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新宿二丁目のほがらかな人々。
おねぇ言葉や裏声とかで語る別角度批評。

フェロモン出したい。その3
出し惜しみも、むだ遣いもダメよ。


ジョージ じゃ、どうしなきゃいけないんでしょう?
つねさん どうするんだろう?
やっぱり人に見られてることを、
ちゃんと意識する。
ジョージ そうだよね。以前申しましたけれども、
女の命は、背筋だから。背中にあるわけ。
ノリスケ はい。
ジョージ お皿を持ったら、わきの下を開かないっ! ねっ。
んと、お皿を持っている手のヒジでもって、
アンダーバストを引き上げる!
ノリスケ バイキングの、皿を持ってる時でもね。
ジョージ 持っている時でも!
で、てんこ盛りは、しないの! ね。
つねさん 何回も行ったら済むわけだよね。
ジョージ たとえば、いろんなお料理が出ているときでも、
ま、だいたい、前半の方に、
ピラフだとか焼きそばだとかがあるわけだよ。ね。
そんなものは目もくれないの。
キャビアはないかしら?
ノリスケ アハハハ。
ジョージ え? ないの? キャビアもないの?
チンケなパーティねっ、とかって言いながら、
ま、イクラでガマンしようかしら、と。
つねさん トビッコは?
ジョージ トビッコも可。まず頭ん中で、
立食だったらまず、シャンパンでしょう。
シャンパンに合うようなのを適当に取って。
それで、とりあえず、まあ、始めましょうか。
背中を伸ばして。
ノリスケ うん、うん。
ジョージ そうこうしてるうちに、
ぜったい男が何かを持ってきてくれるはずよ、と。
ね?
つねさん 思いつつ。
ジョージ そう、思いつつ。
持ってきてくれなかったら、
ああ、今日の男は女を見る目がないんだわ。
ホモばっかりかもしれない、って思って、
次のロースト・ビーフに進めばいいんだよ、
にぇっ?
ノリスケ そこまでは観察ね。
ジョージ タイクツしたら、
ちょっと、気のいいオカマかなんかが
近づいてきてくれて…
ノリスケ 楽しい話し相手になってくれるでしょう。
ジョージ そう、ごめんなさいね、ここ、ホモしかいなくて、
ごめんなさいね、とかって、
いう楽しい時間が過ごせるかもしれない。
ま、これが、フェロモンだよね。
パーティにおけるフェロモン。
要は、私はここにいます、と。
つねさん これが私です、と。
ジョージ うん。背筋を伸ばしています。
誰かに話しかけられるのを、お待ちしております、
いかがでしょうか? がフェロモンであって、
私ね、仕事ができるの、
今日もね、いいドレスを着てきたの、
見て見て見てっ! あ〜ん、男が欲しいわ〜、
っていうのは、
フェロモンじゃないんだよねぇ〜ん。
つねさん 言われたくて仕方がないんだよ。
ノリスケ 滑稽になっちゃうんだよねー。
ジョージ そう。
つねさん ほんと紙一重だね。
ジョージ そう。紙一重。
ノリスケ フェロモン出してる女の子って、
普段から平気で出してるよね。
出し惜しみしないっていうか。
べつに、量が決まってるわけじゃないって感じが
するんだよね。出し慣れてる子のほうがね、
やっぱりね、肝心なとき持ってくんだよね。
ジョージ 出し惜しみはしちゃいけないんだけど、
無駄遣いはしちゃいけないんだよ。
ノリスケ ほら、そこが難しい(笑)。
ジョージ あのね、無駄遣いする女が多いの。
ノリスケ ってことは、その人たちはフェロモンを
効果的に使えるはずなのに、損をしてるわけだ。
ジョージ うん、まず、使っちゃいけないとこで
使っていたり、あるいは使っちゃいけない
フェロモンを出したりとかするんだよね。
なーんかね、たとえば、どゆんだろ? 
女の人でね、けっこう営業に来る人とかいるの。
ウチ、あの、柔らかい系の産業でしょ? 
そうすると、男の上司に伴われてない、
自分1人でくる女の人っているんだよ。
それがね、なんか、ロングヘアー系の髪を、
ちょっと斜めに垂らしながら、
ごめんあそばせ、みたいな感じで、
名刺をパッと出して、んで、どゆのかな?
あのー、ジャンプ系グラビアの胸元って、
わかります?
ノリスケ あー、わかります。
イエロー・キャブ系。
つねさん ヤンジャングラビアね。
ジョージ キュッて、キューッて、
谷間をアピールするような表情で、
左斜め25度ぐらいに体を傾けて、
どうもー、どこそこのだれとかで
ございますぅ〜〜〜。
ノリスケ 上目遣いで。
ジョージ そうそう。よろしくお願いしますぅ〜〜〜って。
つねさん エコーが入るのね。
ジョージ って名刺を渡すのがいるんだよ。
で、そういうのって、仕事ができないで、
人を見る目のないオジサンたちは、
おっ! いけてんね、って言うんだけど。
ノリスケ でも、そんな男に想われても、
何の得にもなりません。
ジョージ そうだよー。仕事ができる男は絶対、
あ、この女は、
女しか勝負するもんがないんだな、って思うし。
ノリスケ すぐわかっちゃうね。
ジョージ 何より、その周りで見てる、
同性の女の子たちは、
あっ、気持ち悪ーい、ゲーッ、て見てるんだよ。
これこそがフェロモンの無駄遣いだよね。
ノリスケ んーっ!
ジョージ そういうときに、普通に名刺を出して、
人が人に名刺を渡すように?
ノリスケ ふん、ふん。
ジョージ シャキッ、と出した名刺を、
どこそこの誰とかでございます、
よろしくお願いします、って渡すの。
性を超越して。
ノリスケ なるほどね。
ジョージ んで、どうぞこちらへ、って
座らせてもらうでしょ? で、そんときに、
上座に座らされても、
奥に座らない、手前に座ってみる、とかね。
ノリスケ うん、うん、うん、うん。
ジョージ あるいは、メモ用紙を出してきて、
そのメモ用紙にメモる万年筆か何かが、
ものすごく女の子っぽい
かわいいやつが出てきたりとか。
ノリスケ うん、ファンシーじゃないやつよね。
ジョージ そう。あるいは、話をしてて、
ちょっとしたところで、
んー、女の私にはちょっと難しいですね、
とかって、いう一言をボロッと出してみるとかね。
つねさん お〜。
ノリスケ わざとね(笑)。それ難しいと思うよ、でも。
ジョージ で、こういうのね、
惜しみないフェロモンの使い方なの。
これは、トレーニングが必要。
ノリスケ トレーニングだなー、普段から。
ジョージ 必要だよ。
ノリスケ あの、その、一時出てきた、
オヤジ的な女の子たちって、
今もちゃんと生息しててさ。
もったいないと思うんだよねー。
ジョージ うん、思う。
ノリスケ もったいないよー。ちゃんとかわいいの、
その子たち。かわいいのに、わざとね、
がに股にしたりとかね(笑)。
つねさん わざとするの? そういうの?
ジョージ そうだよね〜。
ノリスケ うーん、気さくな私をアピールすることに
慣れちゃって、フェロモンが出ないの。
そういう子は、どうしたらいいの?
(つづきます。)

2002-03-10-SUN
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