいい」
ということが前提条件にもなります。
それが読者のみなさんに、
「ほぼ日手帳ってもの、ほしいかなぁ?」
というアンケートをとることにした理由でした。

そうして、アンケートの募集をしたのが5月2日。
数日のうちに返ってきたアンケートの回答は、
数も、そしてその内容も、
私たちの予想をはるかに超えるものでした。
前にもマーケティング局からお知らせがありましたが、
集まったアンケートの総数は、約700通。
しかもそのうちの8割、いや9割もの人が
「ほぼ日が手帳を作るなら、ぜひ欲しい」
と回答してくださったのです。
この結果は、私たちにとって、
驚きでもあり、そしてもちろん、うれしいことでした。
そして、この瞬間に
「ぜったい、ほぼ日手帳作るぞ!!」
と鼠穴の気分は一気に盛り上がったのです。


●アンケート結果でわかったことは・・・

し、しかし・・・・
アンケート結果をじっくり読んでみたところ、
あまりにもいろんな意見、希望があることが
わかってきました。
たとえば、
「できるだけ小さくてシンプルな手帳が欲しい」
という方もいれば、
「手帳はできるだけ書き込めるところが多くって
 重厚そうな方がいいですー」
なんて方もいます。
「地下鉄路線図はぜったいはずせません」
という方がいたかと思えば、
「私の住んでるところは地下鉄が通ってません。
 よって地下鉄路線図なんてあっても困るだけです」
という方も、当然、いらっしゃるわけです。
「手帳はできるだけシックで、
 むしろ地味くらいなものがちょうどいいと思います」
という方に対して、
「全面おさるの絵がいっぱいの、
 超かわいいのがいい〜〜!!」
なんていう方もいたりして、
つまり、ほとんどの意見に対し、
180度違う意見も、また、存在しているのです。
ある人にとっては必要なものが、
ある人にとっては全く要らないんだということが
よくわかりました。
また、これ以外にも、
「アラーム機能をつけてほしい」
「ディズニーランドの混雑状況が知りたい」
「分度器は必要です」
「生活の知恵を載せて
 “イトイ家の食卓”というのはどうでしょう??」
など、とにかく十人十色の意見が集まってきます。
すべてを取り入れようと思ったら、
広辞苑並みのぶ厚い手帳になってしまう!!
読めば読むほど、悩みは深くなりました。

●「ほぼ日」らしくやろう。その答えは?

でも、アンケートをとってみて
みなさんそれぞれが
手帳に対して思い入れを強く持っていて、
真剣に考えているんだということが
改めてよくわかりました。
だからこそ、何としても
「ほぼ日」らしくあることを基本として
なおかつ毎日持ち歩きたくなるような
魅力的な「ほぼ日手帳」をほんとに商品化してみたい!
という気持ちが強くなったんです。

作れるかもしれないし、作ってみたい!
という思いが、あらためてわたしたちの中に
生まれたのでした。

「ほぼ日」と皆さんは
パソコンの前だけのおつき合いですが、
「ほぼ日手帳」だったらパソコンの前を離れても、
近所に行くときも、仕事をするときも、旅行先にだって、
とにかく毎日持ち歩いてもらえます。
言ってみれば、それだけでほぼ日手帳は、
ほぼ日の読者の「生徒手帳」のようなものに
なれるかも知れません。

そんなふうに思いながら、
「ほぼ日手帳」づくりがスタートしました。
と言っても、ここまでは会議や空想や決意だけの結果。
現実に「ほぼ日手帳」を実現させるとなると、
どんな業者の方々と組むかという問題からはじまって、
製作時間、デザイン、制作コスト・・・・などなどなど、
クリアしなければならない、
いくつもの難題があることがわかってきたのです。

<つづく>

2001-07-19-THU
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