タモリ |
下級武士は、ヒマで貧乏ですよね。 |
糸井 |
釣りが流行った歴史なんていうのも、
結局、武士からなんですよね。
漁師は、糸で釣ってるようなことなんて、
したかぁないんですよ。
いっぱい捕りたいですから(笑)。 |
タモリ |
ああ。やっぱ、網でしょうね。 |
糸井 |
岩場がどうだっていっても、
もう乱暴してでも捕りたいですよね。
ところが武士は、遊びたいんですよ。
一日ヒマ潰したいんですよ。
だから竿がどうだの針がどうだの、
さんざん研究してるやつらがいて、
それが江戸の釣りを、なんか急速に……。
で、禁止令とか出てるんですよね。
つい夢中になりすぎるから(笑)。 |
タモリ |
そういうもので禁止令って、
けっこう出てるんですよ。
なんでこんなもので
禁止令やんなきゃいけないのか、っていう。
変な理屈つけてねぇ。 |
糸井 |
早い話が、戦がないのに武士が山ほどいて。
で、貧乏だけどやる仕事もないっていうところで、
すごい横に文化が広がってったっていうか。
そういうことなんですねぇ。 |
タモリ |
うん、釣りなんかそうだろうね。
漁師なんか、あんなことやんないですもん。 |
糸井 |
やんないですよ。
あれ、時間ばっかり経つんですから、
そんなことはしたくないです。
どこに隠れた岩場があるなんていうのも、
もう生活のためにしてたら
人には教えないですよね。
遊びだったら、
あそこだ、あそこだっていきますよね。
そういうことの発展は大きかったですね。
タモリさんもけっこうその、遊びっていうのは、
今は、ゴルフはあんまりなさらないですか? |
タモリ |
昔、横沢彪さんに言われたんですけど、
当ってるなって思ったのが、
「タケちゃんは遊びを仕事にしたんだ」と。
俺は「仕事を遊びにした」らしいですよ。
少し当ってるところがあるなぁと。
だから、仕事が今、
もうほんとに遊びかもしれないですね。 |
糸井 |
結局、飲み屋に行って集まるだとか何だとかって、
あんなに男たちがしたがるのも、友だちに会って
ムダなおしゃべりをしてるのが面白いからですよね。 |
タモリ |
そうですよ。 |
糸井 |
それが、タモリさんのやってる番組ですよね。 |
タモリ |
そうですよ。番組であったり
今日のこの話であったりするわけ。 |
糸井 |
しゃべって得たものを
何かに使うなんてことは、ないんですよね、きっと。 |
タモリ |
使おうと思ってないんですけど……。
だいぶ使ってますけどね。
ただ、使うために、
べつに人に会ってるわけじゃないんですよ。 |
糸井 |
昔だったら飲み屋を経営してたんですかね。
テレビがなかったら。 |
タモリ |
飲み屋、やってたかもしれないです。
あとは詐欺師。
人をダマすの、大好きなんですよね。 |
|
(つづきます。) |