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土曜日は土っち!?〜あいまいサタデー〜

「読めるけど、いつもどっちか迷うんだよね」
「ことばは知ってるけど、書けといわれると自信がない」
あいまいなことばをクイズでお楽しみください。





「大地震」。
NHKのニュースなどで
慣用的に読まれる読みかたは、
どっち?



だいじしん

おおじしん


クリックすると答えが下に表示されます。





●慣用も原則も、かわっていく?

りか
えっと、まずはですね、
先週みなさんにおたずねした
「一」を「いち」と読むときと
「ひと」と読むときの違いについてー。

アロハ
メールをくださったみなさん、
ありがとうございます〜。


=
ネットで古語辞典を見たら
「ひと」には「わずかな」という意味が
あるらしいです。
だから「いち」と「ひと」は
微妙に使い方が違うんじゃないですか?
皆が、なんとなく「わずかな段落」ではなく
「いっこの段落」の方が違和感ないかな、
と思って「いちだんらく」と言うように
なったんじゃないでしょうか。
(匿名)


りか
匿名さん、ありがとうございます。
わずかな、とかじゃなくて、
ここまでっていうはっきりした
区切りを言いたいから、
「いち! だんらく!」って
感じでしょうか。

アロハ
そういえばー。
「ひと言、いい?」
って言いながら、
けっこう話が長い人、いますよね。
あっ! りかさんのことじゃないですよー。

りか
‥‥。


=
学問的な裏づけも、統計的なデータもなくて、
単なるカンにちかいものなのですが、
基になる熟語とのくっつき方
(つまり意味上のかかり方)で
決まるのではないのでしょうか?
ひと「安心」(ひとつの「安心」)とか、
ひと「仕事」(ひとつの「仕事」)の場合と
「いちじ(=一時)」期
(「一時」の期間)とか、
「いちげん(=一言)」居士
(「一言」を放つ「居士」)とか、の場合。
つまり、「一」を「いち」って読むときと、
「ひと」って読むときの違いは、
「一」の次に来る、語句とのつながりで決まる。
もしくは、その熟語の意味から考えれば解る、
と、いうことではないのでしょうか?
(T)


りか
Tさんもありがとうございますー。
こちらもなるほどです。
当然、いろいろ例外はあると思いますが、
今後の参考にさせていただきますー。

アロハ
みなさんすごーい。
言葉をたくさん知っているのですねー。
でないと、比較とか、考えるとか、
できないですからねー。

りか
感心ポイント、そこかい!
で、今回ですが。

アロハ
はーい。わざわざ、
「NHKのニュースなどで」って
条件を付けている出題が、
気になりました。

りか
そうなのです!
今回の正解は「おおじしん」なのですが、
これはどうも、
原則から外れているようなのです!

アロハ
えー。じゃあ、原則からすると、
「だいじしん」なの?

りか
うん、まず、
日本語を使うときのことばは、
大きく分けて、
「和語」と「漢語」があります。
あとほかには、
カタカナで書かれることが多い
「外来語」とかかな。

アロハ
「和語」と「漢語」?

りか

昔、中国から来て
ほとんどそのまま使っていることばが、
「漢語」。「山河(さんが)」とか。
中国からことばが来る前に日本にあったり、
あとから日本でできたことばが
「和語」。
「やま(山)」とか「かわ(河、川)」とか。
日本語を文字にするときに、
この中国から来た漢字を和語にもあてはめて、
使っているんですけど。


アロハ
あーもしかしてー、
音読み、訓読み?

りか
そうそう。
ことばではなくて文字に注目すると、
漢字は音読みと訓読みに分けられますね。
で、基本的に、熟語でも、漢語は音読み、
和語は、訓読み。

アロハ
「山河」。「山と河」。
なんとなくわかったような‥‥?

りか
でね、読みかたに迷うもので、
「大」が付くものっていう
ジャンルがあるのね。
「大家族(だいかぞく)」とか
「大火事(おおかじ)」とか
「大騒ぎ(おおさわぎ)」とか。

アロハ
「だい」は「大」の音読みで、
「おお」は「大きい」だから、
訓読み‥‥。
あれ。さっきの熟語の法則だとー、
「火事」は音読みだから、
音読みどおしで「だいかじ」じゃないの?

りか
それがー、混ざっちゃってるのよ。
「火事」みたいに昔からあることばは、
けっこう和語っぽいあつかいで。
あと、「大騒ぎ(おおさわぎ)」は
「大騒動」となったら、「だいそうどう」って
なりそうなところ、「おおそうどう」って
読まれますよね。

アロハ
わーややこしいー。
原則どおりのものもあるんですか?

りか
もちろんたくさんあります。
たとえば、
「大食い(おおぐい)」と、
「大食堂(だいしょくどう)」とか。
次のひと文字がおなじ「食」でも、
「大」の読み方がかわりますね。

アロハ
ふーん‥‥。
でー、「大地震」は「だいじしん」が
法則どおり、な、の、に‥‥?

りか
そう!!
「火事」とおなじで慣用として、
「おおじしん」と読まれてきたから、
こちらを採用しているらしいよ。
辞書には両方を掲載していることが多いみたい。

アロハ
うーん。もう、むり。
アナウンサーにはなれなさそうー。

りか
ふふふ。しかも、しかもね、
最近は「だいじしん」って読む人が
増えてるんだって。
またいつか、昔の慣用から
新しい慣用に、変わるかもー。

アロハ
ややこしすぎるー。

【解説】
おおじしん おほぢしん【大地震】
大規模な地震。

だいじしん ―ぢしん【大地震】
大きな地震。マグニチュード七以上の地震をさす。
三省堂『大辞林 第二版』より

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2006-07-29-SAT

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