よ: |
今回のネタは「1999年の夏休み」。
金子修介監督の作品です。
どーですか、独特な作品なんで、
好き嫌いがはっきりわかれちゃうと思うんですが 。 |
ア: |
……はあ〜。 |
よ: |
どうしたよ? |
ア: |
若いって美しいわあ、そして切ないものねえ。 |
よ: |
気づくのが20年遅かったようだな。 |
ア: |
そーゆーつっこみは今後禁止。 |
よ: |
オンナ6人で海へ行って、
高校生にナンパされまくったって? |
ア: |
うしろからね。
「あ、ギャルがいっぱいいる〜」と騒がれて緊張したが、
前に回って顔見て「あ、じゃ〜ね〜」だと。
ざけんな、伊豆の男子ども |
よ: |
まぁ老人の茶のみ話は置いておくとして。 |
ア: |
おだまりなさい。頭かち割りますわよ。 |
よ: |
で、どうでしたか? |
ア: |
よかった〜。『鉄道員』を読んでも、
『ディープインパクト』を観ても
全然泣けないわたくしですが、
じーんとしちゃった。 |
よ: |
ほう。 |
ア: |
特に花火のシーン。
この世に生を享けることだって
ほんとうに奇跡のようなことでしょう?
そのなかでも10代のある時期に訪れる
透明で残酷な心持ちのかけがえのなさ、刹那の美しさ、
そんなガラスの破片のようにきらきらしい時間が、
湖上の花火のシーンに昇華していて……。
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よ: |
ヘンな薬でも飲んでんのか、あんた。 |
ア: |
君が勧めた作品に酔いしれている者に水をさすかね、君は? |
よ: |
そうではない。
が、やはり人によって見かたというものは違うものだな、
ってね。 |
ア: |
というと? |
よ: |
あの映画に描かれているのが
10代のある時期に訪れる心持ちとすれば、
おいらには10代はないっす。 |
ア: |
あ? |
よ: |
10代のころは、世界に対する違和感があって、
あんなに純粋な感じじゃなかったなー。 美しくもない。 |
ア: |
じゃぁ、どう観てるの? 違和感とやらを説明してほしい。 |
よ: |
自分の肉体と魂と世界のズレ。
オレがいるべきところは、ここじゃない、 という違和感。
1999は、少女が少年を演じていることも、
声を吹きかえていることも、
舞台が限定されて奇妙な装置やオブジェがあることも、
すべて世界に対する違和を強調しているような気がして。
その違和を解消するために、生まれ変わって。
ひとつの世界が閉じた幾何学的な美しさを取り戻すために、
少年のままで転生を繰り返す。 |
ア: |
へーえなんとナイーブな。
たしかに、世界は閉じている……うん、
お話もメビウスの輪みたいな構造になってるもんね。
終末感も感じない?
登場人物たちの世界だけが残されていて、
もう外の世界は終わってるの。そういう意味で1999。 |
よ: |
舞台のような世界。 |
ア: |
実際にローティーンのころは、
「10代」とかいう切り取りかたをしたとたんに
「虚構」っぽいっつうか、よその国のお話みたく思えてた。
「かけがえない」と思うのはきっと、
10代を勝手に「理想化」してたからなのね。
「自分とは関係のない物語」として諦めてたのかも知れない。 |
よ: |
よくわからん。 |
ア: |
1999を観てると、そういう痛いような感覚が蘇ってきて
切ない……だってあまりにも美しいです、
奇跡のような手付きで10代のエッセンスを結晶させてる。 |
よ: |
そう? |
ア: |
とにかくこの映画はよねみつさん的な見方も
アライ的な見方も包み込んだ上で 、
乱反射させるような「詩情」があるよね。 |
よ: |
まとめよーとしてるな。 |
ア: |
う。そんなつもりはないのだが、
まとめ癖は編集者の病気、ごかんべんくだされ。 |
よ: |
まぁ、あれこれ語るのも、
もったいない気がするくらい好きな作品なんで、
まとめてくれてありがとーということで。 |
ア: |
あれこれ語るのももったいないだと!?
そりゃあんまりなおっしゃりよう。 |
よ: |
幸い、パルコ調布キネマで、
8月15日からレイトショーで再映されるので、
見てください、と。
もうちょっとましな紹介の仕方もあるだろーと思うんだが、
どーもこの作品に対しては冷静になれないな、ちぇっ。
次のネタは、なんでしょーか? |
ア: |
せっかく
『ノストラダムスの謎をインターネットが解いた!』を
買ってきたのにな。ま、いーや。次いこ。 |
●『1999年の夏休み』データ
金子修介監督。岸田理生脚本。
原案は萩尾望都「トーマの心臓」。
キャスト、深津絵里、大寳智子、
中野みゆき、宮島依里。
詳細は、
「こどものもうそう」の
「1999年夏休み計画」を見てくれ。
(よねみつ記)
●再映データ:パルコ調布キネマ
LATE SHOW *毎週水曜日は¥1000
8/15(土曜)〜21(金曜)
「 1999年の夏休み」
20:30〜(終了22:10) ¥1300
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●次号予告
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よ: |
次のネタは、どうしましょ? |
ア: |
『赤毛のアン』! |
よ: |
ええと、アン? |
ア: |
イエッサ。
モンゴメリの不朽の名作をぜひぜひ読んで欲しいのだ。
それで公開中の『アンの青春完全版』を観に行く、
完璧じゃん。 |
よ: |
完全版? アン? |
ア: |
そうである。読んでおくよーに。 |
よ: |
あんあん。 |
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To Be Continued |