ジョージ |
じゃ、どうしなきゃいけないんでしょう? |
つねさん |
どうするんだろう?
やっぱり人に見られてることを、
ちゃんと意識する。 |
ジョージ |
そうだよね。以前申しましたけれども、
女の命は、背筋だから。背中にあるわけ。 |
ノリスケ |
はい。 |
ジョージ |
お皿を持ったら、わきの下を開かないっ! ねっ。
んと、お皿を持っている手のヒジでもって、
アンダーバストを引き上げる! |
ノリスケ |
バイキングの、皿を持ってる時でもね。 |
ジョージ |
持っている時でも!
で、てんこ盛りは、しないの! ね。 |
つねさん |
何回も行ったら済むわけだよね。 |
ジョージ |
たとえば、いろんなお料理が出ているときでも、
ま、だいたい、前半の方に、
ピラフだとか焼きそばだとかがあるわけだよ。ね。
そんなものは目もくれないの。
キャビアはないかしら? |
ノリスケ |
アハハハ。 |
ジョージ |
え? ないの? キャビアもないの?
チンケなパーティねっ、とかって言いながら、
ま、イクラでガマンしようかしら、と。 |
つねさん |
トビッコは? |
ジョージ |
トビッコも可。まず頭ん中で、
立食だったらまず、シャンパンでしょう。
シャンパンに合うようなのを適当に取って。
それで、とりあえず、まあ、始めましょうか。
背中を伸ばして。 |
ノリスケ |
うん、うん。 |
ジョージ |
そうこうしてるうちに、
ぜったい男が何かを持ってきてくれるはずよ、と。
ね? |
つねさん |
思いつつ。 |
ジョージ |
そう、思いつつ。
持ってきてくれなかったら、
ああ、今日の男は女を見る目がないんだわ。
ホモばっかりかもしれない、って思って、
次のロースト・ビーフに進めばいいんだよ、
にぇっ? |
ノリスケ |
そこまでは観察ね。 |
ジョージ |
タイクツしたら、
ちょっと、気のいいオカマかなんかが
近づいてきてくれて… |
ノリスケ |
楽しい話し相手になってくれるでしょう。 |
ジョージ |
そう、ごめんなさいね、ここ、ホモしかいなくて、
ごめんなさいね、とかって、
いう楽しい時間が過ごせるかもしれない。
ま、これが、フェロモンだよね。
パーティにおけるフェロモン。
要は、私はここにいます、と。 |
つねさん |
これが私です、と。 |
ジョージ |
うん。背筋を伸ばしています。
誰かに話しかけられるのを、お待ちしております、
いかがでしょうか? がフェロモンであって、
私ね、仕事ができるの、
今日もね、いいドレスを着てきたの、
見て見て見てっ! あ〜ん、男が欲しいわ〜、
っていうのは、
フェロモンじゃないんだよねぇ〜ん。 |
つねさん |
言われたくて仕方がないんだよ。 |
ノリスケ |
滑稽になっちゃうんだよねー。 |
ジョージ |
そう。 |
つねさん |
ほんと紙一重だね。 |
ジョージ |
そう。紙一重。 |
ノリスケ |
フェロモン出してる女の子って、
普段から平気で出してるよね。
出し惜しみしないっていうか。
べつに、量が決まってるわけじゃないって感じが
するんだよね。出し慣れてる子のほうがね、
やっぱりね、肝心なとき持ってくんだよね。 |
ジョージ |
出し惜しみはしちゃいけないんだけど、
無駄遣いはしちゃいけないんだよ。 |
ノリスケ |
ほら、そこが難しい(笑)。 |
ジョージ |
あのね、無駄遣いする女が多いの。 |
ノリスケ |
ってことは、その人たちはフェロモンを
効果的に使えるはずなのに、損をしてるわけだ。 |
ジョージ |
うん、まず、使っちゃいけないとこで
使っていたり、あるいは使っちゃいけない
フェロモンを出したりとかするんだよね。
なーんかね、たとえば、どゆんだろ?
女の人でね、けっこう営業に来る人とかいるの。
ウチ、あの、柔らかい系の産業でしょ?
そうすると、男の上司に伴われてない、
自分1人でくる女の人っているんだよ。
それがね、なんか、ロングヘアー系の髪を、
ちょっと斜めに垂らしながら、
ごめんあそばせ、みたいな感じで、
名刺をパッと出して、んで、どゆのかな?
あのー、ジャンプ系グラビアの胸元って、
わかります? |
ノリスケ |
あー、わかります。
イエロー・キャブ系。 |
つねさん |
ヤンジャングラビアね。 |
ジョージ |
キュッて、キューッて、
谷間をアピールするような表情で、
左斜め25度ぐらいに体を傾けて、
どうもー、どこそこのだれとかで
ございますぅ〜〜〜。 |
ノリスケ |
上目遣いで。 |
ジョージ |
そうそう。よろしくお願いしますぅ〜〜〜って。 |
つねさん |
エコーが入るのね。 |
ジョージ |
って名刺を渡すのがいるんだよ。
で、そういうのって、仕事ができないで、
人を見る目のないオジサンたちは、
おっ! いけてんね、って言うんだけど。 |
ノリスケ |
でも、そんな男に想われても、
何の得にもなりません。 |
ジョージ |
そうだよー。仕事ができる男は絶対、
あ、この女は、
女しか勝負するもんがないんだな、って思うし。 |
ノリスケ |
すぐわかっちゃうね。 |
ジョージ |
何より、その周りで見てる、
同性の女の子たちは、
あっ、気持ち悪ーい、ゲーッ、て見てるんだよ。
これこそがフェロモンの無駄遣いだよね。 |
ノリスケ |
んーっ! |
ジョージ |
そういうときに、普通に名刺を出して、
人が人に名刺を渡すように? |
ノリスケ |
ふん、ふん。 |
ジョージ |
シャキッ、と出した名刺を、
どこそこの誰とかでございます、
よろしくお願いします、って渡すの。
性を超越して。 |
ノリスケ |
なるほどね。 |
ジョージ |
んで、どうぞこちらへ、って
座らせてもらうでしょ? で、そんときに、
上座に座らされても、
奥に座らない、手前に座ってみる、とかね。 |
ノリスケ |
うん、うん、うん、うん。 |
ジョージ |
あるいは、メモ用紙を出してきて、
そのメモ用紙にメモる万年筆か何かが、
ものすごく女の子っぽい
かわいいやつが出てきたりとか。 |
ノリスケ |
うん、ファンシーじゃないやつよね。 |
ジョージ |
そう。あるいは、話をしてて、
ちょっとしたところで、
んー、女の私にはちょっと難しいですね、
とかって、いう一言をボロッと出してみるとかね。 |
つねさん |
お〜。 |
ノリスケ |
わざとね(笑)。それ難しいと思うよ、でも。 |
ジョージ |
で、こういうのね、
惜しみないフェロモンの使い方なの。
これは、トレーニングが必要。 |
ノリスケ |
トレーニングだなー、普段から。 |
ジョージ |
必要だよ。 |
ノリスケ |
あの、その、一時出てきた、
オヤジ的な女の子たちって、
今もちゃんと生息しててさ。
もったいないと思うんだよねー。 |
ジョージ |
うん、思う。 |
ノリスケ |
もったいないよー。ちゃんとかわいいの、
その子たち。かわいいのに、わざとね、
がに股にしたりとかね(笑)。 |
つねさん |
わざとするの? そういうの? |
ジョージ |
そうだよね〜。 |
ノリスケ |
うーん、気さくな私をアピールすることに
慣れちゃって、フェロモンが出ないの。
そういう子は、どうしたらいいの?
|
(つづきます。)