年末年始の「ほぼ日」は、
何かお役に立つようなことを!
(やろうとしたけど、無理だったかな?)
米光さんと新井さんの、 1999年のお年玉的なコラム。
1.この1999年は、有名なアンゴルモアの大王が、
なんかしにくる年らしいのですが、
ヤツから( )を守りたい。
この、( )の中にコトバを挿入して、
そのことについて、考えとか意志とか理由とかなんでも、
たっぷり書いてください。
1匹の猫と1匹のしまうまを守ります。
理由
すっげぇ恐い顔のヤツと、猫と、しまうまが、
滅亡した地球上で、すわりこんで、これから
どうしようかねぇ、と考えている図というのは、
すっげぇ長い物語のオチとしては美しい気がしたので。
(カメラはゆっくりと上空へ引いていって、
フェイドアウトしておわってください)
(米光さん)
うさぎ(白)
1999年に年女です。
思えば昔
「ノストラダムスの年って
うちらなんぼになっちょるとやろ? 36ね?
うちのおかあさんといっしょやがー」
とそのリアリティのなさに大笑いしたものです。
36歳、ものすごい現実です。
レンゲ畑を転がりまわって遊んでいた、
かの12歳の女の子たちのイメージで、
無数のうさぎたちだけをぴょんぴょん、
リセット後の世界に残してみたいですね。
(新井さん)
2.「ほぼ日」の読者に、どういうことを期待してますか。
よく読者に筆者への注文をたずねたりしてますが、
ここでは逆なんです。
1/10でいいので、
こどものもうそう
と
スティング
に遊びにきてほしいです。 (米光さん)
ええと、緊張しますね。
ええと、しあわせにしてほしいです。
せめてわたしだけでも。
(新井さん)
3.いっちばん好きな食べ物はなんですか?
おせちに飽きている読者に、教えてください。
できたら、いますぐ食べたいと思わせるくらいに、
たっぷり、強くおすすめくださいませ。
ぷこたん鍋。
南アのリリアル地方に生息するプコタンは、
大麻に似た成分が入っている木の葉を主食にしていて
いつもぼーっとしている生物で、そのプコタンをまるごと
じっくりと煮込んで食べる鍋というのは嘘で、
焼き肉としゃぶしゃぶを同時にやって、焼き肉の
焼けたタレがしゃぶしゃぶの汁の中に流れ込んでいく
ようになってて味がね、よくなるっていう鍋。
(米光さん)
「みそキムチ雑炊」ですかね。
冷凍ごはんがたまって(独り暮らしの方はわかりますね)、
残り野菜が腐りかけてきて、そんで、
体重がちょっと気になりだしたら、雑炊生活です。
このコンセプトはまさに正月明けですね。
でも毎日淡泊なのだと飽きるので、たまにはみそ仕立て、
キムチどっさり入りにしてみましょう。
アライの定番は、
たらと鶏肉と豆腐とエノキダケと三つ葉です。
最後にたまごを落とします。
最初に肉と魚をごま油で炒めて
こくを出してもおいしいです。
一膳分のごはんにだし汁は1カップ半くらい。
腹がやぶけるほどどっさりできます。
ものすごーく下世話な味でなごめますよー。
(新井さん)
4.ヒマでこまっている、正月の読者のみなさまに、
ヒマのつぶしかたを伝授してください。
本なら書名とか、なるべく具体的にお願いします。
ひまでひまでしょうがなくて、
何もなかったら何をするだろうかと考えたら、
体の部分で、開けたり閉じたりできそうなところを
探すということをやっていると、
あっというまに時間がたってしまった。
鼻穴と目と肛門と尿道と汗穴(気持ちだけ)と
耳(努力する)と、喉と。
あと体には、何カ所、曲がるところがあるかを
数えるというのも楽しいと思います。
(米光さん)
微積分俳句(c『俳句盲腸』)をご紹介しましょう。
いちんちじゅう猿になれます。
●人数
二人以上なんにんでも。
●用意するもの。
短冊(折り込みチラシとか裏の白い紙を
細く切ってください)
筆記用具
●ルール
まず一人が短冊に好きな文字を書き、
その文字の横に自分の名前を書きます。
そして時計回りに隣の人にまわします。
隣の人は続けてまた一文字を書き、名前を記入し、
その隣に回します。その間話し合ってはいけません。
酒は飲んでもいいですよ。
この要領で17文字(俳句の体裁)になるまで続けます。
ええと、実例をあげてみますね。
これはABCDの4名で作ったと考えてください。
Aこ
Bこう
Cこうの
Dこうのと
Aこうのとり
Bこうのとりみ
Cこうのとりみん
Dこうのとりみんな
Aこうのとりみんなみ
Bこうのとりみんなみん
Cこうのとりみんなみんち
Dこうのとりみんなみんちの
Aこうのとりみんなみんちのみ
Bこうのとりみんなみんちのみな
Cこうのとりみんなみんちのみなみ
Dこうのとりみんなみんちのみなみへ
Aこうのとりみんなみんちのみなみへと
と、程良くアバンギャルドな一句の出来上がり
というわけです。出発点を毎回変えて、
最後のひと文字を記入した人が
句の解釈をするというルールにしてみましょう。
また、あきらかに全体のリズムを乱した人を糾弾?
するのもいいですね。
この例のすごいところは誰も裏切らずに
「こうのとり」という単語を完成させたことと、
「みんな」「みんち」「みなみ」と異なった単語で
韻をふんでみせたこと。まったくの偶然なんですが。
慣れてくると、漢字オッケーにする、
同時多発で何枚も回してスピード感を出すなど
ルールを追加するとおもしろいですよ。
メンバーに俳句をかじった人を入れておくと、
「なんでみんな季語にしてくれないのよー」とか
怒ったりするので楽しいです。
5文字目はとにかく「や」にしちゃうとか。
楽しみ方のコツは
隣の人の意志をいい塩梅にうらぎること、かな。
でたらめすぎても収拾つかなくなりますが、
あまりにも汲み取りすぎてもおもしろい句はできません。
何回もやってるうちにメンバーの性格とか
好みがわかってくるのも楽しいです。
天の邪鬼がかならず出ますし、
思いがけなく意志が伝わって、愛が生まれる可能性も?
アライは最高15人、いちどに15枚回したことがあります。
徹夜したこともあります。
俳句バカ一代です。
(新井さん)
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