第二回
どうなる!?ほぼ日手帳。
ほぼにちわ、あややです。
先週からはじまった「ほぼ日手帳成功物語」
本日は第二回目です。
読者のみなさんのアンケートに後押しされて
「ほぼ日らしくて、
しかも毎日持ち歩きたくなるような手帳を作りたい!」
とほぼ日スタッフの意思は固まりました。
しかし、「いざ作ろう!」と決意したものの、
鼠穴ってなかなか全員が揃うことってないんです。
そんななか、なぜかごはん時には
みんなの集まりが異様にいい。
そこでそのごはん時を狙って、
鼠穴3Fのソファでゆったりしながら
まず最初に、「ほぼ日らしい手帳ってどんなもの?」
ということについて話し合ってみることにしました。
●手帳についてたらうれしいものって?
こういうミーティングは最初の一言が
その後の方向性を決めるものです。
今回の場合、それは、木工用ボンドガールの一言でした。
「ちっちゃいハサミが付いていて欲しい!」
わーお、何てステキなアイデアなのかしら!
この一言にシェフ武井が追随して拍車をかけます。
「あっ、でも、ハサミがアリなら、
カッターとかもほしくなるよ」
すると、また別のところからは、
「爪切りは必要じゃん?
だって無性に爪切りたくなるときってあるもん。」
「それだったら仕上げに爪やすりも欲しい!」
はたまた
「小さい温度計が付いていたら、うれしくない?
やっぱきょうが何度かって重要よ」
「ねえ、だったら針と糸のセットも
いざと言うときのお役立ちアイテムでしょう」
に対して、darlingさえも
「針か・・・だったらルアーだろ!」
あげくのはてに、
「迷子になったときのために
コンパスと方位磁石があったらいいよ」
などなど、とにかくもう
全部挙げていたらキリがないくらい、
いろんなバカバカしい案
(しかし、そのときは
何て素晴らしい手帳だろうと本気で思ってました・・・)
が出たんです。
いまの私から見ると、
「それはただのサバイバルキットじゃねえか!」
とつっこみを入れたくなるような方向へ、
話は進んでいったのです。
●手帳として必要なものは・・・・
この流れに「ちょっと待った」をかけたのは
いつものようにdarlingでした。
「ちょっと待て!
お前らが七つ道具みたいなものが好きなことは
十分わかった。
ていうか、俺も好きだ。
でもまあ、それはまた別のものとして
また別の機会に考えようではないか。
いまは手帳だからなっ。
いいか、“手帳”だっ!」
そうでしたっ!
私たちが作ろうとしているのは“手帳”です。
もう一度根本的なところに戻ってみると、
そもそもいろんなものがザブザブ入る
“たるみ手帳”が欲しいということが原点でした。
そこで、もう一度その原点に戻って、
「“たるみ”に何をはさむのか?」
ということを考えてみることにしました。
その結果、出てきたのは以下のようなものでした。
・バンドエード1枚
・はんこ
・切手
・困ったときの500円玉
・常備薬
そして、これらを全部満たすためには
いっそのこと、
「一つの“たるみ”ではなく、
それぞれが入るビニールポケットを
その大きさ別にいろんな形で5、6個つければいい!」
ということになったんです。
うーん、さすが、ポケット好きの私たち。
これです、これがほぼ日らしさです。
(と、その時は思っていたんです・・・。)
●難題発生!!
さて、みんなの希望するもの(=ビニールポケット)が
決まったところで、突然西田店長が立ち上がります。
「よしっ、そしたらどうやったら
みんなが希望するような手帳が作れるか調べてこよう!」
と威勢よく宣言したかと思うと、
おもむろに携帯電話を取りだし、
早速心当たりの業者さんに
アポイントメントを取りはじめました。
西田店長と言えば、
ほぼ日Tシャツ、永久紙ぶくろ、フレンチパーカー、
HOBOP&HOBOT、ほぼ日クレジットカードに至るまで
あらゆるグッズを作りつづけてきた歴戦の勇士。
ほんとに頼もしいっ!
それから飛び回ること約1日。
鼠穴に戻ってきた西田店長。
威勢よく飛び出していったはずなのに
どうも様子がおかしいのです。
口を真一文字に結んで、厳しい顔をしながら
「ダメかもしれない・・・」
とつぶやいたのです。
どうやら、1日いろんな業者さんに会って
具体的な話を聞いてみたら、
いくつものクリアしなくてはいけない問題があることが
わかってしまったらしいのです。
まず、いろいろ入るビニールポケットについてです。
これは、予想をはるかに超えるコストがかかる
ということでした。
業者さんから聞いた額は、
当初、西田店長が手帳全体でかかると予想していた額と
ほぼ同じくらいの額でした。
この時点で西田店長の中で
「こりゃ、まずいかも・・・」
といういやーな空気があったそうです。
次にわかったことは、
いままで「ほぼ日ストア」で作っていたグッズと違って、
手帳の場合はカバーを作ってくれる業者さんから
中身の印刷をしてくれる印刷屋さん、
それに肝心のビニールポケットを作ってくれる業者さんまで
複数の業者さんが関わらなければ
絶対にムリだというのです。
となると、
最終的に出来上がったきたパーツを
誰がどこでどうやって組み立てて手帳として完成させるの?
えっ!?
もしかして、私たちが家内制手工業で
1コずつ組み立てることになっちゃうの!?
そして、さらにダメ押しになった問題は、
印刷屋さんによる、
「手帳はチラシや名刺を印刷するのとは
わけが違うんですよ。
手帳の中身を印刷するのには
時間がすごくかかっちゃうんですよ」
という発言でした。
理由は、
「手帳は、1ページずつレイアウトをして、
さらに校正した上で、印刷しなくてはいけない。
それに手帳はいろんな会社で作っているものだから、
その時期は手帳製作で
印刷所がいっぱいになっちゃうんです。
だから普通の印刷物よりも
時間を多めにみていただきたいのです」
というものでした。
その厳しい調査結果を鼠穴に持って帰ってきた西田店長。
その調査報告を聞いていたスタッフの中からも
ためいきが漏れたりして、みなうつむき加減です。
「手帳はあきらめるしかないのかなあ・・・・」
口にこそ出さなかったけれど、
みんなが同じようにそう思っていたはずです。
鼠穴全体を嫌な沈黙が覆います。
スタートしたばかりの
「ほぼ日」手帳の雲行きが
にわかに怪しくなったそのとき、
何やら考えごとをしているように、
ずっと黙って西田店長の報告を聞いていたdarlingが
突然、大きな声で叫びました。
「そうだっ! これで問題解決できる!」
ええっ!?
いったい、どういうことですか!?!?
<つづく>
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