三谷龍二さんのあたらしい場所。[10cm日記]
 

9月1日 
電気の血管
昨日、電気屋さんが現場に入りました。
この段階で配線をしておかないと後からではできない、
いわゆる段取りのタイミングだったのだと思います。
 
電気屋さんが帰った後、配線の済んだ室内を
ぐるっと見渡してちょっと驚きました。
一軒の家には、
こんなにも沢山の電気の線が必要なのだと。
現在の僕たちの暮らしの要求を満たすには、
縦横無尽、こんなに家の中に電気の線を
引かなければならないということが判ったのです。
でも考えてみれば当然かも知れません。
パソコン、携帯、冷暖房、照明、
数え上げたらきりがないくらい
家電の世話になっていますから、
それを動かすために必要な電気配線を行えば、
自ずからこのように太い束となって、
家中に張り巡らされることになるのでしょう。
 
それはまるで身体のなかの血管のようでした。
よくオール電化と聞きますが、
それだと、さらに電気に頼る家になるということです。
予告された停電ぐらいだったら影響ないでしょうが、
突然、長い時間停電するようなことがあったら、
どうなるのだろう、と怖いくらいです。
停電になったらお湯を沸かすことも
料理を作ることもできない。
もちろん暖房も停止し、
トイレも使えなくなってしまいます。
そんなことは起きなくて、
電気は安定して供給され続けることを望みますが、
でもあまりにも暮らしが電気に頼りすぎていて、
本当に大丈夫、と思ってしまいます。
 
乾電池の電磁波についても神経質な人がいますが、
そうした人は、
電気のない暮らしをしているのだろうかと、
つい思ってしまいました。
それくらい、電気の血管は家中、でした。
 
それから配線を終えた様子を見て、
もうひとつ驚いたことがありました。
アッケラカンとしたテープによるコード処理方法です。
後で壁を張るから隠れてしまう、
だからビニールテープで留めるだけ、
とそのあっさり加減に、
逆に納得させられてしまいました。
プロの仕事はきわめて合理的で、
余計なことは省き手早く必要十分な仕事をする、
ということなのでしょう。

2010-10-25-MON

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