うめ そういえば、このまえ、 地方で「ホストクラブ」に 連れて行ってもらったんです。 まえからすっごく興味があって‥‥。 零士 どうだった？ うめ それが‥‥すごく‥‥悲しいめにあったんや‥‥。 零士 え？　どんな？ うめ 出版社の人と３人で行ったんですけど、 お店のホストさんたちが 全員、スーパーサイヤ人みたいな人ばっかりで めちゃめちゃ話かけてくるのに、 ぜんっぜん意味わからんくって、 楳図かずお先生の話して 話題ふくらまそうと思ったら だれひとり楳図かずお先生のこと知らんくって‥‥。 零士 ぐわし！ うめ それ、それ！　そうやってほしかってん！ ホストなんやったら！ 零士 ははははは（笑）。 うめ で、怖くて怖くて、 トイレに行きたいですとも言えんくて、 とつぜん藤井フミヤのモノマネしはじめたから がんばって笑ったりして、 みんなでちょー汗かきながら よくわからん時間を２時間くらい過ごしてしまって 最後は逃げるように帰っていって‥‥○×△■（中略）‥‥ 結局、３人で落ち込んだんです。 零士 それはタイヘンだったね。 うめ テレビでホスト特集を見とったら、 おもしろそうな人ばっかりやったのにー。 結局、わたしらは 見かけがエロくないからやなって結論に 落ち着いたんですけれども。 零士 それはたぶん、ローカルだからだよ。 地方って、 お客さんの出入りも少ないでしょ？ 釣りで言ったら、 せまい池のなかに、数匹しか魚がいない。 そんなとこに魚が迷い込んだら 釣ってるほうはもう、 鬼気迫るもんがあるというか（笑）。 うめ 食いつけんよ、あれじゃ。 ‥‥でも零士さん、 たとえが「釣り」とかで、やっぱり「男子」やね。 零士 逆に、東京は、広い海なんですよ。 そこには、いろんな魚がいる。 めったに見れない高級な魚もいれば、 サメみたいに凶暴なのもいて。 それはそれで難しいとこもあるんだけどね。 うめ そうか、ちがうんや、東京の店とは。 零士 東京は摩天楼ですから。 摩天楼にあるものは、特別なんです。 ハンパなとこには、存在しないんです。 うめ やっぱニセモノやったんか、あの店。 ３人で作戦会議までして行ったのに。 零士 じゃあ、いまから 「ホンモノの店」に行ってみます？ 僕がいちばん 「シャッター切れる」ときに つくったお店。 うめ ほんと！　すごーい！　たのしみ！ お客さんとかも、上品？？ 零士 「こういう魚がほしい」となったら、 「そういう仕掛け」で、釣るんですよ。 なんでもよかったら、 サメが釣れちゃうかもしれないでしょ。 うめ そういう店の作りかたがあるんですか？ 零士 雰囲気づくりね。 ようするに、 サメが入りにくいんです、うちには。 ちゃんと、ドレスコードもあるし。 うめ あ、やばい、今日わたしサンダルや！ お、おこられませんか？ 零士 大丈夫だけど（笑）、 サンダルで来づらいようなつくりには、なってます。 うめ なんかわからんけど、すごい展開よ、わたし！ ２回目にして、 「ニセモノ」から「ホンモノ」に行くんやね！ （そんなこんなでお店へ移動‥‥） うめ だけど、零士さんの話、 引き込まれっぷりったらないね！ すごいね！　なんで？　生まれつき？ 零士 ははははは（笑）。 うめ このへん（六本木）のこととか 「ギロッポン」とか言うんですか？ 「ポンギー」とか言うんですか？ 零士 うーん、言うとしたら‥‥「マルロク」。 うめ なにそれ！　新しい！ 零士 それか、デカい声で「ロク」とかね。 うめ デカい声で！？　言葉がいちいち最新や！ こんどから「ポンギー」とか言っとったら バカにされるね！ マルロクやね、いまの時代は。 零士 ‥‥ここです。どうぞ。 うめ わっ！　ひろーい！　すごーい！ あ！　テレビで見るやつや。 零士 シャンパンタワーね。 もっと時間が遅ければ、 ここにプレイヤーたちが鈴なりに集まってさ。 うめ テンション上がってきた！ 零士さん、写真、撮っていいですか？ 撮影：梅佳代 うめ ここすごいね、壁が鏡張りや！ 零士 そっちは、トイレ。 うめ まるでブティックのようやね‥‥。 零士 女性にリセットしてもらう場所だから とくに気をつかってるんですよ。 うめ これこそ、ホンモノやー！ マルロクのプレイヤーズクラブや！ 零士 さてと、じゃあ、こちらの席へどうぞ。 えっと、うめちゃん、お酒は？ うめ あ、あんまり飲んだことないです。 零士 じゃあ今夜は、ワインに挑戦してみる！？ サンダルばきの梅ちゃん、 念願かなって ホンモノの「プレイヤーズクラブ」へ！ でも、はたしてワインが飲めるのか‥‥？ 一抹の不安を抱きながら、最終回へ！ 2007-09-13-THU

© UME KAYO / HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN