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新宿二丁目のほがらかな人々。
おねぇ言葉や裏声とかで語る別角度批評。

バレンタイン? ふん。
(ラブレターの話に変わりつつ) その5

ひとりでも楽しいの。でも。

ノリスケ バレンタインをきっかけに告白する、
なんてこと、とうの昔に忘れたな〜。
「確認」だもんな。
ていうかさ、じっさいは、「確認してから」
ラブレターって始まったりしない?
それまでは「自己紹介」みたいなもので。
ジョージ たしかに、
恋に落ちてからがラブレターだよね。
つねさん 会って次の次の日くらいからだよね、
ラブレターに変わったのが、中身が。
ジョージ 運命を感じたのよ。
つねさん いや、話しててねー、微妙にあったのね、
ちょっとした勘違いと、
それを埋めることの、楽しさみたいのが。
ジョージ この人のことを、もっと知ってみたいと思うよね。
つねさん 僕もそれはあった。
ノリスケ と同時に、この人のこと全部わかるなー
とかっていうのも、あるのかな?
ジョージ 全部わかってみたいとは思うけど、
わからなくてもいいかな、とかね。
ノリスケ ねえね、そのときはもう、
2人いっしょに恋に落ちてたの?
それとも、こう・・・
ジョージ 2人はいっつも一緒に恋に落ちるのだ。
ノリスケ あっそう。
決め台詞ってあったの?
ジョージ あのね、いちおうオカマはオカマだけど、
決めるときは男よ。
ノリスケ 男か。男セリフか。
ジョージ そうよ、男セリフだよ。
あのー、ものすごく柔らかい男セリフだよ。
つねさん うん、うん。
ノリスケ なあに? なあに?
ジョージ たとえば、基本的に、基本的に、
ひとりで生きていけるの。
ノリスケ うん。
ジョージ ひとりでも楽しいの、とっても。
ノリスケ うん、うん。
ジョージ で、たとえば、いま僕がひとりになっても、
首をくくるほど悲しくはない。ね。
ノリスケ うん。
ジョージ だけど、そんなに幸せで楽しい人生が
僕を待っているんだったら、
それをひとりで楽しむよりも
ふたりで楽しんだほうがいいな、
と思うのが僕の、好きになった人に対する、
気持ちなの。
ノリスケ ふんふんふんふん。
ジョージ たとえば、んーとね、
逆に僕がいろいろ口説かれて、
苦手だったのが、
僕にないものをあなたは持っているから、
それを埋めて欲しい、だとか、
君がいない人生は考えられない、とか、
よく言う言い回しでしょう?
ノリスケ うん、うん。
ジョージ で、僕、こういうふうに言う男は
ぜったい信用しちゃいけないと思うんだよね。
つねさん うんうん。
ジョージ だって、だって、
他人がいないと成立しないような
人生を送る勇気しかないような人だったらば、
それは、ただ相手が欲しいだけであって、
僕を欲しいわけじゃないわけじゃない。
まあ、女の人的に、
男を信用しちゃいけないときは、男が、
そういう言葉を吐くときだと思うんだよね。
ノリスケ うんうんうん。
ジョージ で、彼は“誰か”が必要なのであって、
自分を必要としているわけではない。
で、基本的に僕は、誰も必要としていないの。
だけど、せっかくなら・・・
つねさん 分かち合える。
ジョージ そう、分かち合える人と
楽しくなったほうがいいから。
で、んーと、支え合う相手ではなくて、
一緒にいることの方が、
ひとりでいることよりも楽しい相手っていうのは、
そんなにいっぱいいないんだよね。
ノリスケ あー。
ジョージ で、この人は、たぶん一緒にいると、
ずっと僕は楽しいんだろうな、って。
たまにイライラさせられることは
あるだろうけれど。
つねさん (笑)ま、それは人間だからね。
ジョージ まあ、そんなことはオナラをするようなことで、
大丈夫であってね。
ノリスケ たし算になるのね。
ジョージ そう。だって、そう、たし算なんだよね。
1+1が、最低でも2になんなきゃいけないのに、
ほとんどの人が1+1が1になっちゃうんだよ。
ノリスケ そうだよね。欠けた半分だ、みたいな。
ジョージ それをね、
平気で殺し文句に使う男がいるでしょう?
なんか、ねーっ? とくにあの、
飲み屋で口説くオヤジ?
つねさん あ〜。
ジョージ ベロベロんなって、
オレはダメな男なんだー、
とかって言い始めたら、
ほんっとにダメよね、って言うしかないよね。
賛成いたします、そのダメっていうのには。
ノリスケ ハッハッハッハ。
つねさん そうそう。
ジョージ で、あなたと一緒にいると、
私もダメになるから、どうかね、
もう二度と誘わないで下さい。と思うよ。
ノリスケ マイナスとマイナスになっちゃう(笑)。
ジョージ で、世の中で、
自分から不幸せを選んでく女っているでしょ?
オカマにもいるでしょー。
つねさん いーっぱいいるね!
ジョージ すごく不幸せ癖のついたオカマ。
で、そいつらの話を聞くと、
不幸せが好きなんだよ。
つねさん そういう不幸せなアタシが好き、ってやつ?
ジョージ しかも不幸せにしてくれる相手が好きだから、
もう、マイナスがマイナスで
マイナスマイナスなんだよね。
つねさん あ〜。そうね〜。
ジョージ かければプラスになるんだろうけど(笑)、
どんどんたしていくから
マイナスがかさんでいくの。
つねさん ああ、そうね。そうそうそう、
乗算じゃないんだよね、たし算。あれは。
ノリスケ 打ち消しあえばいいのにね。
つねさん いや、でも、あれはね、
よくできたもんだと思うよ。
なんでこんなマイナスな人には
マイナスな奴しか来ないんだ、とか。
ジョージ で、そういう意味で、
ラブレター書くときは、まず泣き言は言わない。
ポイントね。
ただ、自分の弱いことは平気で言える。
なぜならば、さっきの話じゃないけど、
自分の欠点まで含めて僕は自分が好きだから。
で、あとはね、これを読んだ人がね、
勇気づけられるような手紙を書こうと思うよね。
ノリスケ とても、よく、わかる。
僕は、好きな人が弱みを……泣き言じゃなくて、
さらけだしてくれたら、とても嬉しいよ。
ただいっしょになって落ち込むと、だめだよね。
そういうときこそ僕は元気でいようと思う。
一緒に落ち込みかけたとき、言われたよ。
「君がそんなんじゃ、ダメでしょ?」って。
それも、嬉しかったな。
つねさん でも、俺は、暗いメールは書かなかったよね。
ジョージ あっ、僕、あるかも知んない・・・
つねさん なに? なに?
(つづきます)

2002-02-13-WED
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