永田 |
第42回を観おわりました! |
西本 |
おつかれさまでした。 |
糸井 |
おつかれさました。 |
永田 |
いや、今日はすごかったですねー。 |
糸井 |
お、前のめりですね。 |
永田 |
ええ。なんか、いますぐ
もう1回最初から観たいという気分です。 |
糸井 |
ああ、そうですか。
ぼくはすでにいまのが2回目でした。 |
西本 |
ぼくも2回目です。 |
永田 |
あいかわらず、今日が初見です。
温度差があったらすいません。 |
西本 |
で、今日も泣いたんですか? |
永田 |
いやいや、あんた、今日は、あんた、
泣くとかそういう問題じゃないでしょ、あんた。 |
糸井 |
ずいぶんテンション高いですね。 |
永田 |
なんか、ドッキドキしましたねえ。
観おわったあとの
「ふう〜〜〜」という感じは
いままででいちばんかもしれない。 |
糸井 |
へえ、そんなに?
それはなにに対しての
どういう思い入れなんですか? |
永田 |
なんでしょうね、演出ですかね、
その、龍馬暗殺の場面が、
こう、ど真ん中というか、直球というか、
ギミックなく、そのまんま来たじゃないですか。
ああ、ちょっと、すぐに
うまいことまとまりませんけど。 |
糸井 |
いやいや、続けてください。 |
永田 |
あの、なんだろうな。
今回、序盤からぐいぐい
引っ張られたんですけど、観ながら、
「画面に誰が映っても主人公に見えるなあ」
って思ってたんですよ。
近藤や龍馬はもちろん、
佐々木サマも、周平も、沖田も。 |
糸井 |
あああ、なるほどね。捨助だってね。 |
永田 |
そうそう、そうなんです。
で、そういううねりがどんどん太くなりながら
龍馬暗殺の終盤に向かっていきますよね。
で、そこでなにが起こるんだろう? と、
盛り上がりながら、
身構えていく感じだったんですよ。
これまでいろいろ伏線がありましたよね。
たとえば、捨助が暗殺犯だという説があったり、
龍馬がずっと拳銃を持ってたり、
鎖帷子が意味深に出てきてたり。
暗殺犯も、ずっと誰なんだかわからないでしょ。
で、テンションが高まったところで、
最後は直球だったじゃないですか。
「オレは龍馬を斬る」と言ってた人が、
そのまま正面から暗殺した。
その、ドーン! と来た感じが、
なんか、すごかったんですよ。 |
糸井 |
バットをへし折った感じだよね。 |
永田 |
そうですね。バッターボックスで
追い込まれて、
「どんな球が来るんだろう?」
といろいろ考えているなかで
ドーンと直球が来て、いまは
「うわ〜っ!」となっている状態です。
今日2回目のおふたりは、
割と冷静みたいですね。 |
糸井 |
うん。1回目と2回目では、
印象がずいぶん違いましたね。
にしもっちゃんは
1回目と2回目とどっちがよかった? |
西本 |
2回目ですね。 |
糸井 |
ぼくもそうなんです。
「2度目は2度目でいいなあ」
というのがいつもの観かただったんですけど、
今日は2度目のほうが明らかによかった。
具体的にいうと、「鳥の皮の話」とかね。 |
西本 |
あー、あれですね。 |
糸井 |
あの、なんてことないやり取りが、
1回目よりも、染みましたねえ。
どちらかというと1回目は
意味でとらえちゃったんだけど、
2回観たら、龍馬の呼吸が感じられたんですよ。
「オレはこんな話をして一生を送りたいきに」
って言って、
龍馬が息を吐ききったようなタイミングで、
バーンッ! ときたじゃないですか。
死ぬってそういうことなんだろうなあ、
みたいなことを思ったね。
あの、事故にあった経験とか、ある? |
永田 |
ありますよ。
原付の免許を取ったばかりのころ、
前を走っていた友だちのバイクが
急停車して、その後ろに突っ込みました。 |
西本 |
ぼくは、大学のころに事故にあいました。
バイト先の店長に誘われて
ある劇団の稽古場に遊びに行ったんですけど、
最終的にそこで宴会になって
へべれけに酔っぱらいまして、
こう、全員の顔にマジックで
「バカ」とか「うんこ」とか書いて
ゲラゲラ笑ってたんです。
そんでまあ帰るかということになったんですが、
そのバイト先の店長がへべれけなくせに
ハンドル握って「だいじょぶだいじょぶ」
とか言うんですよ。 |
永田 |
にしもっちゃんにしもっちゃん。 |
西本 |
え? |
永田 |
そんな本格的なエピソードを
話さなくてもいいんだよ。 |
西本 |
えっ、そうすか。
めちゃめちゃおもしろいですよ、この話。 |
糸井 |
ともかく、事故ったときとかにさ、
呆然とするというか、
救急車に乗って、頭真っ白の状態で、
「あっちゃあ、こういうことかぁ」
みたいな気持ちになることあるじゃないですか。 |
ふたり |
あるあるある。 |
糸井 |
あのへんの気分がものすごくよく出てたよね。
2度観ると、そのへんがよくわかります。 |
西本 |
あのあっけなさは見事でしたね。
今回、タイトルが「龍馬暗殺」なんですけど、
龍馬暗殺の1日を
じっくり見せるというようなことではなく、
一方で歴史は動いていたりということを、
きちんと見せてましたよね。
龍馬に焦点をあてすぎるのではなく、
龍馬が暗殺される背景なんかを
あまり歴史に詳しくない人にも
わかるように描かれていたと思うです。
龍馬って、やっぱファンが多いですから、
じっくりドラマとして描くということも
考えられたと思うんですけど、
そのへんを重すぎず、軽すぎず、
絶妙のバランスで表現されていたことに
すごく好感を持ちました。
つい『太陽にほえろ!』の松田優作的に
「なんじゃこりゃ!」成分を
入れたくなるところだと思うんです。 |
永田 |
意外に短いんだよね、暗殺の場面。
すっげえ濃かったけど。 |
西本 |
ええ、時間的には短いです。
永倉と左之助も、龍馬に近寄ることなく
すぐに立ち去ったりして。
あっけない感じが、よかったですねえ。 |
糸井 |
ほんとにあっけないよねえ。
だから、「殺す」って、
すごくいけないことだと思うね。
命だけでなく、
夢も希望も断ち切るじゃないですか。
あ、もしかしていまおれ、いいことを言ったな。 |
永田 |
2回言いますか? |
糸井 |
2回言っていいですか? |
西本 |
どうぞどうぞ。 |
糸井 |
‥‥「殺す」っていうのは、
その人の命だけじゃなく、
夢も希望も断ち切ることなんですよ。 |
永田 |
なんで2回言うんですか。 |
糸井 |
2回言っていいと言ったじゃないですか。 |
西本 |
そういうベタなやり取りはさておき、
断ち切られる夢や希望は、
最後に龍馬が見つめる
地球儀に表されてましたね。 |
永田 |
視界がボヤけていくんだよね。 |
糸井 |
命だけでなく‥‥。 |
西本 |
夢も‥‥。 |
永田 |
希望も‥‥。 |
糸井 |
家族計画も‥‥。 |
西本 |
いまなんか余計なひと言が
加えられませんでしたか。 |
永田 |
こういうときは無視です。 |
糸井 |
あと、あの場面は、佐々木サマですよね!
「死」はすべてを断ち切るんだけど、
断ち切るだけの説得力がないとダメですからね。 |
永田 |
いや、あの場面の佐々木サマはすごかった。
あの目! |
西本 |
宿の主人を斬った直後の顔は
怖かったですよ! |
糸井 |
力があったよねー。 |
永田 |
あれ、ハリウッド映画だったら
アカデミー助演男優賞ですよ。 |
西本 |
間違いないですね。 |
永田 |
最後のところの、
刀を受け止めるところは、
もう、奥歯を噛みましたよ。
また、頭ってのがすごかったなあ。 |
糸井 |
まあ、史実なのか、
龍馬暗殺というと頭なんでしょうけど、
ああいう、頭への刀の落としかたは、
チャンバラっていうイメージじゃないよね。
だからよっぱどの恐ろしい力で。 |
永田 |
そう、技じゃないんですよね。
かといって瓢箪を踏んだり、
鴨居に刀が刺さったりするような
ギミックでもなく、力。 |
糸井 |
もう、カブレラみたいな力ね。 |
永田 |
カブレラ、カブレラ。
礼儀正しいカブレラ。
ああいうなかで、龍馬の刀を押し切って、
頭に致命傷を負わせるキャラといったら
『新選組!』のドラマのなかじゃ
佐々木サマしかいないんじゃないでしょうか。
龍馬の頭を割るために、
いままで背筋を伸ばしていたんじゃないかと
そう思いますよね。
そういう強さと真っ直ぐさでいうと、
近藤と似てる気がする。
なんていうか、裏・近藤勇みたいな。
時代が時代なら、あのふたりは
すごく話が合ったんじゃないかなあ。 |
西本 |
あとは、演出ですよ、やっぱり。
音もカメラワークも、すごかった。 |
永田 |
いえてるいえてる。
あの、佐々木サマが階段のぼるところで、
佐々木サマの視点になるんだよね。
あそこから始まる一連がすごい。 |
糸井 |
あの緊迫感のなかで、
龍馬と中岡が「鳥の皮の話」を
してるのがいいんですよ。 |
永田 |
しかも、あそこ、部屋のなかの
龍馬の声はリアルタイムで流れてるのに、
そこへ近づく佐々木視点の
カメラはスローモーションなんですよ。
その違和感が、アドレナリンというか、
現実離れした佐々木のテンションを表してて、
観るほうがさらに緊迫する。 |
西本 |
そんで血のしたたる刀が、
ユラーーっと。 |
糸井 |
あと、やっぱり音だよ。
犬がワオーンと吠えて、
鐘がゴーンと鳴るんだよ。 |
西本 |
ああいう音が、
カットが変わるごとに鳴ってましたね。 |
永田 |
そういう、いつもあまりやらないようなことを
あの数分間に詰め込んでましたよね。
尺八も鳴りまくってましたよ。
あと、あの、『マトリックス』のような、
パンする速度が変化するカメラワーク。 |
糸井 |
ふすまが開くところね。 |
永田 |
あれ、第1回のときもつかってたんだけど、
あのときはちょっと浮いてたというか、
あえて装飾的にやってたと思うんですよ。
でも、今回は完璧に時代劇のなかに
溶け込ませてましたよね。
だって、尺八の鳴り響くなかで、
『マトリックス』みたいな
カメラワークですから。
冷静に考えてみるとすごい取り合わせ。 |
糸井 |
今回、
そういう新しい手法のミックスというのが
随所で効いてたと思うんですよ。
たとえば「ウタノマエ」のところ。
いきなり、現代の京都の
風景を入れてたじゃないですか。 |
西本 |
ああーー。 |
永田 |
あれはびっくりしましたよ。 |
糸井 |
つまり、今回のテーマとして、いっぽうでは、
あの物語が現代につながるものだという
表しかたがあるんだと思うんです。
たった150年前の出来事ですよ、という話。
そこで、いまの人が、いちばん共感できるのは
やっぱり龍馬だと思うんですよ。
いま生きてる人の考えに
いちばん近いわけだからね。
そりゃ、龍馬がいいに決まってるんですよ。
だからこそ、龍馬を殺すためには、
というか、龍馬に対抗するためには、
様式を持ち出してくるしかないんですよ。
カーブやスライダーじゃなくて、直球なんです。
ぶっとい腕で叩き斬るんです。
あるいは、鐘がゴーンと鳴って、
尺八が響きまくるわけです。
とんでもなく昔からある大木みたいなもので
頭をゴーンとやることで、
いまにつながっているものとの
対峙をさせたんじゃないかと思うんですよ。 |
永田 |
はっはあー。 |
西本 |
なるほど。 |
糸井 |
これは、相当苦労したと思いますね。
本を書いた人も苦労したと思うけど
現場の演出をした人の苦労が忍ばれます。 |
西本 |
様式が、現代につづく道を断ち切るといえば
いままで拳銃一丁で
逃げおおせてきた龍馬が
真っ正面から拳銃を払い落とされたことが
印象的でしたね。 |
糸井 |
拳銃だって不意をつかれたらダメなんだよね。
「鳥の皮の話」をしているときは負けるよ。
腹も減ってたわけだからね。
まあ、いろんな細かい偶然が積み重なって、
ひと息ついたところだったんでしょう。
生きる呼吸が合わなかったということだね。
死ぬ前、斉藤一に岡田以蔵について
話してたじゃないですか。
「そのあとはどうなる?」と斎藤に訊かれて、
「そのあとはわからん」って言ってたけど、
自分のその後もおんなじだと思うんですよ。
薩摩をたきつけたり、長州とくっつけたり、
幕府のほうに手を回したりとさんざんやって、
「そのあとのことはわからん」
ということになったんじゃないかな。
だから、まあ、もう一回言いますけど、
人を斬るということは、その命だけでなく、
夢と希望も斬ることだということですね。
いや、すごかったね。 |
永田 |
すごかったです。 |
糸井 |
でも、重要な人物が死んだというのに、
泣けなかったという意味では
ぜんぜん、泣けなかったね。
泣けないというのは、やっぱり、
断ち切られたからだと思いますよ。
「もうちょっとで手が届く‥‥」
みたいな見せかただったら泣けたと思うけど、
パーンっと断ち切ったからね。
時間がきたから終わり、みたいなね。
そのあたり、やられたなあ、
という気持ちですね。 |
永田 |
ぼくも泣いてないですよ。 |
西本 |
ほんとですか? |
永田 |
泣いてないって! ほらほら!
(目を見開いてアピール) |
糸井 |
龍馬で、ほかに、なにかありますか? |
西本 |
2回目観たときにきづいたんですが、
昼間の近江屋で、平助に
「ほんとは3人ぜよ」って話しているところで、
龍馬があくびをしながら寝っ転がって
火鉢に頭をぶつけますよね。
あの場所、佐々木サマに斬られる場所なんです。
だから、鎖帷子を捨助に与えるのもいいけど
「あんた頭に気をつけなさいよ」
って暗示しているように感じましたね。 |
糸井 |
あっ、あの場面、ぼくは
あくびの芝居がちょっと気になってたんですよ。
なんか、あくびに見えないというか、
妙な感じの芝居になってるなあ、と。
それはきっとあれだね、江口くんに、
「火鉢に頭をぶつける」意識が
ありすぎたのかもしれないね。
なるほどなるほど、腑に落ちた。 |
永田 |
ガラにもなく、細かいところ観てたね。 |
西本 |
今回はなぜか細かいところに目がいきました。 |
糸井 |
そういえば、なんか、
いきなり深い話をしてますけど、
大丈夫なんですか?
誰かに会ったとか、ないんですか? |
西本 |
ぼく個人は誰とも会ってませんが、
糸井さんは今週、
佐久間象山先生に会う予定になってますよ。 |
永田 |
あ、石坂浩二さんだ。 |
糸井 |
石坂さんの手料理をごちそうになる予定です。
佐久間象山先生はね、料理が好きなんですよ。 |
永田 |
たしか石坂さんとは、
すごく古いつき合いなんですよね。 |
糸井 |
ぼくが二十歳のころからだから
もう、35年くらいのつき合いですね。
象山先生はね、ほんとにおもしろいですよ。
みんなは、あの人のおもしろさを
知らないんじゃないかと思います。 |
西本 |
あ、ぼくも先日はじめてお会いして
びっくりしました。
石坂さんと糸井さんと雑談するのを
横で聞いてたんですけど、
とにかく、なんでも知ってて、よくしゃべる! |
糸井 |
そうそう。象山先生は変わってますから。 |
永田 |
へええ、そうなんだ? |
西本 |
ほんとになんでも知ってるんですよ。
訊くとなんでも答えちゃうんですよ。 |
糸井 |
なにか質問をすればなんとかする人なんだよ。
ほんとうに答えられないときは、
その問題の横にあるものの
話が出てくる人なんだよ。 |
永田 |
それ、佐久間象山そのものじゃないですか。 |
糸井 |
そうなんです。
だからあのキャスティングをした三谷さんは、
きっと、石坂さんを知ってるんですよ。 |
永田 |
あ〜、なるほど。 |
西本 |
おそらく、しばらくしたら
佐久間象山先生こと石坂浩二さんが
「ほぼ日」に登場することになると思うので
ご期待くださいとだけお伝えしておきます。 |
永田 |
あ、また自社内で宣伝したな。 |
西本 |
熱心な仕事ぶりとほめてください。 |
糸井 |
熱心な仕事ぶりで思い出しましたが、
今回、新選組の屯所が引っ越しましたよね。 |
永田 |
はいはい、西本願寺から離れて、
新しく屯所をつくってもらって。 |
糸井 |
あれは土方の仕事ですよね。
あのタイミングで新しく屯所をつくり、
しかも資金は西本願寺に出させるというのは
見事な手腕だと思うんですが、
その一方で、土方の仕事というか、
活躍の場所がどんどん
なくなっていってると思うんですよ。 |
西本 |
あ、なるほど。 |
糸井 |
つまり土方は、目的はなんだか知らないし、
大義の部分にこだわってるわけじゃないけど、
「ものすごく強靱な組織をつくる」
という目的に向かって進んできた
プランナーだったと思うんですよ。
その頭に近藤勇を据えて、
自分はそのまわりをぜんぶ引き受けるというね。
ところが、先週、彼らが直参になって、
法度がなくなったところで、
彼のすることがぷつんとなくなったんです。 |
永田 |
ある意味、ゴールしちゃったわけですよね。
武士にもなれたし、新しい屯所という
一軒家も建てちゃったみたいなもので。 |
糸井 |
そうです。ご法度が消えたとたんに
土方が「こうするべきだ」と
言えなくなったという、
ある種の悲劇が始まっちゃったんですよ。
ところがこの状況はね、
いわば以前の状態に戻ったともいえるわけで、
とりわけ三谷さんが薦めてくれた
第13回の構造にそっくりなんですよ。
あの、鴨が火をつけた回。 |
永田 |
ああ、「芹沢鴨、爆発」ですね。 |
糸井 |
あのとき、ご法度も約束もなにもなくて、
目的もよくわからないというなかで、
近藤勇がなにがなんだかわかんないけど
身体を張って向かっていったじゃないですか。
あのときの土方は
「見てろ、かっちゃんを!」
と言っていたわけでしょう?
かっちゃんのやることに
オレたちはついていくんだ、
という役だったじゃないですか。
直参になって、ご法度がいらなくなったら、
またその「かっちゃん!」の時代に
戻ったといえると思うんですよ。 |
永田 |
たしかに、法度がなくなって、
黙って悩んでいた近藤が動き出して
頼もしくなってきた感じがあります。
それはでも、悪いことでは
ないかもしれませんよね。 |
糸井 |
完全にあの時代に戻ったんならね。
でも、建造物としての船は
しっかり完成しちゃってるんですよ。
ということは、船ができて、
その先頭に近藤が双眼鏡を持って立っていて、
いよいよ目的のわからないところに
つき進んでいくことになるんです。 |
永田 |
あああ、そっかそっか。 |
西本 |
新しい屯所の場面にも
「半年しかいなかった」という解説が、
さらっと添えられてましたしね。 |
糸井 |
ほんと、いよいよだなあという感じですね。
人もどんどんいなくなってるし。
今週は沖田も‥‥。 |
永田 |
ああ、ツラかったですねえ。
「なんで総司が‥‥」って言う
源さんがツラかったなあ。 |
西本 |
ついにみんなの前で喀血して。 |
糸井 |
うん。沖田、ついに寝た。 |
永田 |
え? |
西本 |
え? |
糸井 |
沖田が、寝た(起きたが、寝た)。 |
永田 |
さ! つぎの話行きましょう。
にしもっちゃん、なんかないですか! |
西本 |
はい、気分を変えるのに、
うってつけのネタがあります。 |
ふたり |
どうぞどうぞ。 |
西本 |
左之助とまさちゃんが働く
「お多福」に、
斎藤一の結婚祝いの仏さんが
飾ってありました! |
永田 |
うそっ! |
糸井 |
ほんと? |
西本 |
たぶん、まちがいないです。
2回目を観ていたときに気づきました。
あの、柱のところに、
とんがり頭の仏さんが
ちょこんと飾られてました。 |
永田 |
また、ガラにもなく‥‥。 |
糸井 |
細かいところを観てたねえ。 |
永田 |
ちょっと、いま、観なおしてみます? |
西本 |
いいですよ。
(リモコンを操作する)
ほらほら、ここ、ここ! |
糸井 |
あっ、ほんとだ! |
永田 |
よく気づいたなー。 |
西本 |
なぜか今日は細かいところが
目につきました。 |
永田 |
‥‥‥‥ああっ! |
糸井 |
なに? |
永田 |
‥‥もうひとつ、台がある。
反対側の柱に、もうひとつ、
仏を飾れるような台があるよ。 |
糸井 |
わっ、ほんとだ。 |
西本 |
ってことは‥‥。 |
永田 |
もう1体、仏が彫られる? |
三人 |
‥‥‥‥。 |
永田 |
まあ、忘れましょう。 |
西本 |
そうですね。まえまえから
あったのかもしれないし。 |
糸井 |
ええと、お多福について、
ぼくはまえまえから
思ってることがあるんですけどね。 |
ふたり |
どうぞどうぞ。 |
糸井 |
新選組の人たちは、みんな、ほんとうに、
しるこを食べてませんね! |
ふたり |
(笑) |
糸井 |
メシを食うシーンなんかは、
わさわさと音がするくらい、
食べてたりするんですよ。
ところが、しるこは食ってないですねえ。
たんに箸を動かしてるだけですね。 |
西本 |
たしかに、お多福で実際に
しるこを食ってる人は記憶にないですね。 |
永田 |
明里は? |
西本 |
いや、実際に何杯も食ってた
わけじゃなかったと思いますよ。 |
糸井 |
「たくさん食べたなあ」という
ことになっているだけだと思いますよ。
たいていは、食ってない。
箸をなめてたりするだけですよ。 |
永田 |
ていうか、あれ、中身は入ってるんですか? |
西本 |
あ、入ってないのかもしれませんね。 |
永田 |
もしくは冷えて固まっちゃってるとか? |
糸井 |
せめて、モチを引っ張って
伸ばしたりしてほしいですね。
とにかく、しるこを
役者さんたちが持て余してますよ。
ぼくは元来甘党ですからね、
「しるこ、美味そうだなあ」
と思いたいんだけど、
役者が思わせてくれないんだよ。 |
永田 |
今回、たしかにぐっさんも照英も、
箸を持ってたというだけで
食べてはなかった気がするなあ。
周平が食っているシーンも後ろ姿で、
口元、手元のアップはなかったような。 |
糸井 |
あの、周平のライバルも
しるこは食ってなかったぞ! |
永田 |
あいつは
「てめえ、なに、しるこ食ってんだよ」
って文句つけに来たんですから、
食うわけないじゃないですか。 |
糸井 |
食えばいいじゃないか!
しるこ屋なんだから! |
永田 |
意味わかんない。 |
西本 |
ちなみに、あのライバルは
大石鍬次郎といいます。
先週、ぼくらが
「観柳斎を斬った若造は何番組だ?」
としゃべったところ、
たくさんのメールをいただきました。
大石鍬次郎は一番組だそうです。 |
永田 |
そうそう、それで思い出したんだけど、
大石鍬次郎が一番組ってことは、
つまり、沖田が直属の上司なわけでしょ? |
糸井 |
沖田が寝た(起きたが寝た)。 |
永田 |
(無視して)
ってことはさ、ライバルの周平を、
自分の上司が特訓してたってことでしょ? |
西本 |
そうなんですよ。あれは腹が立つと思いますよ。
「だったらオレにも教えてくださいよ!」
って言いたくなりますよ。
しかも、周平が勝ったら勝ったで、幹部全員で、
わっしょいわっしょいと。 |
永田 |
周平わっしょいと。 |
糸井 |
わっしょい! わっしょい! |
西本 |
あの小僧は、先週まで嫌いだったんだけど、
今回、むしろちょっと好きになりましたよ。 |
永田 |
オレも、オレも。 |
糸井 |
ところでみなさん、
みなさんは大石鍬次郎の彼について、
きちんと情報を得てますか? |
ふたり |
え? |
糸井 |
彼は根本慎太郎という役者さんなんですよ。
ぼくは彼のホームページなど見てみましたよ。
それくらいしなきゃダメですよ、みなさん。
憎んでるだけじゃダメですよ。
憎んだらそれに相応するくらいの
やさしさ返しをしなきゃだめですよ。 |
永田 |
やさしさ返しはさておき、
前の職場に大石鍬次郎そっくりなやつが
いたんですよ。 |
糸井 |
あ、ああいう顔はいるね。
野球でいうとファースト守ってそうな顔だね。 |
永田 |
すごい分類のしかたですね。 |
糸井 |
周平はセカンドあたり。 |
西本 |
ところで、何気に周平が
幹部席に座るようになってましたね。
お孝を捜索するあたりからでしょうか。 |
永田 |
あ、そういやそうだ。 |
糸井 |
これは真面目な話だけど、
あそこまで周平が
大きく扱われているということは、
今度、物語の鍵を握るように
なってくるんじゃないですかね。
つまり、跡取りとして考えたこともある沖田が
いま、もう動けなくなったでしょ。
そのぶんの愛情なり、機会なりが
周平に向けられることになるんじゃないかな。
さらにいうと、今回、いわば沖田の剣が
周平に注ぎ込まれたわけだよね。 |
永田 |
あああ、なるほどなるほど。
じゃあ、今後は、沖田の代わりに前線に‥‥。 |
糸井 |
立つこともあるんじゃないかなあと。 |
西本 |
周平は、源さんとの疑似親子みたいな
関係がとってもいいですよね。 |
永田 |
いい、いい。あのへんも、
最後の龍馬暗殺がなければ
もっと印象に残ってると思うんだけど。
なんかもう、暗殺で、
ほかのことが吹っ飛んじゃってるんです。
沖田が倒れるところも、
観てたときはジーンとしてたんだけど。 |
西本 |
ぼくも1回目はそういう状態でした。
2回目は冷静に観たのでいろいろ覚えてます。
たとえばコクのある演技をしていた
佐藤B作さんですが、
足の爪を切っている場面は、
小林製薬の「水虫タムシ・その前に」みたいな
商品のテレビCMを彷彿とさせました。 |
永田 |
あ、うまいこと言うなあ。
ほか、なにがありましたっけ? |
糸井 |
忘れちゃいけないのが捨助ですよ。 |
西本 |
あ、そうだ! |
永田 |
そうだった、そうだった。
あそこ、よかった。 |
糸井 |
捨助はほんとうに近藤のことが好きなんだな
ということが今回わかりましたね。
あの、捨助もこの前の観柳斎と同じで、
どれくらい裏切らせるのかというのは
作者のさじ加減で決まるじゃないですか。
あれ、もっと裏切ってもいいわけだよね。
でも、あそこにおさめたんですね。
三谷さんがが捨助の倫理をようやく
提示したというのがおもしろかったよね。 |
永田 |
あと、あの近藤と土方と捨助が
3人で話す場面には、
明らかに三谷さんのメッセージが
込められてましたよね。土方に
「新選組が坂本龍馬を
助けるなんておかしいだろ!」
って言わせておいて、ほかのふたりが、
「新選組が坂本龍馬を助けて
なにが悪い!」って。 |
西本 |
スタジオパークに出演されたときも
「近藤と龍馬が知り合いで、
なにがいけないのかわからない」
っておっしゃってましたしね。 |
糸井 |
そして、スタジオパークといえばあれですよ。 |
ふたり |
「カマキリ将軍」発言! |
糸井 |
読者からもメールがたくさん来ましたが。 |
西本 |
放送中、三谷さんが徳川慶喜のことを、
「カマキリ将軍と呼ばれてます」と! |
糸井 |
妙にうれしかったなあ。 |
永田 |
にやにやしましたねー。 |
糸井 |
今週は、まあ、そんなところですかね。 |
永田 |
うっす。 |
西本 |
なんか、今回の話、観おわったら
軍鶏とイカが食いたくなりました。 |
糸井 |
カレーじゃないんですか。 |
西本 |
そんなにカレーばっかり‥‥
あっ! 今日、ぼく、
昼間、カレーでしたわ。 |
永田 |
さすが、海軍の兵隊のように
カレーを食い続ける男! |
西本 |
ああ‥‥しかも、土曜日も横浜で
サッカー観ながらカレー食ってたなあ。 |
糸井 |
ほんとにカレーが好きなんだなあ。 |
永田 |
キレンジャーなみに‥‥ああっ!
そういや、ぼくも、
今日の昼はカレーだった! |
糸井 |
‥‥‥‥。 |