ジョージ |
言ってもいい? 言ってもいい???
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ノリスケ |
何かあったんですかっ!?
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ジョージ |
この前、久しぶりに〜、電車乗ったんでしゅ。
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ノリスケ |
久しぶりに乗るのか(怒)。
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ジョージ |
そうよっ。
久しぶりにね、水道橋から乗ってね、
新宿まで行ったの。
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ノリスケ |
うん。
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ジョージ |
したらね、前に座ってたね、女の子。
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ノリスケ |
女の子。年のころは?
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ジョージ |
24、5かな? それがね、ずーーーっとね、
ビューラーでまつげをね、クルクルやってたの。
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ノリスケ |
いるよ、そういう女の子、このごろ多いよ。
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ジョージ |
んもうびっくりよ!
1辺25センチ角ぐらいの大きさの鏡を持って。
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つねさん |
でかいね。
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ジョージ |
すっごいでっかいの。
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ノリスケ |
いや、このごろそうだよ。
机に置くやつあんじゃん。
置き鏡?
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つねさん |
はいはいはい。
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ノリスケ |
倒れないように、支えが付いてるやつ。
あれを持って歩いてるの。
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つねさん |
あ〜。
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ジョージ |
んで、上向けたり下向けたり
横向けたりしながら、
ずーーっとビューラーで
キュッキュッキュッキュッ。
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つねさん |
化粧室じゃないんだから。
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ノリスケ |
電車揺れるのにさ。
まつげブチッ! とかって抜けないのかな?
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ジョージ |
それでね、それでね、その、んーと、
まあ、そゆことしてる子っていうのは
キレイな子は少ないですけど、
キレイ、キレイでないは別としてですね、
ビューラーでキュッキュキュッキュやる
以前の問題として、
マスカラがダマになってんの!
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ノリスケ |
(笑)マスカラは、じゃあ、
はじめっから付けてきたわけ?
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ジョージ |
あのね、さらに、マスカラ付けるんだよ。
そうすっともう、ダマの上から付けるから、
もうモッサリして重たくなったやつを、
むりやり上に上げようとするんだよね。
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つねさん |
フンコロガシみたーい。
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ジョージ |
代々木の駅で降りたんだけども、
信濃町過ぎたときに、
アイペンシルを出してきて、
で、で、信濃町から代々木の間って、
いちばん総武線が
ガックンガックンするところじゃない?
急カーブで。
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つねさん |
そう。
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ノリスケ |
します。千駄ケ谷通って。はい。
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ジョージ |
そう、千駄ケ谷通って。
で、ずーーーっと描いてるんだよ。
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つねさん |
すごーい。ズレなかったのかなー?
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ジョージ |
これって、これって、ありっ!?
これって、ありっ!?
人前で化粧直しっ!
電車の中で化粧直しっ!
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つねさん |
化粧って、しろよ、家で。って思うなー。
してこいよ。
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ジョージ |
電車の中で化粧直して、
どこまで許されんの?
ふんがー(怒)。
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つねさん |
僕、基本的にせいぜい口紅・・・
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ノリスケ |
あんたつけてるの?
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つねさん |
なわけないでしょ!
見ていて、の話。
あと、脂を押さえるくらい?
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ジョージ |
脂を押さえる。口紅をちょっとぬりなおす。
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つねさん |
ぐらいは許すけど。
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ノリスケ |
だから、基本的にはぜんぶ
土台をチャンとしてきていたならば、
最終確認をするのは、
まぁ許してあげようとは思うな。
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つねさん |
そそそそ。
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ジョージ |
鏡見ないでできる、
細部の修復作業は、OKだけど、
鏡出してきてビューラーでやるっていうのは、
修復作業じゃなくって、建築作業でしょう?
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つねさん |
メイキングだよね、そうだよね。
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ノリスケ |
そうね、土台から。ディギングから(笑)
ビルディング、ペインティング。
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ジョージ |
これは、やっちゃダメだよ。
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つねさん |
たとえば、ほら、10秒くらいで終わる作業なら?
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ジョージ |
でも、水道橋から代々木までずっとだよ?
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つねさん |
すごいね。
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ノリスケ |
昔、会社の同僚の女性社員とね、
つり革につかまって2人で乗ってたの。
偉い人に会いに行くのに。
「それでさ、そういう話だから、
なんとかなんとかなんだよね・・・」
って立ち話、しながら、バッグから口紅出して、
片手でキュってひねって、
どこも見ないでバーッ! って塗ったの(笑)。
カッコよかったよ。
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ジョージ |
それは男らしくていいと思うよ。でもねー。
その、その子が立ち上がったときにね、
大っきいトートバッグの、
2つある手の片方だけを持って
立ち上がったもんだから、
中がベロンって見えたんだよ。
そしたら、中に入ってたのが、化粧道具だけ。
化粧道具も、マニキュアから口紅から
ファンデーションから、お粉から、
で、そのでっかい鏡でしょう?
あと、ハケとか、そういうの
いっぱい入ってるんだよ!
ガシャガシャと。んで、あと大っきい財布。
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つねさん |
ああ。
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ジョージ |
ねー? これって、イケてる?
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ノリスケ |
だーめでしょう。
それで、男に会いに行くのかい?
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つねさん |
あ〜、僕はやだな〜。
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ジョージ |
そういうのってさ、
一昔前だったら外泊セットだよね。
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ノリスケ |
でも、外泊セット持ってる女は
それなりに颯爽としててもらわなくちゃ。
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ジョージ |
それがね、颯爽としてないのよ。
も、ちょっと前に起きてきました、
っていうような感じ。
夕方4時よ!?
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つねさん |
あ〜。
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ノリスケ |
でも、夜のご商売の方ではなさそうなんでしょ?
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ジョージ |
違うわね。そんな器量じゃなかったし、
そういうご商売の方は、もっとちゃんとしてます。
でね、でね、その話を、床屋に行って、したの。
そしたら、僕に爪やってくれている女の子を指して、
床屋のオジさんがね、
「ほらっ、ジョージさんだって言ってるだろう?
人前で、電車の中で化粧なんか、
なおすもんじゃないんだよ」って。
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ノリスケ |
てことは、その女の子もふだんそうしてて、
上司はよく思っていないと。
いいホテルの床屋さんだったわよね。
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ジョージ |
そう。そうしたらその子が、
「えー、やっぱりそうですかねー」
って言うんだよね。で、今の女の子って、
わりとそういうの恥ずかしくもなく
当たり前なんじゃないかって思ったの。
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ノリスケ |
恥ずかしくないみたいだよ。
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ジョージ |
すると、その床屋さんにいたおばさんが、
「だってみっともないでしょう?
恥ずかしいでしょう?」
ところが、女の子は
「いや、私はみっともないと思わないし、
恥ずかしいと思わないです。
誰にも迷惑かけてないからいいでしょう?」
って言ったんだよね。
「んじゃあジョージさん、どう思いますか?」
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ノリスケ |
いやっ、そんなことはない。迷惑だっ。
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つねさん |
迷惑だよ〜。
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ノリスケ |
不快だもん。
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つねさん |
うん、そう。
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ジョージ |
でしょう? 不快なんだよ、
っていう話したらわかんないから、
「じゃあねぇ、立場変えて、電車に乗ってました。
そしたら、おっさんが・・・」
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ノリスケ |
ヒゲ剃る?
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ジョージ |
そう。で、ジーーーッてやって。
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ノリスケ |
いるよね、新幹線で(笑)。
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ジョージ |
で、しかも、ずーーーっと
鼻毛をブッチンブッチンブッチンブッチン
抜いて、つまようじ出してきて、
シーシーハーハーやった上に、
組んでた足下の、
靴下がベロベロンってなってて、
モモヒキが見えていたら、どぉ?
って聞いてみたの。
「いやーっ、気持ち悪いです、
そんなことやってほしくないです」
って。
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つねさん |
だって、おんなじことやってんじゃーん。
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ジョージ |
「でも、おじさんは誰にも迷惑をかけてない、
って主張してます。そういうことなんだよ?」
っていうふうに言ったの。
それでやっとわかってくれたみたいだけど、
どう思います? これってー。
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(つづきまーす!)