2006.11.13, Mon
SAKEROCK星野源さんのインタビュー、
第3回めをおとどけします。
「インストバンド」PVを、はじめて聴いたときのことを、
語ってくださいますよ!


ほぼ日 タムくんからあがってきた
「インストバンド」のプロモーションビデオを
見て、いかがでしたか。
星野 まず、途中までできたものを
見させていただいたんですけれど、
その時点でもう、これは大丈夫だと安心して。
そのあと、いよいよ完成版が届いて、
見たあとに‥‥なんていうんだろう‥‥。
まあ、泣いたんですけれど、
こんなオチになってると思わなかったので、
びっくりしたし、笑っちゃったし、
しかもなんか涙が出てくるし、
いろんな感情がばーっと出たっていうか。
家で一人でPCの前で見てたんですけど
ちょっとした人格崩壊というか、
「わ〜!(拍手)」という状態になってしまって(笑)。

ほぼ日 はい(笑)。
星野 「こんなにすごいものが、
 あがってくるとは!」っていう(笑)。
なんていうんでしょう、
いままで自分は、誰かからの発注を受けて、
仕事をして、ものを出す側だったんですけれども
今回、初めて自分が発注する側になって、
予想以上のレスポンスが返ってくる
っていう喜びをはじめて知ったんですよ。
ほぼ日 ああ、なるほど。
そういう意味では初体験だったんですね。
しかも、すごく衝撃的な。
星野 自分が独断で、タムくんに頼むことに決めて、
その場で「お願いします」って言って。
ほぼ自分の責任でくだした決断に対して、
すばらしい結果がかえってきた。
そういう過程も含めて、
仕事としてとってもうれしいということもあったし、
単純に作品自体がものすごいということもあったし。
それがぼくらの音楽とぴったり合っていた
というのもすばらしいことでしたね。
ほぼ日 ああ、なるほど。
星野 タムくんからビデオがあがってくるまでは、
過去のタムくんの作品を見ながら、
「こういう感じで仕上がるかな?
 この路線でくるのかな?」
というふうにいろいろと
イメージしていたんですけど、
もう、ぜんぜん関係のないところから
作品がやってきたというか。
題名と内容がまったく一致してないし(笑)。
でもそれでも問題ないんですよね。
関係ないということすら関係ない、みたいな感じで。
それってすごいことだな、と。
あと、音楽のプロモーションビデオとしても、
音の区切りやブレイクのポイントに
絵がきちんと寄り添っていて、
その品質の高さにも驚きました。

ほぼ日 ふつうに映像を専門にする方とは違って、
音楽をすごくよく
わかってらっしゃる感じがしますよね。
星野 タムくんは、自分で音楽もやっているんですよね。
ほかのバンドとかの
プロモーションビデオを見ていると、
絵と音が気持ちよく合っているものって、
意外に少ないじゃないですか。
だから、タムくんは絵やアニメの才能のほかに、
「音楽」っていう感覚を
きちんと持っているんじゃないかなと思いましたね。
あと、物語の展開というか、話のオチ的にも
すごくいい落語を観たあとのような
爽快感を感じたんですよね。
落語家が落(サゲ)を言った時に、
「おみごと!」って、
手を叩いてしまう感じというか。
なんだか、いろんな魅力がありますよね。
タムくんの作品の中には。
ほぼ日 また、このタムくんの映像がすばらしいのは
SAKEROCKの「インストバンド」という
曲の魅力がすごく大きいと思います。
映像をすごくイメージさせる曲というか、
SAKEROCKの音を聴いていると
すごく絵が浮かんで来るように感じるんです。
歌詞はないけれど、歌が聴こえてくるし。
その時々によって違うふうに聴こえたり。
星野 歌のないインストバンドのいいところは、
まさにそういうところで、
イメージがひとつじゃないんですよね。
ほぼ日 ああ、そうですね。
だから、このプロモーションビデオは
SAKEROCKとタムくんの両方が
すごくいい出会いをしたんでしょうね。
星野 そうですね。
ものすごく、幸運な出会いだったと思います。


(続きます!)
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