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はじめまして柳原さん。
これが、「ほぼ日ストア」で販売している
<やさしいタオル>です。
パイル面には、
“ピマコットン”を使っています。
今日はこの“ピマコットン”について、
くわしくお話を聞かせていただこうとおもって
参りました。 |
柳原 |
タオルに、“ピマコットン”ですか?
贅沢をしていらっしゃる(笑)。
“ピマコットン”って、
ふつうのコットンと
種類が違うってご存知ですか? |
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ええ。ふつうのコットンに比べて、
繊維が長くて細くて、
ランクでいうと、最高級に属する面だと
お聞きしました。 |
柳原 |
そうですね。
もちろん、それもあるんですけれども、
実は、
コットンっていう大きなくくりのなかでも、
いくつか、種(しゅ)がちがうんですよ。
ちょっと専門的になってしまうのですが、
コットンには、
「バルバデンセ種」「ヒルツスム種」のほか、
いくつかの種があるんですよ。
“ピマコットン”は、このうちの、
「バルバデンセ種」という種類に属します。
じつは、高級綿といわれている
「エジプト綿」「海島綿」もこの種類です。 |
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同じ仲間なんですね。 |
綿花は乾燥させると、
こんな風になります。 |
柳原 |
そうなんですよ。
世界で生産されているコットンの9割近くは、
「バルバデンセ種」ではなくて、
「ヒルツスム種」のほうで、
これがみなさんが思う
“ふつうのコットン”です。
繊維が長かったり、
細かったりするわけではないんですね。 |
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9割ですか‥‥。
でも、なぜ「バルバデンセ種」は
生産量が少ないんでしょうか? |
柳原 |
実は、栽培に適した環境が限られてるんです。
育てにくいというか、
育たない地域のほうが多いんですよ。 |
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“ピマコットン”の産地は
アメリカの南西部ですよね、
ここは栽培にすごく適した場所なんですね。 |
柳原 |
そうですね。
もともと、“ピマコットン”っていうのは、
アリゾナ周辺のネイティブ・アメリカンの
「ピマ族」の人々が昔から育てていたものを、
この200年くらい改良に改良を重ねて作られました。 |
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クオリティを高めてきた、
200年の歴史があるんですね。 |
柳原 |
あまり、“ピマコットン”の肩ばかりを持っては
私の職業柄いけないんですが、もう一つ。
実は、“ピマコットン”は、
超長繊維綿(※)のなかでも、
「エジプト綿」「海島綿」にくらべて、
生産量が多いんですよ。
だから、クオリティーもとても安定してるし、
価格もちょっとだけおさえられているんです。
といっても、普通の綿にくらべたら、
ずいぶん高級ですよ。
こういう高級な綿は、
まずタオルには多用されません。 |
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※註
綿花のランクは5段階あります。
↑
高
低
↓ |
超長繊維綿
長繊維綿
中長繊維綿
中繊維綿
短繊維綿 |
超長繊維綿が最高級ランクです。 |
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高級シャツに
「ピマコットン使用」とうたわれているのを
みたことがあります。
やはり衣類に多く使われているんですか? |
柳原 |
それが一番多いのではないでしょうか?
“ピマコットン”のような、
超長繊維綿を使うと、細くてしなやかな糸が
つくれるんです。
滑らかで、
絹のような光沢のある糸ができます。 |
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同じ布地の面積でも、
細い糸を使えば、
きめのこまかい生地になりますよね。
だからシャツ地なんですね。
<やさしいタオル>のパイルは、
細い糸ではなくて、
ふつうのタオルと同じくらいの太さの糸です。
“ピマコットン”を、
ごくごくゆる〜くふんわりと拠った糸なんです。 |
柳原 |
なるほどね。
繊維が長いからこそできる
甘い撚りの糸を使ってらっしゃるんですね。
だとすると、ある程度ハリもあるし、
甘い撚りだけど、毛羽が出ないですもの。
毛羽がでないってことは、
洗濯していくうちに、
繊維が痩せてしまって、ぺらぺらになる、
ということも防げるんですよ。
つまり、長持ちするタオルになるんですよ。 |
── |
そうなんですよね。
実際私もこのタオルを1年間
洗濯を繰り返してつかっていますけど、
へたりはほとんど無いです。 |
柳原 |
さらに言うと、綿製品は、洗っているうちに、
どんどん硬くなっていきますよね。
もちろん、超長繊維綿も例外ではありませんが、
その硬くなっていくのにも、時間がかかるんです。 |
── |
そういう意味でも、
長く使っていただけるものが作れたと思っています。 |