糸井 |
ぼくの知ってる人でね、
娘が喫茶店でアルバイトするって言ったときに、
喫茶店でアルバイトをすると、点々々と結んでって、
いつしかトルコ嬢になるっていう理屈を
とうとうと述べた人がいて。 |
タモリ |
(笑)それ、正しいかもしれませんね。
「いつしか」で言うと。 |
糸井 |
喫茶店で
アルバイトをすることを
止めた人がいるんですよ。 |
タモリ |
(笑)それはね、江戸時代の論理からいくと
正しいかもしれませんね。 |
糸井 |
それも、また吉本隆明さんなんですけどね。
娘が喫茶店で働くっていうのをね、
喫茶店、レストラン、なんかね、
いくつかこう、格があって、で、
徐々にそっちに近づいてって、それが、
「どちらでもおかしくない」
っていう状態に、なっていくからだと。 |
タモリ |
(笑) |
糸井 |
で、止めたらしいんですよね。 |
タモリ |
それ、正しいかもしれません。
ずいぶん前に警察が言ってた言葉で。
高校生売春が問題になってたけど、警察官に、
「なんで売春するようになったんですかね?」
と聞いても、
「それ、違いますよ、売春婦が
高校に行くような時代になったんです」って。 |
糸井 |
あぁー。 |
タモリ |
それ、一面の真理ですよね。 |
糸井 |
昔だったら16歳っていったらもう結婚してる。
昔、その歳でフラフラしてて
人の気を惹いてる女は
いっぱいいましたよね(笑)。
ただ、ほんとにタモリさん、
江戸のあたりについては、
ヒマなときに勉強してらっしゃるようですね。 |
タモリ |
江戸もう、やっぱり好きですから。
それで、身分制度が
ものすごくこうキチッとありながら、
抜け道がものすごく用意されてたっていう。 |
糸井 |
自分そのものの考えですね、それは(笑)。 |
タモリ |
そうなんです(笑)。
武士と町人は
絶対に結婚してはいけないっていうのは、
そんなことはなくて。
あの子を娶りたいと思ったら、
いちおう建前上そうですから、
知り合いの武士のところに養女にやるわけですね。
そうやって、かなりの抜け道があったらしいの。
あと、大阪はおもしろいですね。
あんなに大都市で、一説によると
武士が800人しかいなかったって話なんですよ。 |
糸井 |
(笑)倍にしたって1600人ですからね。
はぁ、江戸だけに集中してたんだ。 |
タモリ |
江戸だけに集中してたんですよね。
江戸って、ほとんど、まあ、武家地ですよね。
でも、それよりも町人が多いんだけど、
江戸時代の地図を見ると、
ほんとに町人の町はひとにぎりで、
武家地はものすごいですからね。
それで人口は町人のほうが多いんですから。 |
糸井 |
すごいなと思うんですけども、
その、武士の余剰の、
なんていうんだろう、労働力というか、
ヒマだったらしいですよね、とにかく。 |
タモリ |
武士はヒマで貧乏で。 |
|
(つづきます。) |