|
|||
こんなタオルを探してたんだ! |
*ほぼにちわ。タオルチームのモギモギコです。 前回は、ほぼ日が考える 「革命的にやさしいタオル」について お話ししました。 ●最高の品質のパイルでありながら、 ●最高の品質のガーゼでもあるタオル そういうタオルを、いま、 ほぼ日は作っています。 (現実の時間では、もう工場が動き出しています) 今日は、ちょっと時間を巻き戻して、 ほぼ日が<やさしいタオル>を 作るきっかけになったこと、そして、 タオルプロジェクトにかかわる ある重要人物との出会いについて お話しさせてくださいね。 ********************** 「タオルを作りたいねー」 と、私たちが話し始めたのは、 今から3年以上も前のことになります。 それから、長い時間をかけて、 前回お話ししたような コンセプトが生まれてきたわけなのですが そこには、ひとりの“タオル研究者”の 協力がありました。 “ドクター・コットン”と 私たちが密かに呼んでいる、 繊維の権威であるOさんという男性でした。 Oさんとの出会いは、 3年前にさかのぼります。 「タオル作りたいよねぇ」 と、漠然と、でも 決して口先だけではないというつもりで話していた 私たちのところに ドクター・コットンから 最初のメールが届いたのでした。 それは、「ほぼ日」の一読者としての、 ごくふつうのお便りでした。 そう、「ぼくはこんな仕事をしているんですよ」 という、お便りです。 ほぼ日を愛読してくれているということ、 繊維についてとても詳しいということ、 なかでもタオルについては 深く広い知識と、良質のものを作るための 技術的なコネクションを持っているということ。 作りたいタオルのアイデアさえあれば、 実現してくれるかもしれない人の出現でした。 彼のメールには、さらにこうありました。 もし興味があれば、 試していただきたい すばらしいタオルがあります。 メールの文面に、ただのタオル好きを超えたものを感じた 私たちは、彼に連絡をとりました。 まだ、具体的に、 作れるかどうかわからないけれど タオルにはとても興味があるんです。 もしよかったら、一枚、 その「すばらしいタオル」を 送っていただけないでしょうか。 さっそく届いたタオルは、一見するとふつうの、 オフホワイトの、小ぶりのバスタオルでした。 メールには、 「よい綿」に「特殊加工」をほどこしてあるので とても使い勝手がよいんですよ、 と説明がありました。 darlingが、家に持って帰ってモニターすることになって。 ずいぶん長いことモニターしてくれました。 「ふだん使っているそれなりの高級タオルに比べて、 明らかに使い心地がよいものだ。 肌触りがいい。弾力があってよく水を吸う。 しかも軽くて使いやすい。 で、しかも、古くなっても新鮮な感触があるんだ。 これは、ぼくらが最初に感じていた以上に、 ほんとうにいいものだとわかった! 追加で、買いたいと思うくらいだ」 半年くらい経って、そういう報告がありました。 ですが。 その時、私たちは、 すぐに話を進めることができませんでした。 まだ「Best Standard」というコンセプトが ない頃だったからかもしれません。 一見して普通、というタオルは 「ほぼ日」が商品化するのに、 あまりにも特長がなさすぎるのではないか、 と、考えてしまったのです。 「ほぼ日」らしい「それ以上の何か」がなければ、 いい商品を仕入れただけということになってしまいそうだ。 その「それ以上の何か」を見つけるまで、 このモニターしたタオルの商品化は、 いったんストップさせて、 「それ以上の何か」を考えようということになったのです。 タオルを送ってくださったOさんには 「いつか、タオルを作ることが決まったときに、 またご連絡をします」 とお伝えしました。 それから、それなりの長い時間、 タオルのことを頭の片隅におきながら、 日々がすぎました。 ふたたび、「ほぼ日」オリジナルのタオルを作るという プロジェクトがぐっと前に出てきたのは、 ほぼ日が、魚籃坂の「明るいビル」に 引っ越してきたときのことです。 いまから2年前のことでした。 darlingはじめほぼ日乗組員が、 同じ明るいビルにある、 清原選手や、千代大海関のトレーナーでもある ケビン山崎さんの トータルワークアウトというジムに 通い始めた頃です。 ジムに行くと、トレーニングの後に シャワーを浴びるので どうしてもタオルが必要になります。 そのときに、私たちのほとんどが、 ジムに持って行くのに便利で しかも、ちょっとオシャレなタオルを 持っていないということに気がつきました。 外に持っていっても恥ずかしくなくて、 持ち運ぶのにも手ごろというものが 誰の家にも見当たらなかったのです。 考えてみると家で使っているタオルというのは 誰かからの貰いものか、 間に合わせで買ってしまったものがほとんどです。 自分で探して気に入って買ったタオルがあっても、 それをたくさん揃えるというほどの魅力がなかったらしく、 一枚か二枚、「やや気に入っている」というものが あるのがせいぜいでした。 “気に入ったタオルって、ないよねぇ” これは、衝撃的な発見でした。 みんな「タオルっていいよね」 「あのふわふわした感じが、幸せだよね」 なんて、いかにもタオル好きのように話していたのに、 実は、誰も、具体的な「お気に入りのタオル」を 持っていなかったのです。 ほぼ日にやってくるさまざまな方々に お聞きしてみても、 同じような状況でした。 そうか、お気に入りのタオルって 案外、持っていないものなんだ。 そしてさらに、タオルはなかなか 「自分で買ったものが少ない」のでした。 毎日、朝、顔を洗うときにも、 シャワーの時もお風呂の時も、 私たちはタオルを使います。 枕カバーがわりにしている人もいます。 ハンカチがわりに小さなタオルを 持っていくこともあります。 そんなふうにして、一日中、 直接肌に触れるものを 私たちは、自信をもって選んでいなかったんだ。 「ちょっとましな頂き物」を、使っていることが多い。 「自分は、これが好きだ」と言えるタオルを探してない。 洋服も、下着も、バッグも、髪形も、 住んでいるところも、 いろんなことを「気に入ったものを自分で選んでいる」。 なのに、タオルは、あいまいなまま。 気に入ったものが見つけられたら、 もっと「ふつう」の毎日が豊かになるぞ! そんな気がしました。 これはやっぱり、ほぼ日が、オリジナルで、 多くの人が「自分で選んで使っている」という 誇りを持てるような 「いいタオル」を作るべきだと思いました。 よし、タオルを、本気で作ろう。 この決定のあとに会議をかさねて、 「ほぼ日」が考えたのが、前回ご説明した 「良いタオル」の条件だったのです。 この条件をもって、 「ほぼ日」タオルチームは、ようやく2年半ぶりに、 タオルをくださったドクター・コットンに 連絡することができたのです。 実際にお会いしたドクター・コットンは、 「タオルの専門家」であるだけではなく、 繊維のこと、織物のことに、 とても詳しい方でした。 大学院で繊維の研究をし、 そのあとも、繊維関係のお仕事ひとすじに 働いてこられた方で、 糸と布のスペシャリストでもあったのです。 彼の知識と人とのつながりは ほぼ日の理想のタオルを実現するためには なくてはならないものでした。 「実現する」と、確信をもてたのは、 やはり、ドクター・コットンとの出会いの時からです。 「なにせ、あの見本をつくった人だからな」と、 darlingは、自分のことのように自慢そうでした。 ********************** ここまでが、<やさしいタオル>を 本格的に作り始めるまでのお話でした。
|
2003-06-10-TUE
戻る |