ほぼ日テレビガイドシリーズ

春の連ドラチェック2015

あややとふたりのプロフェッショナル

当事者を交え、『天皇の料理番』をたっぷり語る!
そしておすすめのドラマは‥‥?

天皇の料理番
TBS系●日曜日午後9時

──
さぁ、最後の1本は別枠という感じで
しっかり語っていきましょう。
森下さんが脚本を手がけたドラマ、
『天皇の料理番』です!
あやや
そうです!
おめでとうございまーす(拍手)!
『ごちそうさん』以来の連ドラ?
森下
はい、そうです。
あやや
ええー、じゃあ1年ぶり?
森下
1年ぶりぐらいですね。
あやや
(拍手)
荒井
(拍手)
──
(拍手)
森下
ありがとうございますー。
あやや
戻ってきましたよ。
しかも、TBSの『JIN-仁-』の枠ですよ。
メインのスタッフもいっしょですよね。
森下
そうですね。
あやや
私、ずっと思ってたことがあるんですけど、
言ってもいいですか。
森下
言うんでしょ(笑)。
あやや
このチームは、
『JIN-仁-』のときもそうだったんですけど
‥‥予告編が上手です!
荒井
ああ、そうですね。
森下
予告編は、堤幸彦さんや大根仁さん、
我らが平川雄一郎のいる
オフィスクレッシェンドというところに
お願いしているんですけど、
そこの大形ちゃんという女の子が
ぜんぶやってくれているんです。
太ったり痩せたり、
たいへんな状態になりながら
つくってくれています。
あやや
太ったり、痩せたり!
わりと私もそのタイプなのでわかります!
いやぁ、予告編、ほんとにすごくて、
期待を掻き立てられるというか、
ほんと、すごくたのしみにしてます。
森下
ありがとうございます。伝えておきます。
あやや
さて、じゃあ、ドラマについて
うかがいますけど、ぐふふふふ‥‥。
今回のこのテーマは、のふふふふ‥‥。
荒井
どうした、どうした。
──
‥‥あ、またこれか。
あの、あやちゃんは、自分がこういう
「テレビの業界の取材をしている」
みたいなシチュエーションになると、
持ち前の「お茶の間感覚」から
感情があふれだしてしまい、
言動がおかしくなってしまうのです。
あやや
ひぃー、すみません、ヤバい、ヤバい。
あの、森下さん、もはははは、
今回、この『天皇の料理番』を
ドラマの題材にしたのは、にゃははは、
いったいどういう理由からですか、ぐはっ?
──
だんだん落ち着いてくると思いますので、
質問に答えていただけますか。
森下
はい、ええと、なんでしたっけ?
荒井
なぜ、この題材なんですか、ってことですね。
『天皇の料理番』って、
ずっと前に一度ドラマになってますよね。
森下
そう、堺正章さんが主演した
『天皇の料理番』が有名ですよね。
じつは、NHKの大河ドラマの視聴率に
はじめてこの枠(昔は8時だった)が
勝った番組なんだそうです。
荒井
へぇーー。
森下
以前、そんな話を聞きかじったことがあって、
60周年だし、スケール感もあるし、
なにより前作もおもしろいし、いいのでは?
ということになり、これになりました。
あやや
‥‥コホン。
取材っぽくするとしゃべれなくなっちゃうので
いつもの感じで行きますけど、
主演の佐藤健くん、いいですよね!
森下
健くんは、ものすごく真面目で、
とにかく負けず嫌いなんですよ。
あやや
へぇー、真面目。
そういえば、なんか、徒党を組まないというか、
ひとりでいるイメージがあります。
荒井
高校のころは、
無口で目立たない生徒だったと
自分で言ってましたね。
あやや
へぇーーー。
森下
とにかくすごく真面目なんですよ。
今回、コックの役で、
コック役の人はみんな
包丁さばきとか、料理の練習するんですけど、
もともと器用な人もたくさんいるなかで、
彼は、とにかく負けたくないから、
ぐわーーーーっと練習して。
──
つまり、その、ほんとうの包丁の練習とかを。
森下
もう、延々、ジャガイモむいてる、みたいな。
ほんとに努力の人で、姫川亜弓なんですよ。
あやや
『ガラスの仮面』の姫川亜弓(笑)。
じゃあ、天才というわけじゃないんだ。
森下
うん。努力の人です。
今回の役は、ほんとにたいへんなんですよ。
なにがたいへんかって、
まず料理をやならければいけない、
それから福井弁、フランス語、
あと、老人の役もやらなきゃいけないっていう、
もうフルセットみたいな役で。
最後までやり切ったら、ほんとにすごいと思います。
あやや
はーー。
森下
冗談で
「台本に(人体として)絶対できないこと書くよ!」
って言ったことがあるんですけど、
後で石丸プロデューサーに
「あの人、ほんとに書きますかね」
って、わざわざ確認しに来たことがあって‥‥。
あれはもし書いたら、ほんとに
やるつもりだったんじゃないだろうかって(笑)。
逆立ちしたまま鼻からスパゲッティを
エレガントに出すとか書かれても、
彼はなんとかやろうとするのではないだろうか‥‥。
そのくらい負けん気です。
あやや
さ、逆立ちしたまま、鼻からスパゲッティを‥‥。
──
いや、出したわけじゃないから。
荒井
佐藤健くんが主役をバーンとやるのって、
なに以来ですかね。
あやや
映画でいうと、『るろうに剣心』ですかね。
佐藤健くんいいですよね、ほんとに。
色っぽいしね。
森下
とにかく、ひたむきだから、周囲が、
「なんとか結果を出させてあげたい」
みたいな気持ちになるんですよ。
あやや
それはスターの証ですよ。
そういう人は伸びますよね、きっと。
私ね、正直言って、若手の俳優のなかで
いまいちばんだと思いますよ、佐藤健くん。
森下
がんばってますよー。
あやや
で、相手役は黒木華さん。
黒木華さんをキャスティングしたのは、
なにか理由があるんですか。
森下
じつは、まったく面識なかったんですけど、
「黒木華さんにお願いしてください」と、
わたしが頼みました、めずらしく。
あやや
へーーー。
森下
というのは、映画『小さいおうち』の
タキちゃんが、もうかわいくて、かわいくて。
見てない人が多いと思いますけど、
ぜひ、見てください。
──
賞をたくさん獲った映画ですよね。
森下
ベルリンで最優秀女優賞もらいましたね、彼女。
独特のオーラがあると思うんです。
前に出すぎない、かわいい。
でも、すごく存在感がある。
あやや
安心感もありますよね。
森下
黒木華さんはほんとにすごい。うまい。
あやや
黒木華ちゃんって、
役によって別人みたいになりますよね。
三浦しをんさん原作の
『まほろ駅前番外地』にゲストで1回出たんですよ。
すっごい別人みたいで、超うまくて、
こんなうまいんだ! って思いました。
森下
なにがうまいって、
「ふつうの女の人」を「ふつうにできる」っていう。
これって、じつはすごく難しい。
荒井
彼女はドラマでこういうポジションって、
めずらしいですよね。
あやや
わたしもそう思った。
で、ドラマでは、佐藤健くんと黒木華さんが
早い段階でもう結婚しちゃうんですよね。
森下
16歳で結婚しちゃうんです、ふたり。
あやや
えーー、早い!
荒井
やっぱり、そういう時代なんですね。
森下
ええ、明治の話ですから。
あやや
明治かぁ。
そして、まあ、料理修行のために海外に留学して、
天皇の料理番になっていく‥‥という。
森下
はい。
あやや
これは、実話なんですよね。
森下
実際に宮内庁の料理長を務められた
「秋山徳蔵」さんという方がいらっしゃるんですが、
(ドラマでの役名は「秋山篤蔵」)
その方の人生をもとにした小説が
杉森久英さんの『天皇の料理番』なんですね。
今回のドラマはその小説をもとにしています。
あやや
秋山徳蔵さんという方は、
その世界では有名な人なんですね。
おそらく、明治の時代にもいろんなシェフが
いらっしゃったと思うんですけど、
秋山徳蔵さんが後世に名を残したのはなぜですか。
森下
天皇の料理番である「主厨長」という役割を
はじめて務めたのが秋山徳蔵さんなんですよ。
正確にいうと、そういう役割ができて、
そこに鳴り物入りで呼ばれた人なんです。
あやや
はーー、なんか、激動の半生、というか。
森下
でも、お話としては、すごくシンプルですよ。
片田舎の暴れん坊が、
料理をやりだしたことで、
はじめて「人として」まともになり、
果ては留学もしちゃい、天皇の料理番を務め、
最後は日本を救うかも‥‥というような。
強い実話があって、それをもとに脚色するという、
ドラマの構造としては王道というか、
すごくシンプルな方法だと思います。
あやや
でも、そういう普遍的で大きなドラマが
最近、なかなかなかったと思うんですよね。
荒井
そうですね。とくに、連ドラでは。
これは、ドラマの展開としては、
大河的な感じですか。
森下
そうですね。
あやや
それは森下佳子脚本の真骨頂ともいえる、
1話ずつ重ねていって、何十年にも渡る感じの?
森下
それ私の真骨頂だったのか(笑)。
まぁ、人生の70年ほどを全12話で。
荒井
あ、全12話ですか。長いですね。
森下
そうなんですよ。最近にしては。
あやや
4月26日からはじまって、全12回っていうと‥‥。
森下
じつは、7月クールを少し食います。
荒井
いま12回ってあんまりないですよね。
あやや
なんで12回にしたんですか?
森下
‥‥収まらないから(笑)。
荒井
はははははは。
あやや
見るほうとしては、
ぜんぜんかまわないですね。
森下
堺正章さんの『天皇の料理番』は、
たしか19回でした。
──
昔、ドラマって、もっと長かったですよね?
あやや
長かった、長かった。
25回とか、平気でありましたよね。
荒井
いまみたいに年4クールって
決まってなかったですし。
あやや
いや、これ、ほんとにたのしみですよ、
お世辞じゃなく。
ほんと、いま、ちょっと
「ふつうじゃない」ドラマが多くて、
純粋に普遍的でいい話をドラマにしよう、
と企画しているものって少ないですからね。
森下
そうですね。
そういうふうに狙って
こうしたわけじゃないんですけど。
石丸プロデューサーの好みが
そもそもそういう方向ですし。
──
そういう意味では、
よそとの比較をまったく考えてないというか、
脇見をしていない感じがありますね。
森下
ああ、それは、そうかも。
今回は並びのことはあまり考えなかったなぁ。
というか、考えてる余裕もなかった。
あやや
うん、うん。
いつの時代でもいいと言われるものをつくろうと、
普遍的なものを目指してる感じがとてもします。
森下
ありがとうございます。
なにしろ、今回の『天皇の料理番』は、
実際のエピソード自体に
力がありますから頼もしいです。
秋山徳蔵さんって、
料理の腕前ももちろんすごいんですけど、
それよりも、西洋料理の黎明期に道を拓いて、
外国からいっぱい叙勲もされ、
当時、まだ社会的地位がすごく低かった
料理人というものの地位を
押し上げた人でもあるんですよ。
荒井
へぇーー。
あやや
そういう話を聞くと、ますます見たくなりますね。
森下
痛快ですよ、ほんとに。
片田舎の暴れん坊が
こんなに変わっていくんだ、っていう。
あやや
いいなぁ、たのしみだなぁ。
──
ちなみに、ほかのメンツもすごいですね。
荒井
武田鉄矢さん出ますね。
『JIN-仁-』を思い出します。
あやや
自分で歴史の資料を調べてきて、
書いてないセリフをどんどんしゃべるという(笑)。
森下
そう。私も知らなかった
その役の秘された人生を(笑)。
荒井
女性陣もなかなか渋い。
美保純さん、麻生祐未さん。
あやや
これ、色恋沙汰はどうなんですか。
早めに結婚しちゃいますけど、ラブはなしですか。
森下さん、「ドラマにラブがないのはムリ!」って
言ってたじゃないですか。
森下
まあ、フランスも行ったりもしますからね。
そのあたりは‥‥どうなるか、おたのしみに。
──
あ、小林薫さんだ。
森下
小林薫さん、めちゃくちゃかっこいいですよ!
あやや
あの、小林薫さんって、ときどき
「ほぼ日」に遊びに来てくださるんですよ。
森下
え、そうなんですか。
あやや
糸井と古くからおつき合いがあって。
──
糸井が「ちゃん」づけで呼ぶ、
数少ない人のひとりです。
あやや
うん。「薫ちゃん」って呼びますね。
森下
ええー! か、薫ちゃん!
──
こないだ、「ほぼ日」でやってる
「気まぐれラジお」という生中継のコンテンツに
急にゲストとして登場してくださって、
ふつうに雑談してお帰りになりました。
森下
ほんとに(笑)。
あやや
小林薫さんって、無口なイメージですけど、
けっこうおしゃべりな人なんですよね。
──
とくに、糸井といると、
けっこう、のんびりと、だらだらと、
長くしゃべってらっしゃる印象があります。
森下
ええー、そうなんですか?
撮影現場とのギャップがすごいなぁ。
あやや
このドラマの撮影現場って、
きっと、ものすごく豪華ですよね。
うわ、想像するとヤバい‥‥。
荒井
脚本家の方って、撮影現場に
どのくらい顔を出されるものなんですか。
森下
わたしは、現場にはほとんど行かないですね。
「顔合わせ」でお会いするくらいで。
あやや
「顔合わせ」、いいなぁ!
あああ、私もしたい! 「顔合わせ」!
永田さん、「ほぼ日」でも
やりませんか、「顔合わせ」!
──
毎日会ってるだろ。
あやや
あの、あの、私、「顔合わせ」というと、
テレビで見たイメージでは、
こう、脚本家の先生の前で「本読み」するから、
俳優のみなさんがけっこうガチガチになってて、
で、パイプ椅子に座った脚本家の方が
「そこちょっと違うよね?」みたいなこと言って、
場の空気がピリピリピリーーー!
みたいなことを想像しちゃうんですけど、
そういうことが、あるわけですか?
森下
私はなんにも言わないですー。
というか、正直なところ、
自分の書いたセリフを
目の前で読みあげられるって、
なかなか恥ずかしいものがあって‥‥。
あやや
ははははは。
荒井
そういうもんなんだ(笑)。
でもまあわかる気はします。
森下
あややにとってはあこがれの「本読み」も、
私にとっては「公開処刑」状態ですよ。
台本開いたまま、粛々とめくりつつ‥‥
「あ、誤字あった」とか思いながら、
「私、ここいなきゃダメかなぁ‥‥」みたいな。
あやや
へぇー、へぇー、そうなんですね!
どっちにしろ、貴重なお話だ。
すごいなぁ、「本読み」、「顔合わせ」。
あとは、なにかなぁ、いろいろありますけど、
とにかく、一番たのしみですよ、
『天皇の料理番』。
荒井
いや、ほんとに、たのしみですね。
森下
そうですか。ありがとうございます。
あやや
これはね、行くと思いますよ!
森下
ほんとかなぁ。
──
いや、ズバリ、これは行きます。
荒井
おお、永田さんが、突然太鼓判を。
──
だって、主人公が福井県出身ですからね。
春のセンバツ高校野球は
福井県の敦賀気比高校が初優勝しました。
いま、福井が来てます!
あやや
そういえば、北陸新幹線も通ったし!
森下
いや、そんな、ムリヤリ、ゲンを担がなくても‥‥。
かえって心配‥‥。
──
さて!
そんなわけで、本日も、長く話してきましたが、
この春のおすすめドラマを決めたいと思います!
さぁ、どうしましょうね?
あやや
『天皇の料理番』でしょう。
荒井
うん。
森下
や、あの、そういうわけにも。
──
ふつうにそれでいい気がしますが。
あやや
でも、正直、私、森下さんが
知り合いであろうがなかろうが、
視聴者として「これは外せない!」って感じで
かならず見るのが『天皇の料理番』ですよ。
荒井
そうですね。
『ごちそうさん』の脚本家の最新作で、
枠とスタッフが『JIN-仁-』で、
このキャストだったら、
今季はこのドラマが軸ですね。
──
じゃあ、わかった。
今季のおすすめは『天皇の料理番』でいいとして、
いつもやっている、
「ひとり3本選ぶ」っていうのを
それぞれに発表しましょうか。
あやや
わかりました。
森下
なんか、いいんですか。
荒井
いいと思います。
──
じゃあ、それぞれに3本、選んでください。
『天皇の料理番』以外で3本、お願いします。
‥‥じゃあ、あやちゃん。
あやや
うーーーん‥‥『Dr.倫太郎』。
あと『アイムホーム』‥‥『美女と男子』!
荒井
なるほど。
森下
やっぱり『美女と男子』入れるんだね(笑)。
あやや
はい(笑)。
──
荒井先生、行けますか?
荒井
うーん‥‥
『Dr.倫太郎』と『アイムホーム』。
その2本は、入っちゃうよな、やっぱり。
あと‥‥よし、『ドS刑事』。
あやや
おおーーー!
森下
どうしようかなぁ。
まず、『アイムホーム』ですね‥‥。
で『ロクヨン』。
‥‥あと『ヤメゴク』。
あやや
なるほどーーー。
──
全員が『アイムホーム』に入れてますね。
ということは、次点が『アイムホーム』。
荒井
ベタですけど、期待しちゃいますね。
あやや
『Dr.倫太郎』もいいと思います。
あとね、私ね、
もうひとつ追加で言っていいですか?
──
いや、ダメでしょ。
あやや
えっ、ダメなんですか!
──
いや、ダメじゃないけどさ、
なんのために3本に絞ったんだというか、
進行する気にもなれというか‥‥。
あやや
ぶつぶつ言ってる人を無視して言いますが、
BSプレミアムの日曜日の10時って
おもしろい枠だと思いませんか。
見てないですか。
この枠で、5月10日からはじまるのが
ちょっとおもしろそうなんですよ。
──
『ボクの妻と結婚してください。』
森下
ああー、ウッチャンのやつね。
あやや
ちょっと気になってます、私。
森下
それ言ったら、
菊地凛子さんと小松菜奈さんの
『夢を与える』、
めっちゃ気になってますよ。
あやや
ああー、そうですよね!
──
それどこ?
あやや
WOWOW。
──
WOWOWかー。
荒井
WOWOWとかまで入れちゃうと、
もうわけわかんなくなりますね。
あやや
でも、そのくらい、いまドラマって、
地上波だけじゃないですよね。
BSプレミアム、WOWOW、
そして深夜も含めて、
たいへんなことになってますよ、いま。
森下
そうですねぇー。
──
さあ、そんなわけで、
今回も、たっぷりと語ってきましたが、
ぼちぼち。
あやや
おすすめの1位は『天皇の料理番』です。
森下さん、ひとことお願いします。
森下
佐藤健くんはじめ、キャストもスタッフも
もうほんとにめちゃめちゃがんばっているので、
とにかく、見てやってください。
お願いします!
──
『天皇の料理番』は、
撮影はどのくらいまで進んでいるんですか。
森下
いまもう9話か10話ぐらい撮ってます。
荒井
それってずいぶん早くないですか。
森下
早いですね。
とにかく準備が間に合わないので、
先に先に進めてて。
なにせ、どっかを撮るために、
地方にあちこち行かなきゃならないんですよ。
──
ああ、「時代劇」だから。
森下
そう。
パリはパリまで行かなきゃならないとか。
すごくたいへんなんですよ。
あやや
そうなんだー。
じゃあ、もうちょっとしたら、
クランクアップなの?
森下
たぶん来月には
クランクアップするんじゃないですか。
あやや
きゃーーー!
あの、私ね、人生で一回経験したいのが、
「クランクアップ」。
──
またそういう話か。
荒井
こう、カットの声がかかって、
まわりのスタッフが花束を‥‥ってやつ?
あやや
そうそうそうそうそうキャーーーー!
──
うるさい、うるさい。
森下
はははは。
あやや
「クランクアップ」やりたい。
「クランクアップ」だけでいいんです。
「クランクアップ」だけやりたい。
──
のび太のわがままみたいになってきた。
あやや
「顔合わせ」も「本読み」もいいけど、
「クランクアップ」がいいわー。
大好きなんですよ、あの映像。
朝のニュースとかでひょいっと流れる
クランクアップの様子。
森下
主演とかだと「ひとこと」があったりね。
あやや
そうそうそうそう。
(グイと身を乗り出し)
森下さんって、クランクアップも
たくさん経験されてますよね?
森下
う、うん。でもまぁ、いるだけだよ、そこに。
役者さんとスタッフがお互いに
健闘をたたえ合っている現場を見るだけだから。
どっちかっていうと、年に1回会うか会わないかの
「親戚のおばちゃん」みたいな感じよ。
あやや
え、脚本家なのに?
森下
わたし、現場じゃないからね。
あやや
脚本家のクランクアップは、
プロデューサーから「ありがとう」みたいなこと、
ないんですか。
メール1本だけですか?
「おつかれさまでしたー」みたいな?
荒井
脚本の最終話をあげたとき、
森下さんちに花束が届くとかは?
森下
ないですね。
「ありがとう」メールはあるけど、
このタイミングだっけな?
というのも、私が最終回の台本を
書き上げた瞬間なんて、
誰かを祝うような余裕は、まったくないんですよ。
──
あー、そうか。
現場は、そこから撮影に向けて、
作業がはじまるわけだから。
森下
そうそう。
まだまだ佳境なわけですよ。
あやや
そっかー。じゃあ、孤独なんですか。
森下
孤独ですよ。
わたし、めっちゃさみしいですよ。
あやや
じゃ、今度私、森下さんが
クランクアップしたときに、
花束渡しに行きますよ。
──
どこに? ご自宅に?
あやや
書き上げた瞬間だから、
そうですね、やっぱり仕事場かな。
森下
夜中に書いてたりしますよ。
あやや
じゃあ、朝方こっそりと。
「‥‥‥‥ぉ・は・よう・ございまぁす」
──
寝起きドッキリじゃんか。
あやや
寝起きドッキリクランクアップ。
荒井
なにがなんだか(笑)!
森下
ははははは。
もう人生の要素は
増やさないようにしようよ(笑)。
──
今日はどうもありがとうございました。
あやや
ありがとうございました!
ああー、今日もしゃべりましたね。
森下
しゃべりましたねぇ(笑)。
荒井
また4時間くらい‥‥。
あやや
ああああ、おもしろかった!
またお願いします!
もう1ヵ月間違えたりしませんから。
ほんとに、ありがとうございました。
森下
ありがとうございました!
荒井
ありがとうございました〜。
あやや
また、お願いしますーーー!


( お し ま い )
 
2015-04-28-TUE
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