木村 |
じゃ、はじめようか。
よろしくね。 |
タム |
よろしくー。 |
木村 |
さいしょはこの質問から。
「『インストバンド』PVのアニメーション、
SAKEROCK星野源さんによると、曲を聴いてすぐに
イメージが湧いたみたいですが、
そのときのこと、教えていただけませんか?
タムくんの頭のなかに、
どんなことが思い浮かんだんでしょう?」 |
タム |
いろんなパートがあるね、この曲は‥‥。
最初はピアノではじまってフルバンドになったり、
はやくなったりおそくなったり、
激しくなったりやらかくなったり、
いろんなリズムがあって‥‥。
すごく「物語」がある曲っていうかなあ。
最初はこのアニメのストーリーっていうよりも、
イメージがまず浮かんできた。
どんなイメージかって言うと、高校のイメージ。
ぼくの通ってた高校ね。
なんでかわかんないけど、そこを思い出してしまったんだ。
たぶんぼくは高校生の時に入っていた
マーチングバンド部のこと思い出したからなのかな。
だけど、ぼくの高校は男子校だったから
女の子いないんだけどね(笑)
あとすごい甘いイメージがあって‥‥ |
木村 |
甘い? |
タム |
そう、ピアノの音とかが女の子っぽいっていうかね。
高校の時、学校終わったらバス乗って帰ってたんだけど、
わざわざ近くの女子高のバス停に行ってた。
女の子に会えるから。
なんかそういうイメージ(笑)
机が木とか、ちょっと暑い感じとか、
タイの夕方ぐらいとか、
なんか夏っぽくて、あまい感じ。
あと、やさしい曲だったから、
やさしいアニメがいいかなと思った。
あんまり変な話じゃないけど、
ふつうじゃないっていうか。
それと、ラブストーリーがいいなあと思ったんだ。 |
木村 |
他の曲も聴いたの? |
タム |
もうひとつの曲も星野さんが聴かせてくれた。
どっちがいいかって。
もうひとつの曲は面白い曲で、
サッカーの話がでてきた。
何かやりながらサッカーする話。
ばかなやつ。
歯磨きながらサッカーとか。 |
木村 |
みんなが? |
タム |
みんなじゃなくて‥‥。
たとえば、サッカー5秒して、ご飯食べてるとか、
なんかいろんなシーンがある。
アクションのシーンが
いっぱいどんどん切り替わるっていうか、
そういうイメージ。
すぐにイメージがでてきた。
この曲にするんだったら、
変で面白いものができるかなーと思った。
それでラブストーリーと、ばかっぽい話と
どっちがいいかな?
ぼくのおすすめはインストバンドだけど、って
星野さんに聞いたら‥‥、星野さんが考えるって。 |
木村 |
それ、ワールドカップのころだったから? |
タム |
そんなことない(笑)
『キャプテン翼』っぽいっていうか、マンガっぽい。
ワールドカップは歯磨かないよ。
アイデアが出ないよー! |
木村 |
じゃ、次の質問。
「音楽をつくる人は、自分でつくった音楽で、
感動して泣いたりすることがあるみたいです。
タムくんは、完成した『インストバンド』のPVを
はじめて観たとき、
どういう気持ちになりましたか?」 |
タム |
(笑)泣かなかったなあ(笑)
なんか超疲れてて(笑)
うーん、そんな泣かなかったけど‥‥、
そうだなーぼくは最後が好きだった。
こういうエンディングやったことなかった。
すごく曲と合うでしょ?
ニコッと笑って終わるというか、
自分が疲れてたから、見たら癒された。 |
木村 |
疲れてた? |
タム |
そう。
ちょうど締め切りの時、フランス行ってて、
いろいろ道具もってくのわすれて(笑)、
余計にすげー大変になって、
ホテルで死にそーになりながらやってた。
みんな周りにいて、集中できなかったし、
なんかすごい疲れてた。
だから終わり方がリラックスしてて‥‥、
そんな感動って感じじゃなくて、
よかったねーみたいな感じ。
ぼくも、このアニメのキャラクターも。 |
木村 |
そっか、じゃあ次。
「アニメーションって、
正直、たいへんじゃないですか?」 |
タム |
一人では大変です。一人なんだよ。 |
木村 |
ひと言でおわっちゃった(笑)
「タムくんにとって、音楽はどういう存在ですか?
趣味? 仕事? アート?
マンガやアニメとのちがいは?」 |
タム |
音楽はマジックみたい。
みんなで聞くこともできるし、
人にも聞かせてあげられるし。
聞いて何かを想像したりできるし、
その曲を聞いてた時のことを思い出したりするし。
あと、ライブがすごいいい。
皆で集まって、
曲を聴いたり、歌ったり、踊ったり‥‥。
その雰囲気は、どんなアートでも、映画でも、
自然でもできない。
すごいよー音楽は。
インスピレーションをいっぱいくれる。
聞きながら他のこともできるのもいいね。
音楽は耳だけだからスペースがあるじゃん。
想像したり、運転したり、本を読んだり、
絵を描いたり。
マンガとの違いは、何回も聞けるところかなー。
マンガは2、3回で飽きちゃったりするけど‥‥、
音楽は100回とか聞けるでしょ?
それが悔しい。
そして何回も聞くとよくなってきたりするじゃん。
新しいこと発見したり、曲覚えたり。
音楽はスペースがいっぱいあるからかな。
音楽と映画、音楽とファッションとか、
他のものと一緒になったりできるのがいい。
だけど音楽だけしかなくてもいい。
音楽はサポートできるし、音楽だけでもいいし。
そんな感じ。
ライブするのとかもすごい楽しい。やばいよ。
愛用のピアノで何か練習中 |
木村 |
なるほど。5つめの質問。
「タムくんの絵は、たとえば『hesheit』と
『everybodyeverything』では、
ずいぶんちがいます。
このちがいは、どこからくるんでしょう?
日本の読者向けか、タイの読者向けかで、
絵自体を変えるということは、ありますか?」 |
タム |
『hesheit』も『everybodyeverything』も
タイではじまってるから、
そんな日本とかタイとか
分けてるつもりはないんだけどね。
『hesheit』はずっとやってきて、
完璧だとおもったから(笑)、
また違う、描けなさそうなものを
描いてみたくなったんだー。
あとは自分のイメージを無くしたいからかな。
イメージが嫌い。
ぼくのフィロソフィー(哲学)は
『hesheit』の時は絵が綺麗じゃなくても、
いいものが入っているからいい、と思ってたけど、
書いててどんどんその「ラフな絵」が
ぼくのスタイルみたいになってきたというか
そう思われてきてしまって、それが嫌だった。
ぼくが言いたかったのは絵のきれいさよりも、
入ってることが一番って思ってたんだけど、
外見より中身っていうか。
でもみんなこの汚い絵が
お洒落と思ってきてしまって、
そのイメージを消して、
違うものをやってみたくなった。
ストーリーも男の子と女の子だけじゃなくって、
子供とか大人とか、お母さんとか兄弟とか。
こういう話は『hesheit』ではできなかった。
キャラクターがなかったから‥‥。 |
木村 |
『hesheit』は、おしゃれなんだ?(笑) |
タム |
そうそう。
なんかそういうイメージっぽくなってきた。
なんかそういう区別されるのがきらい。
「タムのキーワードはこれ」みたいなのがやだ。
ぼくのフィロソフィーは、
どんな人でもどんなとこでも
いいとこがあるっていうか‥‥。
それでいろんなものを、つくってる。 |
木村 |
次は‥‥そうだ、こんなこと言ってたねえ。
サケロックのDVD見たときだね。
「SAKEROCKのメンバーになりたいと、
おっしゃったことがあると、
星野さんにうかがいました。
いまでもSAKEROCKに入りたいと思いますか?」 |
タム |
SAKEROCKみんなうまいから出来ないよー。
みんなとやりたいけど、メンバーにはなれない!
みんなすごいスキルがあるし、
曲もすごく論理的っていうか、
なんかそういう風に聞こえる。
ぼくの音楽はめちゃめちゃだからね。
ぼくは楽譜とかコードとかわからないし。
SAKEROCKの曲はすごいうまい。
もしやるとしても、ピアノで参加するのは絶対ダメ。
ドラムだったら‥‥
いや、ドラムもすっごいうまいから、
ぼくが入っても、埋めるところがない感じ(笑)
あと、SAKEROCKは楽しそうにやってるしねー。
愛犬たち |
木村 |
さいごは、気軽な質問ね。
「日本をはなれたあと、
いちばんよく食べたくなる
日本の食べものは何ですか?」 |
タム |
そんな食べたくならないなあ。
タイで食べても、日本で食べるより
おいしくないしなあ。
タイの食べ物の方が美味しいよ。
日本ですごいものをいっぱい食べたから(笑)、
また日本に言ったときに美味しく食べる! |
木村 |
じゃあ日本に帰ったら何が食べたい? |
タム |
マグロ。 |
木村 |
質問は以上です。
今日はどうもありがとう! |
タム |
はーい。 |