千体のお気楽な骸骨たち。 田中靖夫さんの手が産み出した天然。 |
第15回 好きな作家は、誰? アエラなどで執筆する美術系ライターの 田中弘子さんにとってのアートとは何か? みたいなことをたずねる連載がすすんでいます。 美術系高校生のような気分のひとがよろこぶと うれしいなと思いながら、つづけています。 「美術にも書くことが大切だ」 という弘子さんの言葉から、 →[本人にとっての書くことは?] と前回はたずねましたが、今回は更に、 →[では、ライターの弘子さんが好きな作家は?] ということをきいているのでした。 「特に凝ったひととかそういうのはありません。 中学生の頃は芥川龍之介だったりしましたけど、 高校生のときはちょっと生意気になっちゃってたから もうそういうこともおわっちゃっていましたね。 中学のときには、 雑誌やなんかにちょっとでも書かれてると ぜんぶ読んでいました、芥川龍之介のことを(笑)。 顔がいいから好きだったのかな、という気もするけど。 文章も割と簡潔でわかりやすくて。 まあそんなひとが好きだったと言えば好きだし。 あとは・・・ポール・ボウルズなんかも 文章のうまいひとだなあとは思います。 『シェルタリングスカイ』は 邦訳が見つからなかったので、英語で読みました。 翻訳本が出ているはずだと思って ずいぶん探したけど、なくて。 原文で読んだんですがけっこうおもしろく読めました。 あのひとは古い文人みたいな感じですね。 わたしの勤めていた大学の海外夏期講座(モロッコ)で ボウルズは何回かレクチャーをやっています。 学長のお父さんとは親しかったそうです。 なんか因縁ありますね。 ボウルズは、作曲家でもあったでしょ? 数年前に彼が若いころ作曲したものを 再現するコンサートが、 リンカーンセンターであったんですよ。 そのときの彼はもうよぼよぼで、 杖なんか使ってちょっとくらいは歩けましたけど、 車椅子で来ていましたね。 私の前に座っていたんですよ。 彼は、ジェロという寒天みたいなデザートが大の好物で、 モロッコにもそれを輸入していたそうです。 そのジェロが、横におかれてるんですよ。 なんか、おかしかった。 そのあと別の大学でやった彼の講演会も 聴きに行きましたけど、 しゃべりはしっかりしていましたね」 (つづく) |
2000-03-23-THU
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