APPLE
新宿二丁目のほがらかな人々。
おねぇ言葉や裏声とかで語る別角度批評。

バレンタイン? ふん。その4
二人のラブレター。

ノリスケ ね、バレンタインにかこつけて
聞きたいことがあるの。
つねさん なに?
ノリスケ 2人のラブレターを聞きたいと思うんだな、僕は。
つねさん ありゃっ。ラブレター?
ラブレターは、メールだったね、ずっと。
出会ってというか、ネットで出会ったの。
実際会うまでに、半月ぐらい、
ずっとやりとりしてたんだよね、メールの。
ジョージ そう。
ノリスケ その間に、ま、当然画像交換したりとか。
つねさん 画像交換は、した、よね。
ノリスケ するでしょう。
ジョージ この人ね、昔の、
そんなに太ってないときの写真送ってきたの!
ノリスケ ハッハッハッハッハ。わかる、わかる。
だって、相手がどれくらいの容量が好きなのか
……容量ってナンだけど、
はっきりしないときって、
今の自分じゃだめかも、って思うのよね。
太ってるのが好きと言われても限度あるし。
そうすると、ちょっと違う自分を送ってみて
「だめ」っていわれたら、
「いまはもっと太ってるよ」って言えるもんね。
逆だったら、会うまでの時間を引き伸ばして
必死のダイエットよね。
それで、良かったの? ま、良かったんだよね。
ジョージ 別に僕、スペックでこの人を
好きになったわけじゃないからいいんだけどぉ。
(テレテレ)
ノリスケ どこが良かったの?
あ、静かになっちゃった(笑)。
ジョージ どこが良かったのか、
今になってもわからないの。
何が、ここまでお互いを
深く結びつけたのかとかって、わかんないよ。
ノリスケ あー・・・
ジョージ それでね、あのね、あの、
付き合ってからっていうのは、
この人を喜ばせるのには、
何を言って何をすればいいのかわかるんだよ。
だけど、つき合い始めというか、
まだ付き合うかどうかわかんない時って、
何を言えばこの人は喜ぶのか
全然わかんなかったんだよね。
ノリスケ 探るからねー。
ジョージ そんで、一応ぼくも仕事のこととか、
さしさわりのない範囲で教えて。
つねさん なんかいっぱい言ってたね。
ジョージ そ、僕の考え方だとかそういうのを・・・
つねさん ガーッて書いてよこしてた。
ジョージ そう、言葉をよく、送るんだけど、
でもね、なんかね、
伝わってるのか伝わってないのか
わかんないんだよ。
ノリスケ どんな返事を書いたの?
つねさん 返事なんか、よこしゃしないんだよ!
ノリスケ ハハハハハハ。
つねさん そーんなことなかったじゃーん(甘)。
ジョージ ほとんどなしのつぶてに近いよ。
僕が40行送ったら、
こいつ1行みたいな感じだよ。
つねさん いやっ・・・3行ぐらいはお返ししたよ。
ノリスケ ハハハハハハハハハ。
ジョージ それもなんか、
すいません、返事が遅れて、
最近忙しいので、みたいな感じ。
つねさん え、忙しかったんだよ、ずっと。
ノリスケ メールぐらい書けるでしょう(笑)。
つねさん いや、おれ、だからボク無精なんですよ。
手紙とかメール、ダメなんで。
ノリスケ そうだね、業務連絡も返事来ないよね。
つねさん うん。
ジョージ そのころってね、あ、ほんとに忙しいんだな、
フリーの仕事だから忙しいんだなって
思ってたんだけど、今になってみたら、
ぜったい忙しかったハズはないんだよ。
ノリスケ 忙しくったって、できるんだよね。
つねさん そりゃそうなんだけどさー。
ノリスケ ま、筆無精。
つねさん 無精は無精だね。
ジョージ それでね、何回目かに、
もう書くことがないの。
で、送る画像もないの。
ノリスケ 毎日書いてたんでしょ?
ジョージ うん。
それでね、僕、部屋の窓からね、
空撮った写真送ったんだよ。
つねさん うん、来た来た。
ノリスケ 空?
ジョージ も、そのぐらいしかないんだよ。
今日はこんなに天気が良かったですって。
ウチの部屋からこんなにキレイに見えました、
っていうのを送ったんだよ。
ノリスケ まぁ〜。同じ東京の空なのに。
つねさん でも、けっこうそれがね。
ジョージ それが良かったんでしょ?
つねさん それ良かったね、僕(笑)。
ノリスケ 万策尽きたあとに(笑)。
つねさん だって、すっごい、送ってくる写真がさ、
ぜんぶトリミングしたりとかさ、
なんか、あの、
私かわいいでしょ? っていう(笑)。
ジョージ かわいいんだから仕方がないじゃない。
っちゅうか、かわいくしか撮れないんだもの!
つねさん イヤワッハッハッハ! ヒヒヒヒヒヒ!
ジョージ かわいくない写真は消しちゃうのっ!!
つねさん ハッハッハッハッハッハ!!
ジョージ あんたバカ言うんじゃないわよ、ほんとに。
失礼しちゃうっ。
つねさん いや、この人たぶん、
すごい自分がかわいいんだろうな、って
思ってるんだろうなって(笑)。
ノリスケ ま、返事もろくにせずにいたところに、
万策尽きたジョージさんが、
空の写真を送ってきたと。
つねさん そうね。
ジョージ 僕的にもね、ぜったいね、
この人は引くはずはないだろうし、
ぜったい僕のものになるだろうとは、
思っては・・・
つねさん いたの?
ジョージ いつつ。でも、それにしても、
こいつはおかしいぞ、と。
つねさん ハッハッハ。そうだったの?
ジョージ なにもの? いったい。
レスポンス悪すぎます。
つねさん ああ、逆にそれが良かったのね。
ジョージ あ、僕的には良かったよ。
つねさん いつものと違うぞ、と(笑)。食いつきが。
ジョージ そそそそ。
つねさん すぐ会わないし、って?(笑)
ジョージ すぐ会う会わないは別としてね、なんかね・・・
ノリスケ そういえば、
東京にいるのに会わなかったんだよね。
ジョージ そう、会わなかったの。
つねさん 全くね。
ジョージ そうよ。
ノリスケ その気持ちは、どんな気持ちなの?
すぐ会わないっていうの。
つねさん いやっ、ほんとにあのころ、
たしかに忙しかっただけで。
物理的な理由。
ノリスケ あ、そう?
ジョージ でね、初めて会ったときにね、雨の暗やみで、
この人がタクシーから降りてきたんだよ。
ノリスケ 雨の暗やみでタクシーから降りてきた(笑)。
エクソシストみたいな話だ(笑)。
ジョージ そんな感じ!
つねさん いやー、あーれはですね、
僕、仕事の納品が終わって、
前の日に電話もらってて。
そろそろ会えそうだっていう時期で。
仕事がすんで、電話かけてみたら、
今からだったら大丈夫だよ、って言われたんで、
雨降ってたけど、じゃ行こうかな、
って思って場所聞いて。
そしたらなんか、ね?
傘さして待っててくれたのね。
バス停のところで。
ジョージ そうそうそう。
で、ちょっと遠くで降りたと思ったの。この人は。
目の前でなくて。
つねさん ふーん。
ジョージ もんのすごい遠くで降りたような感じがしたの。
でも、違ったの。ただ、ちっちゃかったのよ!
こっちがわ歩いてくるんだけど、
大きくなんないんだよ。
ありゃ? チビだったんだ、こいつ・・・
つねさん 身長教えてありましたってば。
ジョージ んなん忘れてるもん、数字なんか。
ノリスケ 忘れるなよ(笑)。
(脱線したまま続きます)

2002-02-12-TUE
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