第4話を観て
永田 はい、いま、『華麗なる一族』の
第4話を観おわりましたけれども!
西本 おつかれさまでした!
糸井 おつかれさまでした。
永田 とにかく、まず、
最初にひとこと言わせてください。
糸井さんっ!
糸井 はい。
永田 『華麗なる一族』を観ているときに、
お灸をすえないでください!
糸井 あ、やっぱり気になりましたか。
永田 気になるどころじゃないですよ!
西本 ご説明させていただきます。
糸井重里、ドラマが10分ほどすぎたあたりで
やおら持参した「せんねん灸」を取り出し、
自分の右手に点々とはりつけて、
当たり前のように火をつけながら観てました。
永田 『華麗なる一族』を観てるのに、
お灸だなんて!
ちっとも華麗じゃない!
西本 なにしろ、においがすごいです。
糸井 とくにこれは、にんにくが強いやつなんです。
ほら、5段階の5だよ。
永田 「5段階の5だよ」じゃない!
西本 しかも途中でやめるのかなと思ったら、
つぎからつぎへと火を‥‥。
糸井 この「おでんくんライター」でね。
永田 「おでんくんライターでね」じゃない!
糸井 ほら、このドラマって、葉巻やたばこで
しょっちゅう煙ってるじゃないですか。
それを、何? 演出? してみた? みたいな?
永田 むしろ、台なし!
葉巻のにおいと
にんにくのにおいはぜんぜん違う!
西本 豪華な食卓の場面であろうと、
華やかな披露宴の場面であろうと、
におってくるのは、にんにくのかおり。
糸井 「5段階の5」だからね。
永田 「5段階の5」じゃない!
西本 そのせんねん灸、持ってきたんですか?
糸井 うん。ちょっと右腕が痛くてね。
肩のこりが、右腕にきちゃったみたいなんだ。
で、お灸でもすえようと思ったんだけど、
家を出るときに忘れちゃったのよ。
西本 ほうほう。
糸井 しょうがないから家に帰ってきてから
やろうかなと思ってたんだけど、
まてよ、と。
いっそドラマを観ながらのほうが
効率もいいし‥‥‥‥おもしろいなと。
それで、わざわざ、取りに帰りました!
永田 わざわざ、せんねん灸を
取りに帰ってまでこのネタを‥‥。
西本 仕込んできましたね。
糸井 とくに、本放送を観ずに録画にのぞんでる
永田くんは怒るだろうな、と。
永田 そりゃ怒りますよ。
にんにく風味の『華麗なる一族』なんて
ありえない。
糸井 お灸だけに、思うツボです。
永田 そんなんええわ。
西本 そんなんええわ。
糸井 ところでいつまで
せんねん灸の話を続ける気ですか。
永田 誰のせいですか。
西本 じゃあ、「せんねん灸」の話を終わりにする意味で
ぼくの話を聞いてもらえますか。
ふたり どうぞ、どうぞ。
西本 放送のあった日曜の夜、
ぼくはお酒が入ってたこともあって、
とくに時間を意識せずテレビをつけてたんです。
そしたら、地震が起こりまして!
糸井 ああ、あったね。
永田 字幕も出てたね。
西本 で、その地震とは
まったく関係ない話なんですけどね。
糸井 関係ないのか!
永田 関係ないのか!
西本 まあ、ともかく、ぼんやりしてたと。
そしたら、気づくとぼくは
なぜか『行列のできる法律相談所』を観てまして。
こう、紳助さんのオープニングトークを聞いていると、
紳助さんの口から『華麗なる一族』っていう
ことばが飛び出したんですよ。
糸井 へえ。
永田 え、裏番組なのに?
西本 ばりばり裏番組なのに、ですよ。
「じつは、この番組の裏で、
 『華麗なる一族』っていう
 すごいドラマをやってて、
 むっちゃおもろいねん」と。
永田 うそ。
糸井 へえ。
西本 それどころか紳助さんは
「日曜日の夜9時は、
 『行列』のオンエアを観ずに
 『華麗なる一族』を観てる」と。
「だから、この番組も、
 3月くらいまでは
 死んだふりをしてやっていこうと思う」
とまで言ったんです。
永田 おもしろい(笑)。
西本 たぶん、それ、本当だと思うんですよね。
紳助さんは、さんまさんと違って
自分のオンエアをチェックしない人ですから。
糸井 すごいね、それは。
というか、言う紳助さんはともかく、
それを残してる編集の人がすごい。
現場でそれを言うだけならありえますからね。
当然、スタジオでは受けてるわけでしょう?
西本 大爆笑です。
永田 そりゃそうだよなぁ(笑)。
で、にしもっちゃんはどうしたの?
西本 ひとしきり笑ったあと、
「ああ、そうだったそうだった」と
『華麗なる一族』へチャンネルを変えました。
永田 変えるんだ(笑)。
きわどいジョークで場をわかせた紳助さんと
あえてそれを残した制作者に敬意を表す意味で
『行列』を見続けたわけではなく。
西本 いえ。あっさり。
そういや、そうだったと。
糸井 視聴者って、非情だよな。
西本 ええ。
永田 ぼちぼちドラマの話に入りましょう。
糸井 今回、永田くんは、ずいぶんおもしろがってたよね。
永田 そうですね、おもしろかったですよ。
やっぱり、先週も言いましたけど、
このドラマは不幸が増えるほど
観る者を引き込むように思います。
西本 たしかに、今週の不幸のたたみかけは
かなりのものがありましたね。
糸井 炉に不幸をくべるかのように。
永田 メラメラ燃えます。
ぼくにとってはこれまでの3話というのは
大きな意味でイントロダクションというか、
「不幸待ちでテンパイ」みたいにとらえてましたので
いよいよドラマになってきたなと感じました。
糸井 うん。その意味でいうと、
今回のお話はひじょうに「ドラマ」でしたよね。
キャスティングを含む全体のレベルを変えれば、
そのまま「昼ドラ」になるような。
ただ、この『華麗なる一族』に、
既存のドラマを超えるようなものを期待していたぼくは
テレビドラマに落ち着いてもらっちゃうと、
ちょっと残念な気持ちもあるんですよね。
西本 観てる瞬間がおもしろくなったとしても?
糸井 そうそう。それくらい大きな期待がある。
永田 また自分の世間の狭さを利用しますが、
ぼくは「既存のドラマ」の知識がないので、
「昼ドラ」っぽかろうとなかろうと、
不幸によって思い入れができる
ベタな展開がおもしろかったですね。
こういう言い方は変かもしれませんが、
「不幸を楽しめる」というのがやっぱり大きい。
糸井 それは、先週も出た「時代劇的な観かた」ですね。
永田 そうです、そうです。
時代劇を観ているときに
「この代官の性格が悪すぎるからもう観ない!」
とは、ならないじゃないですか。
糸井 吉良上野介があっての浅野内匠頭だと。
永田 まさに、まさに。
西本 海原雄山あっての山岡さんだと。
永田 うん、まあ、そう、かな。
糸井 鬼あっての桃太郎だと。
永田 いや、さすがにそれは、ベタすぎ‥‥。
西本 トムあってのジェリー!
糸井 ハブあってのマングース!
永田 うるさい、うるさい!
ていうか、オレもそっち側がいい!
糸井 塩あってのナメクジ。
永田 せめて有機物にしてくださいよ。
糸井 まあ、たしかに、鉄平が妻のお父さんに
後ろから手を回してもらって
「お父さん、ありがとうございました」
と言う展開は、完全に時代劇ですよね。
西本 これを現代劇でやると
通産省の人が八嶋智人さんあたりで
「なんだよ、それ、汚ねえ!」と
叫んだりするんでしょうね。
糸井 ありそう(笑)。
永田 ありそう(笑)。
西本 でも、このドラマはそっちじゃないよというのが
これまで3回の流れだったわけで。
永田 うん。だから、現代劇的にいうと
不正なお金をもらった大川さんが悪いんですよ。
でも、ここではリークしたやつの方が悪い。
糸井 そこをどう感じるかというのが
このドラマにとってのリトマス試験紙でしょう。
西本 板東英二さんがどう映るか、というところですね。
永田 板東英二さんはしゃべらなかったなぁ(笑)。
糸井 ていうか、板東英二さんの扱いはあれでいいの?
永田 どういうことですか。
糸井 あんまりじゃないか?
『新選組!』的にいえば‥‥。
ふたり 「ないがしろではないか?」
糸井 そうですよ。
『あ・うん』では、主演の高倉健さんと
タメをはっていたような人ですよ?
西本 『金妻』シリーズにも出てましたし、
TBSへの貢献は計り知れないですよ。
永田 どちらかというと扱いとしては、
「元野球選手」のそれでしたね。
西本 話題のひちょり選手を出してみました、みたいな。
糸井 たぶん、板東さんも、
名古屋でオンエアを観ながら
首をひねってるはずですよ。
永田 ていうか、あれで終わりじゃないでしょ?
また出番があるんでしょ?
西本 いや、わかんないっすよ。
このままいなくなっても、おかしくはない。
永田 そんな役、どうオファーするんだよ。
西本 顔を合わせると
ないがしろなのがばれますから、
FAXでしょう。
あえて、事務的に、A4一枚で。


この度はTBS開局55周年記念ドラマ
『華麗なる一族』への出演をご検討いただき
誠にありがとうございます。
今回、板東様の役どころは
通産大臣の役でございまして
困った顔をしてソファーに
座っていただきます。
目の前には怒った顔をした西田敏行さん
ソファーの向こうには
木村拓哉さんがいらっしゃいます。
台詞は部下役に向かって
「そういうことだからおさめてくれ」
以上でございます。
当日はTBS緑山スタジオに
15時までに来ていただき
衣装とメークをすませた後、
16時30分より本番。
17時には終了となります。
どうぞよろしくおねがいします。


「華麗なる一族」スタッフより。


というような感じで。
糸井 その点、松尾貴史さんの出方は、
ちょっとよかったですね。
西本 あれは、楽屋でうらやましがられるんだろうなあ。
「キッチュ、ずるい!」と。
糸井 そのあたりの「楽屋で話題になってる感じ」というのが
このドラマにはありますよね。
にしもっちゃんが最初に言った
紳助さんの話なんて、まさにそうですけど。
永田 ちらっと画面を横切る人が
ことごとく知ってる役者さん、
っていうのは大河的なたのしみでもあります。
糸井 その意味でいうと、今回、ぼくが
いちばん「おおっ!」と思ったのは、
披露宴でちらっと登場した小泉夫人こと、
鰐淵晴子さんですよ!
みなさんはご存じないかもしれませんが。
永田 不勉強で‥‥。
西本 不勉強で‥‥。
糸井 どういう人かをざっと説明すると
つまり日本のエリザベス・テーラーですよ。
タッド若松というカメラマンと結婚しましたが
そもそもは『ノンちゃん雲に乗る』という映画があって
ぼくがものすごく小さい時だったけど
子役からお姉さん役にうつってまた大人気、
雑誌の表紙とかもみんな鰐淵晴子で、
子どもがおねえさんにあこがれて描く
女性の顔がみんな鰐淵晴子だったという時代があるんだよ。
西本 めずらしく、ひと息でしゃべりましたね。
永田 なにか、ほとばしるものを感じます。
糸井 いわゆる「美人の系譜」のなかで
忘れてはならない人なんです、鰐淵晴子さんは。
わかります?
西本 はい。
永田 はい。
糸井 その意味でいうと、
このドラマって、なんていうんでしょうか、
多岐川裕美さんがいたり、
原田美枝子さんがいたり、
主役をはっていたような女優が
いろんなスタイルで起用されてますね。
つまり、女優という人たちは、
「選ばれる」ことで、
何度でも現れることができる。
そこが、強みでもあり、むつかしさでもあり。
永田 「選ばれる」?
糸井 ほら、男優って「選んでる」感じがするじゃないですか。
仲村トオルがメガネのイヤミな男を演じてたりね。
印象の話になりますけど、
どんどん車を乗り換えながら、
いろんな役を入れていけるのが男優だと思うんですよ。
それがダメでもへっちゃら、というような。
一方、「主演女優」の人たちは、
「選ばれる」ことで活きる。
鈴木京香さんにしても、
もともとは素敵なおねえさんだったじゃん。
それが「愛人役」として選ばれて、
あそこにいると思うんだよね。
まあ、ひどく、曖昧な話ですが。
西本 でも、なんとなく。
永田 うん。なんとなくわかります。
糸井 乱暴にいうと、
男のほうがトクなのかなあということですね。
二度目、三度目の人生を送れるから。
たとえば、木村くんはアイドルだし、
武田鉄矢さんはミュージシャンですよね。
あっ、板東英二さんなんてプロ野球選手ですよ。
一方、女優のほうはむつかしいですよね。
樹木希林さんみたいに30歳で
おばあちゃん役を選ぶ
能動的な人もいるにはいるけど、
「主演女優」の人は、
そう簡単じゃないんじゃないかな。
ま、わかりませんけどね。
やめてしまう、という選択をとる人もいるし。
‥‥まあ、だから、鰐淵晴子さんの話から
思わぬ脱線になりましたけど、
そんなふうなことを感じましたよ、あの場面で。
永田 はい。
西本 なるほど。
糸井 広げづらい話で申しわけありません。
ふたり いえいえ。
糸井 なにか、くだらない話を
ここに置いておきたいですね。
西本 じゃあ、上海の豆知識をひとつ。
ドラマの冒頭にシカゴベアリング社が
大写しになってましたが
ぼく、あそこに泊まったことがあります。
上海大厦という有名なホテルですよ。
永田 てっぺんにロゴが
これ見よがしについてたやつ?
西本 そうそう。
だから、あれを中国の人が観たら
大笑いしてると思いますよ。
「おいおい、シカゴが上海じゃん!」って。
東京でいうところの国会議事堂くらい
上海では有名な建物ですから。
永田 へえ。上海豆知識。
糸井 『西本大人の上海余話』。
永田 わははははは。
糸井 (銅鑼のマネ)
じゃぁぁぁぁーん!
永田 (二胡のマネ)
♪にゃかにゃにゃにゅわわわ〜ん。
糸井 『西本大人の‥‥
永田 ‥‥上海余話!』
糸井 (銅鑼のマネ)
じゃぁぁぁぁーん!
永田 (二胡のマネ)
♪にゃかにゃにゃにゅわわわ〜ん。
西本 バカにしてるんですか。
永田 ともあれ、どうでもいい話を
どうもありがとうございました。
糸井 あ、ひとつ、話すべきことがありましたよ。
長谷川京子さんは今回、
白いブラウスじゃなかったですよ!
永田 そうだった、そうだった。
糸井 そのあたり、
いち早く「透けシャツ」に注目していた
にしもっちゃんはどうですか。
西本 たしかに透けてませんでしたが、
そのぶん、素材に注目です。
糸井 つるんとしてましたね。
永田 ぴたっとしてましたね。
西本 そう‥‥つまり‥‥なんというか‥‥。
糸井 まあ‥‥言ってしまえば‥‥。
永田 コンシャスな。
糸井 「コンシャス、コンシャス」(笑)!
西本 品のいいことばを持ってきてくださって
ありがとうございます。
糸井 ラインにコンシャスな素材を用いることによって
鉄平の肉食性をキープ、と。
永田 今週だけ読んだ人は
なにがなんだかわかりませんね。
西本 しかし、病室を訪れる場面での
コンシャスアピールはかなりのものでしたよ。
廊下から病室に入ってベット側に着いて
西田敏行さんとのセリフのやりとりまで
カメラ1台で追っていました。
永田 正面から側面、そして背中と、
ぐるっとコンシャス具合を見せてましたよね。
糸井 つられてぼくは病室の看護婦さんが
コンシャスかどうかまで観てしまいました。
西本 ああ、ぼくもです。
でも、違いましたね。
糸井 違いました。
永田 なにやってんだか。
西本 そして、旦那である鉄平にも、
今回は、見せ所がありました!
永田 なんですか。
西本 荷積みでもめているところに
ジープをカウンターあててとめるところですよ。
「キキーッ!」と。
糸井 あった、あった(笑)。
永田 あれ、本人の運転だよね?
西本 と、思います。1カットでしたから。
いや、見事なドリフトでした。
糸井 「ドリフト専務」。
永田 「ドリフト専務」。
西本 車から出るときに
ちょうど自分が正面側へいるように
サイドブレーキを引いてるんですよ。
やや斜めの姿勢で、降りやすい!
永田 降りやすい!
西本 滝川クリステル効果ですよ!
糸井 そういうのは、いい。
永田 そういうのは、いい。
西本 あれはやってくれと頼まれたんですかね?
それとも自分からの提案ですかね?
糸井 根拠はないですけど、ぼくは、
木村くん側からの提案じゃないかと思いますね。
西本 やるな、「ドリフト専務」。
永田 ぼくが今回の木村さんで好きだったのは、
子どもを抱きかかえるときの仕草ですね。
あの、子どもの両脇に手を入れて、
ぐいっと膝に乗っける動きは、
子どもがいる人ならでは、ですよ。
経験がないと、あれ、
もうちょっと大事に抱えちゃうんですよね。
西本 ああいうところに、木村さんのリズムは
細かく出てますよね。
タクシーに西田さんを乗せる場面で、
看護婦さんがうしろを通って
「あ、すいません」みたいに軽く謝ってたりとか。
糸井 あの、タクシーに乗り込むところの西田さんは
永田くん、好きでしょ?
永田 はい。4話目にして、
はじめて、じわっときました。
西本 「親は子どものために
 何かしてあげたいものなんだ」
っていうところですね。
永田 いまさらこんなことを言うのも失礼ですが、
西田さんは、ほんとうに、すごいですねぇ。
政治家と父親と病人という3つの要素が
あの短時間に見事に表されていて。
糸井 うまいよねぇ。
西本 うまいですねぇ。
永田 タクシーに乗る場面もいいんですけど、
そのちょっとまえの
病室でのやり取りもいいんですよ。
「‥‥さ〜なちゃん、お父さんに教えなさい」
みたいなことを言う場面。
糸井 ああ、あれは、よくできた部分ですね。
西本 あれって、台本にあったんですかね?
それとも西田さんの判断?
糸井 わかんないですけど、
台本に最初から
「さ〜なちゃん」って書いてあったんなら、
それは、素敵だよね。
永田 素敵ですねぇ!
西本 あと、津川さんのとぼけっぷりもよかったです。
最後の「まっ」は田中角栄ですよね?
糸井 そうだね、あれはわざとだね。
西本 あれがありになってるのがすごい。
だって、モノマネですよ?
糸井 あれも、台本なのかどうか気になるね。
津川さんの判断のような気がするなあ。
撮影現場で「カット!」の声がかかったあと、
津川さんがスタッフに向かって
「ちょっと角栄入れてみたけど、どう?」って。
西本 「リハのときは入れてなかったじゃないですか!」
みたいなやり取りが。
永田 西田さん、津川さんときたら、
欣也さんも忘れてはいけませんよ。
いや、今日の顔も、すごかった。
糸井 3P以外は悪くないと言われている欣也さんですが、
今日はちょっと悪かったんじゃないですか?
永田 悪かったと思いますよ。
西田さんの病状を調べて
「もう長くないから闇献金をリークする」
っていうのは、一線を超えた「悪」だったと思います。
あの、将軍の池のところでそれを決意する場面は、
キラーボブが乗り移ったかのようでしたよ。
糸井 『ツインピークス』でいうところの。
永田 ええ。
西本 たしかに欣也さんも悪かったですが、
鈴木京香さんの悪役っぷりのほうが
より確固たるものになっているような。
糸井 そうですね。
ぼくは、相子はいわば前半の悪役で、
最後は欣也さんがきちんと
悪役に君臨すると思ってたんですけど、
ひょっとしたら、相子はこのまま最後まで
行くのかもしれないね。
永田 でも、今回めずらしく
「相子は悪くない!」と思える場面がありましたよ。
糸井 どこ?
永田 披露宴の前にお母さんが
勝手に招待客を増やしちゃうところですよ。
あれは、お母さんが悪い!
たいへんなんですよ、披露宴の段取りは。
それを、当日に、増やしちゃうなんて!
糸井 いや、あなた、それは思いっきり
現代目線じゃないですか。
時代劇として観てたはずでしょう?
永田 あああっ! ほんとだ!
すいません、あそこは完全に現代目線でした。
というか、頭の中に、席次表のこととか、
引き菓子のことがぐるぐると‥‥。
西本 ぼくもそっちに一票です。
糸井 時代劇として貴族の非常識さを描くなら
あれくらいでいいんじゃないですかね。
永田 なるほど、なるほど。
糸井 あと、それを仕切ってるということで
相子のすごみは増しましたよね。
西本 おっと、忘れるところでした。
相子と欣也さんの、
「食卓の下で足をごにょごにょ」の件を
無視するわけにはいきませんよ!
糸井 あれですか(笑)。
永田 あそこは笑ったなー。
西本 あの、触られたあとの、欣也さんの
「まんざらでもない感じ」がいいんですよね。
糸井 ちょっと頬を赤らめる感じでね。
永田 そうそう(笑)。
でも、あれはそうとう、むつかしいですよ。
糸井さんがよく言う
「この役をオレがやるとしたら‥‥」
という考えからいえば、
「一家勢揃いの食卓の下で
 足を愛人にごにょごにょ触られて
 まんざらでもなく思う大介」ですから。
糸井 いえてるね。
西本 「はい、じゃあ、本番いきまーす!
 大介が、一家勢揃いの食卓の下で、
 愛人に足をごにょごにょ触られて
 まんざらでもなく思うシーン。
 よーい! スタート!」
糸井 それはイヤだ。
永田 絶対、イヤだ。
糸井 しかし、あのシーンはあれですね、
どうせなら‥‥いっそのこと‥‥‥‥
‥‥いや、やめておきましょう。
西本 なんですか。
永田 なんですか。
糸井 いえいえ、なんでもないです。
ちょっとよくないことを言いそうになっちゃった。
西本 言えばいいじゃないですか。
永田 気になりますよ。
糸井 いや、仮にもぼくは、
ほぼ日刊イトイ新聞を主宰する人間ですからね、
乱暴な発言は慎まないと。
西本 この、なんでもありの雑談コンテンツで
いまさら何を言ってるんですか。
永田 いいから言ってくださいよ。
糸井 そう? じゃ言うけどさ、
あの足をごにょごにょする場面、
どうせだったら、いっそ、
金玉くらい触ってほしかったですね!
永田 最低だ!
西本 恥を知れ!

2007-02-09-FRI