千体のお気楽な骸骨たち。 田中靖夫さんの手が産み出した天然。 |
第14回 書くことや取材について アートに関するライターの 田中弘子さんに、話をうかがっています。 前回は、表現するものを持っていないひと、 つまり、書いても何か言えないようなひとは、 アートをやっていてもつまらない、という話でした。 今回は留学する学生に教えるという話からはずれ、 弘子さんご本人の書くことを、きいています。 「書くのは割と子供の頃から好きだったんです。 アートのことはアエラに書いていますけど、 雑誌を読むのはちょっと普通のひとが多いでしょ? だからあんまりアートの先端的なことはできない。 ・・・まあ、一般のひとって あんまりアートに興味のないひとがほとんどなんです。 よく言われますよ、朝日新聞のひととかに。 実際そうですよね、ちょっと景気が悪くなると 企業はすぐに文化方面から撤退してしまうし。 そういう意味では経営者に教養がないわね。 そういうところで立ち遅れていますよね、 日本の経営者って。アメリカと違うところかな」 雑誌「イラストレーション」での編集者時代から、 たくさんの取材をされていますが、 インタビューをするのは、好きですか? 「性格的には人見知りが激しいんですが、 インタビューの1対1の関係だと、 相手の話をうまくひきだせるというか。 アメリカで大学の仕事をやりはじめる前は ひとの前でしゃべることは大の苦手だったんですけど、 その点ではいい訓練になりましたね。 インタビューでは、おもしろいひとは、 短時間会っていても、内容が深いんです。 ジェニー・ホルツアーに会ったときは 30分間だったけど、充実した話ができた。 最初に電話インタビューにしてくれ、 と言われたんですけど、 『私は英語がたどたどしいので 面と向かってきかないときけない』 と強引に自宅に行かせてもらって、 マンハッタンから4時間半くらい 車に乗って行きましたが、 彼女は人間が大きいというか、ね」 取材して印象に残っているひとは? 「アンディ・ウォーホールは、 基本はいいひとなのかなって思いました。 若い人にも優しくしたり・・・じぶん以外に あんまり関心なかったひとかもしれないけど。 だからファッションモデルまでやったでしょ。 晩年は特にウォーホールのことを みんな飽きちゃってたからね・・・。 ニューヨークでよく見かけたりしてたんですけど。 彼はどこにでも出てきたんですよ。 そういう人だかりの場所に行くのが好きなひとで。 死んでみると、実に偉大なひとですね」 (つづく) |
2000-03-22-WED
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