APPLE
新宿二丁目のほがらかな人々。
おねぇ言葉や裏声とかで語る別角度批評。

ビッチな女。その4
羨ましくって!


ジョージ オカマというか、男の立場として、
こいつを味方につけておきたいな、
っていう女はいるよね。
それと、こいつだけは敵に回したくないな、
っていう女もいるしね。
ノリスケ それは、同じ種類?
ジョージ ほとんど似ているけれど、
たまに違うことがある。
味方に引きずり込みたくないけれど、
敵にしたくない。
ノリスケ あー、そういうことか。
つねさん 別に、刺激もしたくない、変な部分を。
ノリスケ 一緒に仕事したい女は、ぜったいに
敵に回したくない女ではあるけれども、
敵に回したくない女は、かならずしも
一緒に仕事したい女なわけではないっていう。
つねさん 必ずしも。
ノリスケ うん。
ジョージ うん、そうね。たとえこいつが敵になっても、
こいつが敵なんだったら
仕方がないなと思う女もいるしね。
ノリスケ うん。
ジョージ 戦いがいのある女もいるしね。
敵に回したくない女は、
往々にして卑怯なことが多いね。
つねさん ああ。正々堂々じゃないのね?
ジョージ んー、あの、考えられないような武器を
取りだしてくる女がいる。
あるときにそれが「女」であったり、
あるときにそれが「弱さ」であったり……
毒ばっかり吐いてるような女。
ノリスケ 毒吐いて、あとでひどい目に遭うのに。
ジョージ 自分が吐いた毒で、
空気がどんどんなくなってって窒息するの。
毒吐きっぱなし。吸うものがなくなるの。
ノリスケ そうでしょ? そうでしょ? 
自分の毒にやられるっていう。
ジョージ ほんっとに……そういうの、
毒ま○こよね。
ノリスケ 毒ま○こ……(笑)。
ジョージ ……ごめんなさーい。
オカマのこんな……毒ま○こだなんて。
毒、って書いて、ブスって読むのよ。
だから、ブスま○こよ。
……イヤッ、ブスま○こはイヤ〜。
ノリスケ ……(困)。
ジョージ なんかね。ね〜。ね〜〜〜。
つねさん それこそさ、ブスっていうのもあれだよね、
美人といっしょで、なんか、
いい意味と悪い意味とって、ない?
ノリスケ ブスって言葉はね、それ、言えないよ。
いい意味でなんて、使えない言葉だよ(戒)。
ジョージ 僕は使えないな、ブスは使えないな。
ノリスケ 使えない。女の子に対しては、絶対。
ジョージ 使うとするとね、使うとすると、
お前は“今日は”ブスだ、ていう言い方をする。
ノリスケ あー、それはあるね。
ジョージ お前はブスだとは言わない。
たしかに、イイ女なんだけど、
ブスなときってあるのよ〜。
ノリスケ あるよね。
ジョージ で、ブスっていうのはね、それこそ、
ビッチっていうのがイヤな女じゃなくって、
その、おてんばで、なんか、
ちょっといじめっ子の、強い女っていう、
イイ女の部分を抱えているのとおんなじように、
いい意味でのブスっていうのはね、
本調子じゃなくって、元気がなくって
今日は変よ、疲れてるよ、
っていう意味でブスは使うよね。
ノリスケ そういう意味で……
つねさん だから、そう、OKなんだろうなーって。
それでも、なかなか使えないけどね。
ノリスケ こんなあたくしたちですら。
ジョージ すーごい一生懸命仕事してて、徹夜が続いて
目の下にクマ作って、
しかもスッピンに近いような顔で、
髪の毛束ねてザンバラ頭でダーッてやってくる
女には、絶対ブスて言えないもん。
つねさん あ、それはブスじゃないもんね。
ジョージ うん。どしたん? 鬼みたい、とかって、
たまに言うけど(笑)。
つねさん ハッハッハッハ!
ノリスケ ばけものっ(笑)。
ジョージ そう、ばけものっ! とかって(笑)。
つねさん そうか、そっちか。
ジョージ でも、けっこう僕、言うもん。
ウチの子には、ばけものーっ!! 
……も、すっごいんだよ、
書類山のように抱えて、髪の毛振り乱して、
端から端までデァーッ、
ちょーっとちょっとー、とかって言いながら
走り回ってるのをつかまえて、
「バーケモノーッ!!」って言うと、向こうが、
「バカモノーッ!!」って、通り過ぎていくの。
あ、嬉しい、もっと言って! もっと言って!(笑)……
ノリスケ アハハハハハハ。
つねさん いいね〜、なんかね〜、そういうの(笑)。
ノリスケ アハハハハハハハ……いい会社。
ジョージ ……ねー。でも、僕らってあれだよね、
悪口言葉、本来の悪口言葉を、
いい意味で使うよね。
つねさん うん。
ジョージ なんでなんだろ?
照れ臭いから?
つねさん 照れ臭いから?
ジョージ うん。
だって、僕らって、
女に対する憧れもあるのがあって、
あー、女って羨ましいな〜、いいな〜、
って思うじゃん? だってー、ねー? 
女の子一人だけで、なんか、
空気が和んだりとかするわけでしょう?
ノリスケ うん。
ジョージ そういうの見ると、すーごく羨ましくって。
ノリスケ そういう存在にはなれないからね。
ジョージ 特にイイ女っていうのは、
羨ましくて仕方がないから、
コンチクショウッ! っていう思いを込めて、
「ビッチ」って思うよね。
ビッチな子っていうのはね、
自分の守備範囲をよく知っていて、
守備範囲の中で120%の実力を
発揮する子たち? で、守備範囲から、
ちょっと離れたところで
オテンバをしていくっていうね。
ほっんと、羨ましいわっ。
(このテーマはこれにておしまい。
 次回は「老後」をテーマにすると
 三人は意気込んでます。お楽しみに!)

★おしらせ★
『婦人公論』にジョージさんが!


12月7日(金)発売の『婦人公論』
(12/22・1/7合併号。中央公論社)に
ジョージさんが登場します。
darlingが司会をつとめる
「婦人公論井戸端会議」のゲストに
呼ばれたとのこと。
テーマは“ゲイを生きる”で、
もうひとりのゲストは南伸坊さん。
ぜひ、お読みくださいね〜!

2001-12-11-TUE
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