『新選組!』
with
ほぼ日テレビガイド
第42回 「龍馬暗殺」を観て


永田 第42回を観おわりました!
西本 おつかれさまでした。
糸井 おつかれさました。
永田 いや、今日はすごかったですねー。
糸井 お、前のめりですね。
永田 ええ。なんか、いますぐ
もう1回最初から観たいという気分です。
糸井 ああ、そうですか。
ぼくはすでにいまのが2回目でした。
西本 ぼくも2回目です。
永田 あいかわらず、今日が初見です。
温度差があったらすいません。
西本 で、今日も泣いたんですか?
永田 いやいや、あんた、今日は、あんた、
泣くとかそういう問題じゃないでしょ、あんた。
糸井 ずいぶんテンション高いですね。
永田 なんか、ドッキドキしましたねえ。
観おわったあとの
「ふう〜〜〜」という感じは
いままででいちばんかもしれない。
糸井 へえ、そんなに?
それはなにに対しての
どういう思い入れなんですか?
永田 なんでしょうね、演出ですかね、
その、龍馬暗殺の場面が、
こう、ど真ん中というか、直球というか、
ギミックなく、そのまんま来たじゃないですか。
ああ、ちょっと、すぐに
うまいことまとまりませんけど。
糸井 いやいや、続けてください。
永田 あの、なんだろうな。
今回、序盤からぐいぐい
引っ張られたんですけど、観ながら、
「画面に誰が映っても主人公に見えるなあ」
って思ってたんですよ。
近藤や龍馬はもちろん、
佐々木サマも、周平も、沖田も。
糸井 あああ、なるほどね。捨助だってね。
永田 そうそう、そうなんです。
で、そういううねりがどんどん太くなりながら
龍馬暗殺の終盤に向かっていきますよね。
で、そこでなにが起こるんだろう? と、
盛り上がりながら、
身構えていく感じだったんですよ。
これまでいろいろ伏線がありましたよね。
たとえば、捨助が暗殺犯だという説があったり、
龍馬がずっと拳銃を持ってたり、
鎖帷子が意味深に出てきてたり。
暗殺犯も、ずっと誰なんだかわからないでしょ。
で、テンションが高まったところで、
最後は直球だったじゃないですか。
「オレは龍馬を斬る」と言ってた人が、
そのまま正面から暗殺した。
その、ドーン! と来た感じが、
なんか、すごかったんですよ。
糸井 バットをへし折った感じだよね。
永田 そうですね。バッターボックスで
追い込まれて、
「どんな球が来るんだろう?」
といろいろ考えているなかで
ドーンと直球が来て、いまは
「うわ〜っ!」となっている状態です。
今日2回目のおふたりは、
割と冷静みたいですね。
糸井 うん。1回目と2回目では、
印象がずいぶん違いましたね。
にしもっちゃんは
1回目と2回目とどっちがよかった?
西本 2回目ですね。
糸井 ぼくもそうなんです。
「2度目は2度目でいいなあ」
というのがいつもの観かただったんですけど、
今日は2度目のほうが明らかによかった。
具体的にいうと、「鳥の皮の話」とかね。
西本 あー、あれですね。
糸井 あの、なんてことないやり取りが、
1回目よりも、染みましたねえ。
どちらかというと1回目は
意味でとらえちゃったんだけど、
2回観たら、龍馬の呼吸が感じられたんですよ。
「オレはこんな話をして一生を送りたいきに」
って言って、
龍馬が息を吐ききったようなタイミングで、
バーンッ! ときたじゃないですか。
死ぬってそういうことなんだろうなあ、
みたいなことを思ったね。
あの、事故にあった経験とか、ある?
永田 ありますよ。
原付の免許を取ったばかりのころ、
前を走っていた友だちのバイクが
急停車して、その後ろに突っ込みました。
西本 ぼくは、大学のころに事故にあいました。
バイト先の店長に誘われて
ある劇団の稽古場に遊びに行ったんですけど、
最終的にそこで宴会になって
へべれけに酔っぱらいまして、
こう、全員の顔にマジックで
「バカ」とか「うんこ」とか書いて
ゲラゲラ笑ってたんです。
そんでまあ帰るかということになったんですが、
そのバイト先の店長がへべれけなくせに
ハンドル握って「だいじょぶだいじょぶ」
とか言うんですよ。
永田 にしもっちゃんにしもっちゃん。
西本 え?
永田 そんな本格的なエピソードを
話さなくてもいいんだよ。
西本 えっ、そうすか。
めちゃめちゃおもしろいですよ、この話。
糸井 ともかく、事故ったときとかにさ、
呆然とするというか、
救急車に乗って、頭真っ白の状態で、
「あっちゃあ、こういうことかぁ」
みたいな気持ちになることあるじゃないですか。
ふたり あるあるある。
糸井 あのへんの気分がものすごくよく出てたよね。
2度観ると、そのへんがよくわかります。
西本 あのあっけなさは見事でしたね。
今回、タイトルが「龍馬暗殺」なんですけど、
龍馬暗殺の1日を
じっくり見せるというようなことではなく、
一方で歴史は動いていたりということを、
きちんと見せてましたよね。
龍馬に焦点をあてすぎるのではなく、
龍馬が暗殺される背景なんかを
あまり歴史に詳しくない人にも
わかるように描かれていたと思うです。
龍馬って、やっぱファンが多いですから、
じっくりドラマとして描くということも
考えられたと思うんですけど、
そのへんを重すぎず、軽すぎず、
絶妙のバランスで表現されていたことに
すごく好感を持ちました。
つい『太陽にほえろ!』の松田優作的に
「なんじゃこりゃ!」成分を
入れたくなるところだと思うんです。
永田 意外に短いんだよね、暗殺の場面。
すっげえ濃かったけど。
西本 ええ、時間的には短いです。
永倉と左之助も、龍馬に近寄ることなく
すぐに立ち去ったりして。
あっけない感じが、よかったですねえ。
糸井 ほんとにあっけないよねえ。
だから、「殺す」って、
すごくいけないことだと思うね。
命だけでなく、
夢も希望も断ち切るじゃないですか。
あ、もしかしていまおれ、いいことを言ったな。
永田 2回言いますか?
糸井 2回言っていいですか?
西本 どうぞどうぞ。
糸井 ‥‥「殺す」っていうのは、
その人の命だけじゃなく、
夢も希望も断ち切ることなんですよ。
永田 なんで2回言うんですか。
糸井 2回言っていいと言ったじゃないですか。
西本 そういうベタなやり取りはさておき、
断ち切られる夢や希望は、
最後に龍馬が見つめる
地球儀に表されてましたね。
永田 視界がボヤけていくんだよね。
糸井 命だけでなく‥‥。
西本 夢も‥‥。
永田 希望も‥‥。
糸井 家族計画も‥‥。
西本 いまなんか余計なひと言が
加えられませんでしたか。
永田 こういうときは無視です。
糸井 あと、あの場面は、佐々木サマですよね!
「死」はすべてを断ち切るんだけど、
断ち切るだけの説得力がないとダメですからね。
永田 いや、あの場面の佐々木サマはすごかった。
あの目!
西本 宿の主人を斬った直後の顔は
怖かったですよ!
糸井 力があったよねー。
永田 あれ、ハリウッド映画だったら
アカデミー助演男優賞ですよ。
西本 間違いないですね。
永田 最後のところの、
刀を受け止めるところは、
もう、奥歯を噛みましたよ。
また、頭ってのがすごかったなあ。
糸井 まあ、史実なのか、
龍馬暗殺というと頭なんでしょうけど、
ああいう、頭への刀の落としかたは、
チャンバラっていうイメージじゃないよね。
だからよっぱどの恐ろしい力で。
永田 そう、技じゃないんですよね。
かといって瓢箪を踏んだり、
鴨居に刀が刺さったりするような
ギミックでもなく、力。
糸井 もう、カブレラみたいな力ね。
永田 カブレラ、カブレラ。
礼儀正しいカブレラ。
ああいうなかで、龍馬の刀を押し切って、
頭に致命傷を負わせるキャラといったら
『新選組!』のドラマのなかじゃ
佐々木サマしかいないんじゃないでしょうか。
龍馬の頭を割るために、
いままで背筋を伸ばしていたんじゃないかと
そう思いますよね。
そういう強さと真っ直ぐさでいうと、
近藤と似てる気がする。
なんていうか、裏・近藤勇みたいな。
時代が時代なら、あのふたりは
すごく話が合ったんじゃないかなあ。
西本 あとは、演出ですよ、やっぱり。
音もカメラワークも、すごかった。
永田 いえてるいえてる。
あの、佐々木サマが階段のぼるところで、
佐々木サマの視点になるんだよね。
あそこから始まる一連がすごい。
糸井 あの緊迫感のなかで、
龍馬と中岡が「鳥の皮の話」を
してるのがいいんですよ。
永田 しかも、あそこ、部屋のなかの
龍馬の声はリアルタイムで流れてるのに、
そこへ近づく佐々木視点の
カメラはスローモーションなんですよ。
その違和感が、アドレナリンというか、
現実離れした佐々木のテンションを表してて、
観るほうがさらに緊迫する。
西本 そんで血のしたたる刀が、
ユラーーっと。
糸井 あと、やっぱり音だよ。
犬がワオーンと吠えて、
鐘がゴーンと鳴るんだよ。
西本 ああいう音が、
カットが変わるごとに鳴ってましたね。
永田 そういう、いつもあまりやらないようなことを
あの数分間に詰め込んでましたよね。
尺八も鳴りまくってましたよ。
あと、あの、『マトリックス』のような、
パンする速度が変化するカメラワーク。
糸井 ふすまが開くところね。
永田 あれ、第1回のときもつかってたんだけど、
あのときはちょっと浮いてたというか、
あえて装飾的にやってたと思うんですよ。
でも、今回は完璧に時代劇のなかに
溶け込ませてましたよね。
だって、尺八の鳴り響くなかで、
『マトリックス』みたいな
カメラワークですから。
冷静に考えてみるとすごい取り合わせ。
糸井 今回、
そういう新しい手法のミックスというのが
随所で効いてたと思うんですよ。
たとえば「ウタノマエ」のところ。
いきなり、現代の京都の
風景を入れてたじゃないですか。
西本 ああーー。
永田 あれはびっくりしましたよ。
糸井 つまり、今回のテーマとして、いっぽうでは、
あの物語が現代につながるものだという
表しかたがあるんだと思うんです。
たった150年前の出来事ですよ、という話。
そこで、いまの人が、いちばん共感できるのは
やっぱり龍馬だと思うんですよ。
いま生きてる人の考えに
いちばん近いわけだからね。
そりゃ、龍馬がいいに決まってるんですよ。
だからこそ、龍馬を殺すためには、
というか、龍馬に対抗するためには、
様式を持ち出してくるしかないんですよ。
カーブやスライダーじゃなくて、直球なんです。
ぶっとい腕で叩き斬るんです。
あるいは、鐘がゴーンと鳴って、
尺八が響きまくるわけです。
とんでもなく昔からある大木みたいなもので
頭をゴーンとやることで、
いまにつながっているものとの
対峙をさせたんじゃないかと思うんですよ。
永田 はっはあー。
西本 なるほど。
糸井 これは、相当苦労したと思いますね。
本を書いた人も苦労したと思うけど
現場の演出をした人の苦労が忍ばれます。
西本 様式が、現代につづく道を断ち切るといえば
いままで拳銃一丁で
逃げおおせてきた龍馬が
真っ正面から拳銃を払い落とされたことが
印象的でしたね。
糸井 拳銃だって不意をつかれたらダメなんだよね。
「鳥の皮の話」をしているときは負けるよ。
腹も減ってたわけだからね。
まあ、いろんな細かい偶然が積み重なって、
ひと息ついたところだったんでしょう。
生きる呼吸が合わなかったということだね。
死ぬ前、斉藤一に岡田以蔵について
話してたじゃないですか。
「そのあとはどうなる?」と斎藤に訊かれて、
「そのあとはわからん」って言ってたけど、
自分のその後もおんなじだと思うんですよ。
薩摩をたきつけたり、長州とくっつけたり、
幕府のほうに手を回したりとさんざんやって、
「そのあとのことはわからん」
ということになったんじゃないかな。
だから、まあ、もう一回言いますけど、
人を斬るということは、その命だけでなく、
夢と希望も斬ることだということですね。
いや、すごかったね。
永田 すごかったです。
糸井 でも、重要な人物が死んだというのに、
泣けなかったという意味では
ぜんぜん、泣けなかったね。
泣けないというのは、やっぱり、
断ち切られたからだと思いますよ。
「もうちょっとで手が届く‥‥」
みたいな見せかただったら泣けたと思うけど、
パーンっと断ち切ったからね。
時間がきたから終わり、みたいなね。
そのあたり、やられたなあ、
という気持ちですね。
永田 ぼくも泣いてないですよ。
西本 ほんとですか?
永田 泣いてないって! ほらほら!
(目を見開いてアピール)
糸井 龍馬で、ほかに、なにかありますか?
西本 2回目観たときにきづいたんですが、
昼間の近江屋で、平助に
「ほんとは3人ぜよ」って話しているところで、
龍馬があくびをしながら寝っ転がって
火鉢に頭をぶつけますよね。
あの場所、佐々木サマに斬られる場所なんです。
だから、鎖帷子を捨助に与えるのもいいけど
「あんた頭に気をつけなさいよ」
って暗示しているように感じましたね。
糸井 あっ、あの場面、ぼくは
あくびの芝居がちょっと気になってたんですよ。
なんか、あくびに見えないというか、
妙な感じの芝居になってるなあ、と。
それはきっとあれだね、江口くんに、
「火鉢に頭をぶつける」意識が
ありすぎたのかもしれないね。
なるほどなるほど、腑に落ちた。
永田 ガラにもなく、細かいところ観てたね。
西本 今回はなぜか細かいところに目がいきました。
糸井 そういえば、なんか、
いきなり深い話をしてますけど、
大丈夫なんですか?
誰かに会ったとか、ないんですか?
西本 ぼく個人は誰とも会ってませんが、
糸井さんは今週、
佐久間象山先生に会う予定になってますよ。
永田 あ、石坂浩二さんだ。
糸井 石坂さんの手料理をごちそうになる予定です。
佐久間象山先生はね、料理が好きなんですよ。
永田 たしか石坂さんとは、
すごく古いつき合いなんですよね。
糸井 ぼくが二十歳のころからだから
もう、35年くらいのつき合いですね。
象山先生はね、ほんとにおもしろいですよ。
みんなは、あの人のおもしろさを
知らないんじゃないかと思います。
西本 あ、ぼくも先日はじめてお会いして
びっくりしました。
石坂さんと糸井さんと雑談するのを
横で聞いてたんですけど、
とにかく、なんでも知ってて、よくしゃべる!
糸井 そうそう。象山先生は変わってますから。
永田 へええ、そうなんだ?
西本 ほんとになんでも知ってるんですよ。
訊くとなんでも答えちゃうんですよ。
糸井 なにか質問をすればなんとかする人なんだよ。
ほんとうに答えられないときは、
その問題の横にあるものの
話が出てくる人なんだよ。
永田 それ、佐久間象山そのものじゃないですか。
糸井 そうなんです。
だからあのキャスティングをした三谷さんは、
きっと、石坂さんを知ってるんですよ。
永田 あ〜、なるほど。
西本 おそらく、しばらくしたら
佐久間象山先生こと石坂浩二さんが
「ほぼ日」に登場することになると思うので
ご期待くださいとだけお伝えしておきます。
永田 あ、また自社内で宣伝したな。
西本 熱心な仕事ぶりとほめてください。
糸井 熱心な仕事ぶりで思い出しましたが、
今回、新選組の屯所が引っ越しましたよね。
永田 はいはい、西本願寺から離れて、
新しく屯所をつくってもらって。
糸井 あれは土方の仕事ですよね。
あのタイミングで新しく屯所をつくり、
しかも資金は西本願寺に出させるというのは
見事な手腕だと思うんですが、
その一方で、土方の仕事というか、
活躍の場所がどんどん
なくなっていってると思うんですよ。
西本 あ、なるほど。
糸井 つまり土方は、目的はなんだか知らないし、
大義の部分にこだわってるわけじゃないけど、
「ものすごく強靱な組織をつくる」
という目的に向かって進んできた
プランナーだったと思うんですよ。
その頭に近藤勇を据えて、
自分はそのまわりをぜんぶ引き受けるというね。
ところが、先週、彼らが直参になって、
法度がなくなったところで、
彼のすることがぷつんとなくなったんです。
永田 ある意味、ゴールしちゃったわけですよね。
武士にもなれたし、新しい屯所という
一軒家も建てちゃったみたいなもので。
糸井 そうです。ご法度が消えたとたんに
土方が「こうするべきだ」と
言えなくなったという、
ある種の悲劇が始まっちゃったんですよ。
ところがこの状況はね、
いわば以前の状態に戻ったともいえるわけで、
とりわけ三谷さんが薦めてくれた
第13回の構造にそっくりなんですよ。
あの、鴨が火をつけた回。
永田 ああ、「芹沢鴨、爆発」ですね。
糸井 あのとき、ご法度も約束もなにもなくて、
目的もよくわからないというなかで、
近藤勇がなにがなんだかわかんないけど
身体を張って向かっていったじゃないですか。
あのときの土方は
「見てろ、かっちゃんを!」
と言っていたわけでしょう?
かっちゃんのやることに
オレたちはついていくんだ、
という役だったじゃないですか。
直参になって、ご法度がいらなくなったら、
またその「かっちゃん!」の時代に
戻ったといえると思うんですよ。
永田 たしかに、法度がなくなって、
黙って悩んでいた近藤が動き出して
頼もしくなってきた感じがあります。
それはでも、悪いことでは
ないかもしれませんよね。
糸井 完全にあの時代に戻ったんならね。
でも、建造物としての船は
しっかり完成しちゃってるんですよ。
ということは、船ができて、
その先頭に近藤が双眼鏡を持って立っていて、
いよいよ目的のわからないところに
つき進んでいくことになるんです。
永田 あああ、そっかそっか。
西本 新しい屯所の場面にも
「半年しかいなかった」という解説が、
さらっと添えられてましたしね。
糸井 ほんと、いよいよだなあという感じですね。
人もどんどんいなくなってるし。
今週は沖田も‥‥。
永田 ああ、ツラかったですねえ。
「なんで総司が‥‥」って言う
源さんがツラかったなあ。
西本 ついにみんなの前で喀血して。
糸井 うん。沖田、ついに寝た。
永田 え?
西本 え?
糸井 沖田が、寝た(起きたが、寝た)。
永田 さ! つぎの話行きましょう。
にしもっちゃん、なんかないですか!
西本 はい、気分を変えるのに、
うってつけのネタがあります。
ふたり どうぞどうぞ。
西本 左之助とまさちゃんが働く
「お多福」に、
斎藤一の結婚祝いの仏さんが
飾ってありました!
永田 うそっ!
糸井 ほんと?
西本 たぶん、まちがいないです。
2回目を観ていたときに気づきました。
あの、柱のところに、
とんがり頭の仏さんが
ちょこんと飾られてました。
永田 また、ガラにもなく‥‥。
糸井 細かいところを観てたねえ。
永田 ちょっと、いま、観なおしてみます?
西本 いいですよ。
(リモコンを操作する)
ほらほら、ここ、ここ!
糸井 あっ、ほんとだ!
永田 よく気づいたなー。
西本 なぜか今日は細かいところが
目につきました。
永田 ‥‥‥‥ああっ!
糸井 なに?
永田 ‥‥もうひとつ、台がある。
反対側の柱に、もうひとつ、
仏を飾れるような台があるよ。
糸井 わっ、ほんとだ。
西本 ってことは‥‥。
永田 もう1体、仏が彫られる?
三人 ‥‥‥‥。
永田 まあ、忘れましょう。
西本 そうですね。まえまえから
あったのかもしれないし。
糸井 ええと、お多福について、
ぼくはまえまえから
思ってることがあるんですけどね。
ふたり どうぞどうぞ。
糸井 新選組の人たちは、みんな、ほんとうに、
しるこを食べてませんね!
ふたり (笑)
糸井 メシを食うシーンなんかは、
わさわさと音がするくらい、
食べてたりするんですよ。
ところが、しるこは食ってないですねえ。
たんに箸を動かしてるだけですね。
西本 たしかに、お多福で実際に
しるこを食ってる人は記憶にないですね。
永田 明里は?
西本 いや、実際に何杯も食ってた
わけじゃなかったと思いますよ。
糸井 「たくさん食べたなあ」という
ことになっているだけだと思いますよ。
たいていは、食ってない。
箸をなめてたりするだけですよ。
永田 ていうか、あれ、中身は入ってるんですか?
西本 あ、入ってないのかもしれませんね。
永田 もしくは冷えて固まっちゃってるとか?
糸井 せめて、モチを引っ張って
伸ばしたりしてほしいですね。
とにかく、しるこを
役者さんたちが持て余してますよ。
ぼくは元来甘党ですからね、
「しるこ、美味そうだなあ」
と思いたいんだけど、
役者が思わせてくれないんだよ。
永田 今回、たしかにぐっさんも照英も、
箸を持ってたというだけで
食べてはなかった気がするなあ。
周平が食っているシーンも後ろ姿で、
口元、手元のアップはなかったような。
糸井 あの、周平のライバルも
しるこは食ってなかったぞ!
永田 あいつは
「てめえ、なに、しるこ食ってんだよ」
って文句つけに来たんですから、
食うわけないじゃないですか。
糸井 食えばいいじゃないか!
しるこ屋なんだから!
永田 意味わかんない。
西本 ちなみに、あのライバルは
大石鍬次郎といいます。
先週、ぼくらが
「観柳斎を斬った若造は何番組だ?」
としゃべったところ、
たくさんのメールをいただきました。
大石鍬次郎は一番組だそうです。
永田 そうそう、それで思い出したんだけど、
大石鍬次郎が一番組ってことは、
つまり、沖田が直属の上司なわけでしょ?
糸井 沖田が寝た(起きたが寝た)。
永田 (無視して)
ってことはさ、ライバルの周平を、
自分の上司が特訓してたってことでしょ?
西本 そうなんですよ。あれは腹が立つと思いますよ。
「だったらオレにも教えてくださいよ!」
って言いたくなりますよ。
しかも、周平が勝ったら勝ったで、幹部全員で、
わっしょいわっしょいと。
永田 周平わっしょいと。
糸井 わっしょい! わっしょい!
西本 あの小僧は、先週まで嫌いだったんだけど、
今回、むしろちょっと好きになりましたよ。
永田 オレも、オレも。
糸井 ところでみなさん、
みなさんは大石鍬次郎の彼について、
きちんと情報を得てますか?
ふたり え?
糸井 彼は根本慎太郎という役者さんなんですよ。
ぼくは彼のホームページなど見てみましたよ。
それくらいしなきゃダメですよ、みなさん。
憎んでるだけじゃダメですよ。
憎んだらそれに相応するくらいの
やさしさ返しをしなきゃだめですよ。
永田 やさしさ返しはさておき、
前の職場に大石鍬次郎そっくりなやつが
いたんですよ。
糸井 あ、ああいう顔はいるね。
野球でいうとファースト守ってそうな顔だね。
永田 すごい分類のしかたですね。
糸井 周平はセカンドあたり。
西本 ところで、何気に周平が
幹部席に座るようになってましたね。
お孝を捜索するあたりからでしょうか。
永田 あ、そういやそうだ。
糸井 これは真面目な話だけど、
あそこまで周平が
大きく扱われているということは、
今度、物語の鍵を握るように
なってくるんじゃないですかね。
つまり、跡取りとして考えたこともある沖田が
いま、もう動けなくなったでしょ。
そのぶんの愛情なり、機会なりが
周平に向けられることになるんじゃないかな。
さらにいうと、今回、いわば沖田の剣が
周平に注ぎ込まれたわけだよね。
永田 あああ、なるほどなるほど。
じゃあ、今後は、沖田の代わりに前線に‥‥。
糸井 立つこともあるんじゃないかなあと。
西本 周平は、源さんとの疑似親子みたいな
関係がとってもいいですよね。
永田 いい、いい。あのへんも、
最後の龍馬暗殺がなければ
もっと印象に残ってると思うんだけど。
なんかもう、暗殺で、
ほかのことが吹っ飛んじゃってるんです。
沖田が倒れるところも、
観てたときはジーンとしてたんだけど。
西本 ぼくも1回目はそういう状態でした。
2回目は冷静に観たのでいろいろ覚えてます。
たとえばコクのある演技をしていた
佐藤B作さんですが、
足の爪を切っている場面は、
小林製薬の「水虫タムシ・その前に」みたいな
商品のテレビCMを彷彿とさせました。
永田 あ、うまいこと言うなあ。
ほか、なにがありましたっけ?
糸井 忘れちゃいけないのが捨助ですよ。
西本 あ、そうだ!
永田 そうだった、そうだった。
あそこ、よかった。
糸井 捨助はほんとうに近藤のことが好きなんだな
ということが今回わかりましたね。
あの、捨助もこの前の観柳斎と同じで、
どれくらい裏切らせるのかというのは
作者のさじ加減で決まるじゃないですか。
あれ、もっと裏切ってもいいわけだよね。
でも、あそこにおさめたんですね。
三谷さんがが捨助の倫理をようやく
提示したというのがおもしろかったよね。
永田 あと、あの近藤と土方と捨助が
3人で話す場面には、
明らかに三谷さんのメッセージが
込められてましたよね。土方に
「新選組が坂本龍馬を
 助けるなんておかしいだろ!」
って言わせておいて、ほかのふたりが、
「新選組が坂本龍馬を助けて
 なにが悪い!」って。
西本 スタジオパークに出演されたときも
「近藤と龍馬が知り合いで、
 なにがいけないのかわからない」
っておっしゃってましたしね。
糸井 そして、スタジオパークといえばあれですよ。
ふたり 「カマキリ将軍」発言!
糸井 読者からもメールがたくさん来ましたが。
西本 放送中、三谷さんが徳川慶喜のことを、
「カマキリ将軍と呼ばれてます」と!
糸井 妙にうれしかったなあ。
永田 にやにやしましたねー。
糸井 今週は、まあ、そんなところですかね。
永田 うっす。
西本 なんか、今回の話、観おわったら
軍鶏とイカが食いたくなりました。
糸井 カレーじゃないんですか。
西本 そんなにカレーばっかり‥‥
あっ! 今日、ぼく、
昼間、カレーでしたわ。
永田 さすが、海軍の兵隊のように
カレーを食い続ける男!
西本 ああ‥‥しかも、土曜日も横浜で
サッカー観ながらカレー食ってたなあ。
糸井 ほんとにカレーが好きなんだなあ。
永田 キレンジャーなみに‥‥ああっ!
そういや、ぼくも、
今日の昼はカレーだった!
糸井 ‥‥‥‥。


ほぼ日テレビガイド
〜女子の部〜



モギコ
今週は、佐々木サマこと、
伊原剛志さんでしょ!
すげーよかった。かっちょいい!

ナカバヤシ
あ、だったら、
織田裕二さんと矢田亜希子さんが
でている『ラストクリスマス』
観るときは気持ちを
切り替えたほうがいいですよ。
一回しか観てないんですけど、
伊原剛志さんが
オヤジギャグを連発
する役で出てました。

モギコ
がーーーーん。
でも、伊原さんって、そういう
ちょっと痛い役もするんだよなあ。

ナカバヤシ
ちなみに私はなぜか今回、
周平に感情移入
してしまいました。
剣がめきめき成長してる感じが
素直に、いいなあと思いました。
だから、沖田の喀血が、
かなりショックだった。
無理させてしまった! と。

ゆーないと
あたしは、
医者のおっちゃん
がよかった。

ふたり
またおっちゃんかい。

ゆーないと
あとはやっぱり龍馬かなあ。

ナカバヤシ
龍馬ですねー。あの、
「即死ではない感じ」
っていうのが切ないですねー。

モギコ
龍馬といえば、斎藤一と話すところで、
「人斬り以蔵」こと岡田以蔵のことを
話す場面があったでしょ。
三谷脚本の『竜馬におまかせ!』では
反町隆史が以蔵役で
いい味出してたんです。

ゆーないと
どうでもいい話ですけど、
幕末の志士たち、
甘いもん食い過ぎでは?

しるこ、焼き芋、コンペイトウ‥‥。
今週は西郷たちがマンジュウを。

モギコ
いえてる、いえてる。
やっぱ男は軍鶏ぜよ!

ナカバヤシ
軍鶏ぜよ!

ゆーないと
コケコッコー!


ほぼ日テレビガイド
〜美術部〜




ほぼ日テレビガイド
〜読者の部〜

(印象的なメールを毎週一通紹介します!)

=
新しモノ好きの龍馬は
14回くらいから銃を持っていました。
が、寺田屋から逃げる時の
威嚇射撃でも感じましたが
銃は龍馬のアクセサリーでしかなく
「持ってる」というだけで
決して「使えてる」域にはなかった。
今回もあっさり払い落とされてました。
龍馬の手には、
人を殺すものとしての銃が握られる事は
ついに一生なかった。
刀を抜かなかったのと同様、
結局撃つ気がなかったのかもしれません。
それは6回でヒュースケンが言った「武士道」
つまり刀に銃は卑怯、ということではなくて
人は殺すものではない、
という信念から発していたと思う。
日本最初のヒューマニスト、
の称号を捧げたい気分です。
(ゆきひめのみみ)


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2004-10-29-FRI

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