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新宿二丁目のほがらかな人々。
おねぇ言葉や裏声とかで語る別角度批評。

バレンタイン? ふん。その1
ゴディバが登場した頃。

ジョージ バレンタイン・デーって、貰ったことない?
ノリスケ 貰ったこと、あるよ。
小学校の、3年か4年。
つねさん 義理じゃなくってだよ?
ノリスケ 義理じゃないのは、高校の2年生。
本気ってわかるものを1コ貰った。
つねさん 男に?
ノリスケ 女よ! 本気の。困っちゃったわよ。
ジョージ バレンタインのチョコは、
本気とか本気じゃないとかは関係ないよ。
あれは、個数よ、個数。
つねさん いいいやぁ〜(笑)。
手紙入ってた?
ノリスケ ウン。
のりすけ君もサリンジャー読むんですね、
って(笑)。
つねさん ウハハハハハハッ!
ジョージ 聞きましたよ、恥ずかしい。
サリンジャーよ、サリンジャー。
ノリスケ 文学少年だったのっ。
ジョージさんは
どうせいっぱいもらったんでしょ?
ジョージ 僕なんか……、
つねさん 「僕なんか」。
すごい語りだし。
ジョージ 第1期バレンタイン・デーっていう、
バレンタイン期? っていうのがあって、
それは中学生ぐらいのころで。
んで、貰えるのは、
ご挨拶みたいな感じ、だよね。
ご挨拶と人気投票が
一緒になってるみたいな感じで・・・
つねさん 生意気ね。
人気があったんだよ、
とかって言いたいわけね。
ジョージ そ、人気あったのよ。
だって、可愛かったもの。
何回も言うようですけども、
美少年だったので(笑)。
つねさん クソ生意気な(笑)。
ジョージ それで、んと、貰うチョコは、
お菓子屋さんとか、量販店で売ってる、
国産のチョコレートを、
女の子が、自分で別の包み紙に包んで、
リボンかなんか巻いて。
つねさん グリコ・アーモンド・チョコ。
ジョージ んで、渡してくれるか靴箱に入れたのが、
第1期バレンタイン期。
で、その後しばらくのあいだは、
バレンタインとかっていうのに
縁がなくなって。んで、第2期は、
バブルのころだよ、ね。
80年代の終わりから90年代の半ばくらいまで。
つねさん そうなんだ。
ジョージ このときはね、もう、世の中が
バレンタイン・デー近くなると、
へぇー、チョコレートって、
こんなに種類があったと思うくらい。
つねさん まあ、あれ以降、そうだよね。
ノリスケ つまり、日本で、えーと、デメルとか・・・
ジョージ デメル、ノイハウス・・・
ノリスケ ゴディバ、あたりだよね、そのころだと。
ジョージ ゴディバが来たときは、びっくりしたね!
つねさん なんで、なんで?
ジョージ しなかった?
つねさん どういう?
ジョージ だって、それまで、チョコレートっていうのは、
一箱幾らだったのが、
一粒幾らの時代が来たんだよね。
おーどろいちゃったよね。
つねさん でもデメルなんて、最近だよ、僕、知ったの。
ノリスケ デメルはザッハートルテが有名よね。
つねさん そうなん?
ジョージ たぶん、高級チョコレートが
日本にやってきてから、
本命チョコと義理チョコっていうのが
分かれたような気がするなー。
つねさん ああ、それはそうだね。
ジョージ ねっ。
ジョージ だって、いまだに、
セブン・イレブンでは
バレンタインデーのチョコレート売ってるでしょう?
ノリスケ 売ってるよ。
ジョージ 包装紙付きで。これって、
セブンイレブンでクリスマス・プレゼント買って
渡される子供より残酷な話だよね。
ノリスケ でもちゃんと需要があるんでしょうね。
ジョージ そうよね〜〜。でも、あれでしょう?
もう、かつてのバレンタイン・デーの
意味っていうのは、
告白する立場にない女性が
告白をする日だったわけでしょ?
ノリスケ できる日。
つねさん 今は?
ジョージ で、今その役割はないんだよね。
ノリスケ そうだね。もう付き合ってて、
わかり切った人にあげている気がする。
つねさん そうね。
ノリスケ よね。それを期に告白ってことは、ないよね、
意味薄れちゃってて。
ジョージ もちろん、それこそ銀座のホステスが
お客さんにあげるようなものよ。
チョコ一粒に、
エルメスのネクタイがついてるみたいな。
ノリスケ う〜ん、一緒だね。
ちょっと悲しいな。
せっかくの日なのに。
つきあってても、
うまく伝えられない気持ちになったり、
することがあるじゃない? ふだん。
スマップの「しようよ」みたいな世界よ。
そういうときにチョコレートは雄弁でしょ?
ジョージ いいと思うよ、もう1回、つきあい始め、
このまんまずっと付き合うかどうか
わかんないときの、恋のさや当ての、ね?
緊張感とドキドキを取り戻すための
バレンタイン・デーっていうのは。
つねさん おー。
ジョージ 演出してみません?
去年ぼくもらったよね、チョコ。
つねさん だって、その前の年は俺、貰ったもん。
ジョージ あの、デメルの猫の舌を頂きました。
つねさん おととし、僕が貰ったよね、それね。
ジョージ そう。
ノリスケ 同じものを返したのね(笑)。
なんていい加減なの!?
つねさん っていうか、この人チョコレート嫌いだから。
ノリスケ あ、そうなんだ。
つねさん うん。基本的に。
ジョージ あのね、僕ね、
チョコレート・ドリンクは好きなんだけど、
固形のチョコレートは、あんまり好きじゃないの。
ノリスケ だったら、ドリンクと言えば、表参道の・・・
ジョージ メゾン・ド・ショコラ!
ノリスケ そうです。そこのドリンクが
美味しゅうございます。
ジョージ 2200円。あのね、今ぼくの中では、
国際線のスチュワーデスと
友だちになりたかったら
メゾン・ド・ショコラの
チョコレート・ドリンクっていうのをね、
テーマにしてるの。
ノリスケ テーマ!
つねさん ほう!
ジョージ あのね、チョコレート・ドリンクって
冷え性にすっごくいいんだよね。
ノリスケ ああ、なるほどね。
つねさん あ、そうなんだ。
ジョージ あのね、循環が良くなるんだよ。
スチュワーデスって、
立ち仕事で時差があるから、
もう必ず冷え性を持ってるのね。
ねぇー、みなさん買い占めましょう。
あ、これ、男向けの話ね、男。
ノリスケ なんか、ラブの話から、
みのもんたみたいな話になってるわ。
つねさん ノリさんはどうなの。今年は。
ノリスケ あげるわよ! んーとねー、
ミュゼ・ドゥ・ショコラ・テオブロマかー、
ピエール・マルコリーニかー、でもやっぱ
ピエール・エルメ・パティシェかー。
ふふふ。
つねさん しっかり調べてんじゃん……
(つづきます)

2002-02-08-FRI
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